金沢の県立・21世紀と二大美術館で二つの失敗、金沢旅日記⑧(2008.6.20)

2008-06-20 12:46:50 | Weblog

*金沢21世紀美術館前庭です。

旅で、その土地を感じるためには、安易といえば安易なのですが、たいてい県立とか大きな美術館に立ち寄ります。まあ普通、展示が総花すぎて、満足しないことが多いのですが。
石川県立美術館には、<目玉商品>があります。
野々村仁清の国宝・色絵雉香炉を見たいと思っていました。雑誌などで、その姿は何度も見ていてよくわかっていますが、写真では大きさがわかりません。小さな茶道具・香炉と思っていたのですが、ある時、大きさが、雉(キジ)の実寸大であることにちょっと驚いたのです。それで、見ようと思っていたのです。対として、雌(♀)のキジの香炉あります。こちらは、重文、重要文化財です。
雉(キジ)は、鶏に長い真直ぐな尻尾をつけた大きさを想像していました。

*9月20日までお休みなのです。右ページの写真が、見たかった雉(キジ)の香炉です。

たどりつた石川県立美術館は、改装中でお休み・リニューアル・オープンは9月20日という看板が立っていました。まさか、と思いました。金沢市観光の目玉商品のひとつだし、そんなことあるはずがない、と思っていたのです。うっかりしました。
(石川県立美術館のWEBには、しっかり書いてあります)

次は失敗というほどでもないけど、失敗だったといえる金沢21世紀美術館。
観光施設にも集客というか、新しいニーズへの対応というか、工夫がなされ大評判を呼んでいる施設があります。例えば、動物園の旭川動物園がそうです。美術館では、現代アート系の新しい美術館がそうです。直島の美術館、弘前の美術館、そして金沢21世紀美術館が評判で、雑誌などによく登場します。

現代アートの斬新な美術館は、建築物・たたずまいはもちろん、展示の仕方自体がアートなのです。私の失敗は、従来の、トラディショナルの美術館気分(方法)で見ようとしたことにあります。
つまり、総合受付にいって、チケットを買い、順路に従って、出口に向かって歩くのが美術館、という気持ちを持っていたことが失敗なのです。この美術館には、入口がいっぱいあります。どこから入ったらいいのかなあ、と早くも迷います。

*どこから入りましょうか。

*どこに行きたいですか。

ここには、フリー(無料)ゾーン、有料ゾーン(そうは言わないらしいが常設展ゾーン)、そして、もうちょっと高いゾーン(企画展ゾーン、これもそうはいわない)が、渾然一体になっていたのです。
受付のお嬢さんに、<どこに行ったらいいのでしょうか>と聞いても、笑顔は素敵なのですが、要領をえない、そりゃそうでしょう。
<どこに行きたいのですか?>と逆襲されました。

館内はまさに迷路でした。今、館内マップを見ているのですが、やはりよくわかりません。現代アートというより、現代という空間に迷っていたのです。そのこと自体が、アートなのだ、と、気鋭の美術評論家がいいそうです。

とはいっても、2時間ほどいて、<かなりの無駄な時間も含めて>、だんだんわかってきました。リピーターさんというか、再々やってきて、アートの中に自分をおくことのできる、ご近所さんには素晴らしい施設だと思ってきました。
何も見なくていいのです。<無料エリア>でいいから、いつも、ここにいる、そういうのが、この美術館の楽しみ方だな、と思いました。金沢市民には、とてもいい文化施設だな、と思うのです。

  【おまけ】

* 総合案内のお嬢さんに、<どこに行きたいのですか>と聞かれ、<日比野克彦さんの展示を見たい>と。ほんとは<そのために来たのではありません>が、目の前に貼ってある、掲示をみて<口から出まかせ>です。

* ただ、日比野克彦さんの作品は、かなり好きというのはほんとうです。たぶん20年以上前に、ダンボールで作った作品を見たとき、こころが休まる気持ちになったのです。エッセイ集を読んだり、2,3年前には水戸芸術館の大規模な個展にも出かけたりしました。

*今日も私の本棚から。真ん中の昔の作品集(1984年10月)が好きです。両側のは、1999年発行のエッセイ集です。2冊持っているのです。

*アートだから作品を写真で紹介したいのですが、アートだから撮影禁止です。

*無料ゾーンにダンボール作品がありました、有料ゾーンにあったのは、ヒノキで作られたステージというか、芝居小屋のような作品でした。いつものようにダンボール箱が転がっています。誰もいません。ステージの中央にたって主役の気分を味わいました。どの部屋にもスタッフのお嬢さんがいて写真を撮ることができません。
演出家の野田英樹さんと共同のイベントプログラムもあるようです。

* 朝顔を植えて花を咲かせて種をとって、種を配り続けて全国に朝顔を咲かせる、(だったと思う)日比野克彦さんの朝顔プロジェクトに同意して、種をスプーンにひとすくいもらってきました。

* 朝顔植え付けの時期ははずれていますが、家人がわが家のプランタンに植えたようです。