輪島塗のヴァイオリン


画像は朝日新聞より
全文は朝日新聞紙面あるいは朝日新聞デジタル等でご確認ください。

 昨日の朝日新聞14版社会面に「輪島の伝統 無傷の音色」と云う記事が掲載されていた。
 能登半島地震で被災、倒壊した輪島塗り工房からニスの代わりの漆を塗ったヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが無傷の状態で見つかったこと、輪島高校の入学式後にこのヴァイオリンとチェロを使った演奏が行われたことを報じている。

 ヴァイオリンなどに漆塗りを施した八井汎親さんが「何もかもめちゃくちゃになったのに楽器は無傷だった。何か伝えたいことがあるのかもしれない」と語ったそうだが、楽器はそこに置かれているだけでは何も語らない。楽器は演奏されてこそ語り出すのだ。饒舌に。しかし。朝日新聞の記事には誰が「ヴァイオリンとチェロに『何か』を語らせた」のか、つまり、どなたが演奏したのかが書かれていない。残念と云うか、失礼なことであるなぁ。

 ところで、チェロ弾きの末席にいる者としては、ニスの代わりに漆を塗ったヴァイオリンやチェロがどんな音を奏でるのか大いに興味を惹かれる。また漆を塗る前の楽器を誰が製作したのか、弓も漆塗りなのか、全12丁の楽器と書かれているのだが、それはカルテット3つ分と云う事なのか等々、興味津々。

 東日本大震災後に「奇跡の一本松」で作られたヴァイオリンが話題になり、多くの演奏家によって鎮魂と希望の音色が聴衆に届けられてきているが、この輪島塗りのヴァイオリンやチェロたちにもまた、悲しみを癒し希望の火を灯す役割が与えられ、多くの人に能登伝統の漆をまとったその音色を届けてくれることを願うばかりである。

 横浜の住宅地の中に残された小さな里山の四季の移ろいを毎週撮影・掲載しているblog「恩田の森Now」に、ただいまは4月6日に撮影した写真を7点掲載しております。森の桜たちをご覧いただけたら嬉しいです。
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