机の上

我、机の上に散らかった日々雑多な趣味(イラスト・劇画・CG・模型・HP・生活)の更新記録です。

一枚の写真から

2021-03-31 08:40:00 | 日々是茶飲み話
 思い出の写真。2003年頃でしょうか。忘れました。パソコンの片隅にありました。
客先からいただいた、小さなデータを増幅してフォトショップで画像処理をしてからの、インクジェット出力機でプリントアウトして、デラニュウム板に張りつけました。これでも看板です。



 当時はMacG3使っていたと思います。明日が納期だと困り顔の営業氏から夕方にデータをもらいました。デザイナーや製作部長を通さずに、僕のところに持ってくるのがミソです。家に持って帰って徹夜でやっつけました。

 その後、この営業氏は首になりました。いろいろあったのですが、省略します。一生懸命に尽くしたつもりなのですが、結局僕ははその場しのぎの便利屋で終わりました。当然、その後の僕の立場も悪くなっていきました。

 十数年後経った現在、製作部長が首になったと、風の噂に聞きました。かわいそうにと、思いました。かわいそうにはというのは首になったという事ではないのです。彼は当時から、おそらくは今でも無能だからゆえにかわいそうなのです。

 無能を知ってか、知らずか、そういう彼を部長に祭り上げて、いいように会社を操り、最後には会社の血液を全部、入れ替えてしまいました。
彼の最後の言葉がこうだそうです。「仕事の事は何も知りませんでした」

 彼と最初に会ったのは、彼が23歳の時でした。先の社長の太刀持ちをしていました。物言いや態度が大柄な、何も経験のない若者でした。そうです。今の社長は会社を乗っ取ってしまったのです。
 
 先の社長も今の社長も馬鹿な奴ほど可愛いとは、真意なのでしょう。今の社長が僕を首にする時にも言っていました。僕は仕事は出来るが、馬鹿ですと、言おうとしましたが止めました。

 当時、困った事は他にもありました。客様の営業氏が会社を通さずに直接に僕のところにカンプを描いてくれ、デザインを描いてくれと仕事を持ってくるのです。きちんと会社に言っておいて下さいよと、言うのですが、どうやら、この会社での僕の身分はただの傭兵です。

 客様も決まるかどうか分からない、カンプやたたき台に金を出したくはないのでしょう。
仮に決まったとしても、見積もりにデザイン料なるものが計上される事は皆無です。それとも予算の無い仕事だけ会社にもって来ていたのでしょうか。

 それでも僕は女房に子供三人の家庭持ちです。必死にその日が来るまで頑張りました。
その日とは、首になった日です。ああぁっ、これで、この会社に来なくてすむと喜びました。負け惜しみではなく心底喜びました。

 今、このコロナ禍で、その会社も売り上げが下がり、三人ほど首になったと、これまた風の噂で聞きました。そのうちの一人は僕も知っているデザイナーです。その彼とは、つい最近に会いました。思ったより元気そうなので安心しました。

 一枚の写真から、なんだか取り留めの無い長文になってしまいました。きりがないので止めにします。ただ思うのは、あの頃は必死だったなあと自身の後姿に見てとれます。