医療マーケティングの片隅から

医療ライター・医療系定性調査インタビューアーとして活動しています。独立30年を機に改題しました。

中年介護3ヶ月

2010年03月26日 | 「がん」について

三線道場の仲間であるオヤジさんが慢性骨髄性白血病の治療のため、造血幹細胞(臍帯血)移植を受けた。2009年12月14日に入院、抗がん剤のMAX量を1週間くらい投与したあと1月4日に移植。移植自体も命に関わるリスクがあるので、ご本人やご家族にどれだけ勇気が必要だったかわからない。治療はうれしいことに成功、予定より早く3月14日に退院していまは自宅療養中である。

私は縁あって入院中の3カ月間、独身男性であるオヤジさんの介護に関わらせてもらった。

「介護」というと本人は抵抗があるかもしれないが、一応、介護とは身体介護だけでなく、がん患者さんの治療中に精神的サポートをするのも「介護」なので(→詳しくはこちらを参照)、とりあえず「介護」といわせてもらおう。お年寄りのとは違う、“中年介護”ってところでしょうか。

2008年11月に病気が見つかって以来、治験中の新薬探しから臍帯血移植に辿り着き、道場仲間の方のアドバイスを得ながら、セカンドオピニオン受診、転院…と手伝ってきた。とはいえ、移植手術の舞台となる無菌室に入れるのは原則家族だけ(もちろん家族が認めた人とか家族に準じる人とかはOK)。「他人」がどこまで踏み込んでいいものか、正直迷いはあった。オヤジさん本人も受ける立場として躊躇したらしい。けどお互いに「ま、いっか。」とわりあいあっという間に手を打ち、私も無菌室に入れる権利?をいただいた。

この3カ月やってみてわかったのは、
他人にもできることが結構ある
ということ。

仕事柄、これまでがん医療やがん看護の分野で活躍している多くの医療者と会い、教えを受ける機会があった。切なく不安な思いをしている患者さんにいかに共感し、どうサポートするのがよいか。医療スタッフ不足やコストの問題などで現実にはできないけれど、理想的にはがん介護はどうあるべきか---。

で、とりあえず、出来そうなことは片っぱしからやってみたわけです。
もちろん、勝手に健康食品を飲んでもらうというような、医学的に治療の妨げになるようなことはしないし、オヤジさんの弟さんや看護師さんたちに相談しながら。

そしたら、それがどれもわりとウケた(ような気がする)。
あ、少しは元気になった(ような気がする)という意味です。
自己満足ではしょうがないので、本人がもう少し元気になったら「どうでしたかアンケート」をとらないと。でも記憶にないかも~。

具体的にどんなことをしたのかとかは、プライバシーもあるし面倒くさいのでいちいち書きません。でも、自分のメモとしては残しておこうと思うので、もし私の知り合いの方が将来同じ立場になったら、その時に聞いてくれれば個別にお話しします。「PDFにしてネット上に上げておくから9800円でダウンロードできます」などとは申しません!(あるんですよ本当にそういうのが)

たった1人の“中年介護”体験で何が言えるのかと笑われそうだが、この3カ月で、なんとなく確信に近いものを得られた気はする。
少なくとも、独身中高年が増える時代、がん介護を身内だけで抱え込むのは限界があるということと、友人には、友人が果たせる積極的な役割があるということ。

ええ格好しいと思われるかもしれないが、3ヶ月間、貴重な経験をさせてくれたオヤジさんには感謝しています。
まあそんなことを言えるのも、治療が成功したからこそで、本当によかった。
T病院の医療スタッフの皆さんにも改めて感謝と敬意を表します。

ところで、大量の抗がん剤にも関わらず、オヤジさんは入院中、ほとんど吐いてないのがすごい。T病院の主治医Y先生いわく、現在の制吐剤(=吐き気止め)はとても優れているのだそうだ。数年前であれば吐きながら移植を受けるのが普通だったのに…。
先入観で吐くこと怖さに抗がん剤を拒否すると、命がけの大損をすることになる。




はフランスの世界遺産「モン=サン=ミシェル」の修道院。
のだめが初リサイタルを開いたサン・マロのブノア家のお城にいく途中に立ち寄った場所です。
ここで快癒祈願をしたところ、その翌日から突然、入院中のオヤジさんの体調がよくなりはじめた。嬉しかったし安心したが、ちょっとムカついた。なんで私がいなくなった途端に良くなるんだ。そうか、私がストレッサーだったのか(汗)。

モン=サン=ミシェルに同行したCさんにその話をしたところ、「じゃあ、御礼参りに行かないと!」。
モン=サン=ミシェルはパリからバスで片道5時間。往復10時間、750キロの日帰りツアー。
あたしやだ。オヤジさん、元気になったら自分で行って下さい。日本語ガイド付きだから。



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ペコ)
2010-03-27 10:32:05
前々からモン・サン・ミッシェルは江ノ島に似てるなぁと思っていて、数年前に現地に行った際その思いは確信に変わりました。
てっぺんに宗教施設がある、細い参道を登り、道端にはお土産屋がギッシリ、など。
すごく雰囲気似てませんか?

モン・サン・ミッシェルに行きたい!という友人には「あれは西洋の江ノ島だ!!」と言ってイヤがられています。

というわけで、お礼参りは「東洋のモン・サン・ミッシェル」たる江ノ島詣でOKだと思います!!
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Unknown (かえる)
2010-03-27 22:50:52
始めてコメント投稿者。私も悪性脳腫瘍と言われている友人を数人でお見舞いしております。波はありますが意識がなくなってしまった方が今は目が見え、日によってはお話しも少し出来るようになりました。ご家族の方がどんどんお声掛けに来てくだいとのことで、喜んで面会に行っております。お会い出来る幸せにご家族病院の先生看護師さん医療関係者に感謝しています、私達が励ましの言葉、共有した時間の話がよい効果があるようです。
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コメントありがとうございます。 (nakaho)
2010-03-28 19:37:44
ペコさん
パリには事情が許せば何度でも行きたいのですが、モン=サン=ミッシェルまではねぇ…。
そっか江の島で済むのか(違う)。
なら、ますます本人に行ってもらいます(笑)

かえるさん
コメントを拝読して、改めて「他人の力」を実感しました。お友達と数人で交代で行かれているのでしょうか。ご家族だけでは面会の回数に限界があります。大変素晴らしいサポートをされましたね。
脳の機能障害は外からの呼びかけ(音)による刺激が一番回復につながるそうです。ご興味がありましたら、「奇跡の脳」という本をお勧めします。
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Unknown (moco)
2010-04-12 20:40:42
Twitterでお世話になっております、mocotipsです。
私も友人の母の病院へ度々行かせて頂いて、治療中ですが、フットバス&フットマッサージをしたらとても喜んでもらえました。行くだけでも、話すだけでも良いと思うのですが、何か出来ることがあれば・・・と思いまして。

よろしければ、どんなことが役立ちそうか教えて頂ければと思います。
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