蛾遊庵徒然草

おこがましくもかの兼好法師にならい、暇にまかせて日頃感じたよしなし事を何方様かのお目に止まればと書きしるしました。

今、非正規雇用増大の意味するもの。その解決策は、国民全体で負うしかないのでは?(その2)

2006-12-07 02:04:17 | 時事所感
12月6日(水)晴れ。寒い一日。

『派遣の直接雇用義務撤廃―改革会議も答申へ―』今朝の朝日新聞一面、中段にこんな見出しの記事が出ていた。

同記事によれば、政府の規制改革・民間解放推進会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)が、今月末にまとめる最終答申の原案が5日明らかになったとして、一定期間後に正社員かすることを前提とした現在の派遣労働者をめぐる規制を抜本的に見直すよう求め、派遣労働者に対する企業による直接雇用の申し込み義務や派遣契約の期間制限の緩和・撤廃を提案、07年度中の実施を検討するよう求めている、とあった。

 前回、紹介した御手洗経団連会長の意向のままである。

 そしてこの提案の理由として、多様な働き方と再チャレンジを可能とする社会の実現に向け、労働市場での移動やステップアップのしやすさなどを柱とする「労働ビックバンともいうべき抜本的改革が求められている」と指摘し、「労働者個人の派遣就業に対するニーズや企業の派遣労働者活用に対するニーズは、もはや恒常化している」ことにあると言う。

 よくも、いけしゃーしゃーとこんな奇麗事を、立派な財界の功なり名を遂げた方々が言えたものである。
 一ヶ月丸々働いても、単身所帯の生活保護受給者の支給額にも満たないような最低賃金を許しておいて、何がステップアップだ。
 生きていくのがやっとで、自己のスキルアップのために教習費を払う余裕などないと聞く。
 企業にとっては、全員がスキルアップなどされて、高い時給をはらうこととなったら、当の企業にとっては、派遣のメリットなど吹き飛んでしまうのである。

 要は、大量の生活保護所帯以下の時給でも働いてくれる生きた労働部品が欲しいだけなのである。
 その本音を隠して、よくも恥ずかしげもなく、こんな欺瞞に満ちた提案ができるものである。

 誰が好き好んで不安定な多様な働き方など求めているだろうか。それでなくても人間の本性は惰性を好み現状維持でいきたいのである。

 そんなに今の世の中、安定経営が難しいというのなら、いっそうの事、公務員を始め社会全体で終身雇用制度を廃止すべきではないか。
 社会全体が、有期契約労働者になるのである。それなら公平だ。納得できる。

 むしろ、今や、いっそこうした方が余程、社会が活性化するのではなかろうか。

 こうなってこそ、財界のお偉方のおっしゃるような、再チャレンジも可能な世の中となるというものだ。
 さすれば、奈良市や岡山市でのように、たった7日か10日出勤しただけで、のうのうと、そのつど病名変えての病気休職職員もいなくなるであろう。更には、今、俎上に上げられている問題教師も一掃できるというものである。

 とにかく同じ社会の構成員でありながら、一部の人たちだけを不安定な雇用条件に放置することを制度化しようというとが、この社会の歪を大きくする要因となることに、賢明な筈の財界のお偉方が何故気づかないのであろうか。

 貴方がただって、直に現役退いて、否応なくあの世に旅だたなければならないのである。
 それが分かっていて、若いこれからの人たちを苦しめるようなことを、イタチの最後っ屁のように考え出さなければならないのだろうか。

 若い人に優しくなるのが老人の智恵というものではないのだろうか。

 そして、この答申に対して、奥様とお手てつないでの優しいふりしいの安倍お坊ちゃま宰相閣下は、どんな包丁捌きを見せてくれるのか、ここは一つ、じっくり拝見させていただくとするか。

と、思うこの頃さて皆様はいかがお思いでしょうか。