満月と黒猫日記

わたくし黒猫ブランカのデカダン酔いしれた暮らしぶりのレポートです。白い壁に「墜天使」って書いたり書かなかったり。

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『風をつかまえた少年 14歳だったぼくはたったひとりで風力発電をつくった』

2011-02-15 00:06:27 | 

皆様ごきげんよう。降りしきる雪に怯える黒猫でございますよ。
コレ明日電車ちゃんと動くん・・・?不安だ。

ところで、旅行をはさんで読み終えた本がとてもよかったので、久々に本の感想を。

『風をつかまえた少年 14歳だったぼくはたったひとりで風力発電をつくった』(ウィリアム・カムクワンバ、ブライアン・ミーラー共著、田口俊樹訳、池上彰解説 文藝春秋)

世界最貧国のひとつである、アフリカのマラウィ共和国の住む少年、ウィリアムは、貧しさから中学校の学費が払えず、中学校を中退する。が、近くの小学校の図書室で借りた「エネルギーの利用」という本を読み、独学で家の前に風車をつくり、自力で電力を得ることに成功する。

というお話で、本人によるノンフィクションなんですが、上に書いたのはあくまであらすじ。
わたしはネットか新聞かでこのあらすじまでは知っていて、ちょっと興味があったので、図書館で借りてみたんですが、すごかったよコレ。ホントいろんな意味で。
確かに内容を省略したら上記のようになるはなるんですが、マラウィという国の状況が凄まじい。

お恥ずかしい話ですが、わたしはこの本を読むまでマラウィのことなどアフリカのどこかにある国、という程度にしか知りませんでした。
最近(といってもマラウィの独立は1964年)独立したアフリカの国々にはよくあることらしいですが、独裁者による長い支配で国の政治は破綻状態だったのに、そこに飢饉が起きるのです。あらすじにはひとことも書いてませんでしたが、凄まじい飢饉が起こったのです、21世紀に入ってから。
こういう時のために国が備えておいたはずのトウモロコシ(主食)は、政府の誰かが横領か横流しかしてしまい、国連に借りた分まで国民のもとに届く前に消える有様。著者のウィリアムの家も売る分どころか自分の家で食べる分も事欠く始末で、生きるか死ぬかというようなギリギリの状況の中、ウィリアムの学費も払えなくなってしまいます。

泣く泣く学校を辞めたウィリアムは、苦しい状況の中、小学校に併設された小さな図書室の本で勉強を続け、それがやがて結実するんですが、そこに至るまでの飢えの描写がものすごく、圧倒されます。
学校には行けない、家業の農業を手伝おうにも旱魃で作物が育たない、という中で、ウィリアムは風から電力を得るという発想をつきつめていきます。
本のサブタイトルに「たったひとりで」とありますが、これ、本人が知ったら気分を害するのでは。
確かに周囲のほとんどの人は理解してくれず、頭がおかしいとさえ思われるんですが、いとこのジェフリーと、族長の息子ギルバートだけは常にウィリアムの見方であり続け、常に支援してくれるのです。特にギルバートはお金がなくて必要な部品が揃えられないウィリアムを何度も援助します。族長という有力者の息子で、お金持ちだから、と言ってしまえばそれまでですが、飢饉の際、ギルバートの家では食べ物を求めて放浪する人々を可能な限り助けたのでした。ただの名士じゃない、真の指導者と呼ぶにふさわしい族長も、その息子もかっこいい。

飢饉を耐え忍び、やがて風車を完成させたウィリアムのことがマラウィの新聞に載ってからは、大勢の人の善意を得て道が拓けます。本編のラスト近く、著者のスピーチでの発言「トライして、やり遂げました」は本当にいい言葉だと思います。

一冊の本が彼に知識を与え、未来を与えた、そんなすばらしい話。

何もないところから自分の力で偉業を成し遂げるという物語は、読み物としても優れていて面白かったです。

そして自分は彼よりずっと勉強の機会には恵まれているのだから、何かやってみようかな、などという気にさせてくれる、そんな本でもあります。
個人的にすごくおすすめ。

ちょっとだけネタバレになりますが、マラウィの人たち、家に電気も来てないのに携帯だけは結構持ってるってすごいな・・・。

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