茶会、三楽茶会という小宇宙で、正客になった冷たい雨の日の体験(2010.10.30)

2010-10-30 23:39:55 | Weblog

*その日の床飾り。とても可愛い野菊でした。

 10月も最後だというのに、季節外れの台風の襲来の日でした。前夜から冷たい雨が降り続いています。今日(30日)は、知人のお茶会に参加することに決めていた日です。

 ウチの家人は、大の茶の湯好きです。仲間内では、センセイと言われることもある人です。いつ頃だったでしょうか、春日部市に、これまた大の、おそらく春日部一の茶の湯好きの方、男性、がいらっしゃることを知ります。ワタシも、家人も、時をほぼ同じくして、別の場面から知ったのです。

 その方の茶会の話を知り、私が家人を誘いました。3か月ほど前のことだったでしょう。
 私は、家人の茶会のために、荷物の運搬係や写真係、まさに数限りなく手伝ってきました。茶の湯のことなんて“門前の小僧、習わぬ経を読み”状態です。
 茶の湯の世界、そのスピリットは大好きでもありました。

 前日の夕刻です。
 “・・・男性だから、正客(しょうきゃく)に座るかも知れないな”と家人が言うのです。正客はお客様総代です。ただひとり、直接、茶会亭主からふるまっていただく役割です。
 “・・・・・アンタ、濃茶(コイチャ)を飲んだことないでしょう”とも。そのとおりです。

 朝、会場である越谷市の能楽堂は30分の所です。クルマを走らせながら、思います。
 “お茶会の雰囲気は、正客次第で決まる・・・・”、“亭主と正客の問答を楽しまれる方さえいる・・・”。

 どんなスピーチ場面でも、アドリブでとおしてきた私です。何百人の前でも平気でやってきました。予稿なんか作りません。

*ロビーから能舞台をのぞみます。

 11時に始まりました。袴姿のご亭主が、私を正客の座に導かれます。お着物姿のベテランご婦人方が並びます。

 まず濃茶。濃茶は、ご亭主が“茶をねる”のです。ほんとに近すぎるところで、亭主の所作を見ていました。お菓子が出ます。栗を透きとおる葛でくるんだ特別に美味しいお菓子でした。

 そして茶碗が、私の膝前に置かれます。濃茶は、ひとつの碗のお茶を何人かで飲むのです。“同じ釜のメシを食った仲”と同じような意味でしょうか。席を同じくする人どうしの仲間の和です。自分の分だけ飲んで、茶碗の口もとをきれいに清めて、お隣のお方におくるのです。
 薄茶は、ひとりでいただけばいいのです。好きなようにで、いいでしょう。ところが、濃茶は、そうはいかない、のです。
 さいわい隣に、家人が座ってくれています。

 長い正座も平気なはずでした。ウチで家人の茶をつきあうこともあって問題なしでした。ところがです。ご亭主が床の軸のお話をされたとき、ほぼ真後ろの軸を振り返って、向き戻った時から、しびれを感じます。それを直そうともがきます。だんだん不自然になっていきます。

*越谷市営の“こしがや能楽堂”です。

 茶の湯、正客体験はさんざんな体験になったのです。

 茶の湯や禅の世界、自然観を凝縮した世界、小宇宙に魅かれることがあるのですが、“寝転がって本を読むこと”では、理解できないのだ、と実感しました。
 研ぎ澄まされた形、作法、技が、どの世界にもあるのです。それが会得することが修行なんでしょう。

  【おまけ】

*内輪の話です。クルマの中で、家人がニコニコしているのです。行きも帰りもそうなのです。茶の湯好きなのですが、その日は、茶席での亭主(ご亭主でなく)を見ることにも、別の楽しみがあったのかもしれません。

*茶会のご亭主(亭主でなく)は、“三楽茶会”と掲げられています。楽(らく)に行こうといわれていると解釈して、お許しを願いましょう。


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2 コメント

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これが正客体験でした。 (f(きぃちゃんへ))
2010-11-01 11:35:38
きぃちゃんへ
これが、悲しい!ワタシの正客体験でした。
きぃちゃんの“芸者体験”みたいなものでしょうか。
実は、正確には2度目の正客体験でした。
40年前に、岡山の田舎で、タケさんの先生のお茶会に一緒に出かけて、正客に座ったことがあります。そのへんの話は、またウチで。
(f)
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!!! (きぃ)
2010-11-03 23:45:43
コメントを書こうと思ったら、私宛のメッセージでびっくりしました!

実は私もきょう、気が付いたら正客になってしまいました。
しかも同じ花田苑の茶室で!!
まぁ、薄茶席の気軽なものですし
問答は全部ベテランの先生らしき方がしてくれたので何とかなりました。

足の痺れは本当につらいですよね

大役、お疲れ様でした。




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