SMEI / ドラベ症候群 / 重症乳児ミオクロニーてんかん について

SMEIの診断を受けた長男に関連して調べたことたち

Buccolam(ブコラム)と薬剤承認の仕組みについて

2015年03月28日 | その他

Buccolamについて、話題になっているみたいなのでEMA(European Medicines Agency:欧州医薬品庁)での記述を調べてみました。Buccolam (midazolam) in EMA

Buccolamって何?
Buccolamは、活性物質のミダゾラムが含まれている薬剤です。これは、口腔粘膜用の液剤(口腔内の歯肉と頬の間の空間に投与される液剤)が入った状態のシリンジにとして提供されています。各シリンジは2.5ミリグラム、5ミリグラム、7.5 mgまたは10mgのミダゾラムを含有しています。

Buccolamは何に使うの?
Buccolamは小児および青年(3ヶ月から18歳未満まで)における長時間続く、急なけいれん発作を止めるために使用されます。
薬剤を入手するには、医師の処方箋が必要になります。

Buccolamはどうやって使うの?
Buccolamは小児の口腔内に投与します。推奨用量は、子供の年齢に応じて、2.5ミリグラムから10ミリグラムの範囲があります。
適切な容量の薬液が入ったシリンジの全量を、ゆっくりと歯肉と頬の間の空間に投与します。
必要に応じて、投与量を、半分ずつ口の両側に分割して投与します。
介護者や親が投与する場合には、子どもが既にてんかんと診断されている場合にのみ、Buccolamが使用できます。
介護者は、決まった用量のシリンジを1本のみ投与することができます。
もしBuccolamを使用しても発作が10分以内に止まらない場合には、直ちに緊急で救急車を呼ぶ必要があります。
生後3~6ヶ月の乳児では、呼吸停止(呼吸抑制)の危険が高くなるため、よく経過観察できて挿管等の緊急措置が取ることのできる病院内でだけBuccolamを使用できます。

Buccolamはどうやって効くの?
Buccolam中に含まれるミダゾラムは、抗けいれん薬として機能するベンゾジアゼピンです。
痙攣は、脳内の過剰な電気的活動によって引き起こされます。
Buccolamは、脳内の神経伝達物質γ-アミノ酪酸(GABA)の受容体に付着し、それらを活性化させます。
GABAのような神経伝達物質は、神経細胞が互いに通信することを可能にする化学物質であり、GABAは、脳内において電気的活動を低下させることに関与しています。
その受容体を活性化することにより、BuccolamはGABAの効果を増大させ、けいれんを停止させます。

どのようにBuccolamは研究されてきたの?
製薬会社は発表された文献から、5つの主要研究の結果を引用しています。
これらの研究では、急性期のけいれん発作を起こした小児に対して、ジアゼパム(ミダゾラムとは別の種類のベンゾジアゼピン)を肛門から直腸に、または、静脈(血管)内に投与する場合と口腔粘膜にミダゾラムを投与した場合の効果を比較しています。
これらの研究の4つは、口腔粘膜にミダゾラムを投与した場合と、直腸にジアゼパムを投与する場合を、10分以内に発作を止めることができるかどうかで比較した研究でした。
残りの5つめの研究は、5分以内に発作を停止することができるかどうかを、静脈内へのジアゼパム投与と、口腔粘膜にミダゾラムを投与した場合で比較した研究でした。

研究結果でどのような効果が認められたの?
発表された文献からの報告では、口腔粘膜へのミダゾラムの投与が小児の発作を止める効果があることが確認されています。
4件の研究では、直腸へのジアゼパムの投与を受けた小児での10分胃内の発作の停止率が41-85%であったのに対して、口腔粘膜へミダゾラムを投与した場合の小児では65-78%ででした。
静脈内へのジアゼパム投与と口腔粘膜へのミダゾラムの投与を比較した場合も、抑制は、非常に類似して結果でした。 

Buccolamの使用に伴うリスクは何ですか?
10%以上の患児で認められる、Buccolamで最も一般的な副作用は、鎮静、傾眠(眠気)、意識低下、呼吸抑制や吐き気や嘔吐です。
Buccolamで報告されたすべての副作用のリストについては、添付文書を参照してください。
Buccolamはミダゾラム、ベンゾジアゼピンまたは他の成分のいずれかにに過敏性(アレルギー性)を持つ小児には使用することができません。
また、重症筋無力症(筋力の低下を引き起こす疾患)、重篤な呼吸不全(呼吸が困難な状態)、睡眠時無呼吸症候群(睡眠中の呼吸の頻繁な中断)または重度の肝臓障害を持つ小児にも使用することはできません。

何故Buccolamは承認されたのですか?
提示された研究の結果に基づいて、CHMPは、小児において、長時間止まらない急性のけいれん発作を止めるためにある既存の既存の治療方法と、
Buccolamは少なくとも同程度に有効であると結論つけました。
静脈内に薬を投与する方が、注射してしまえば薬剤の効果を早く得られるかもしれませんが、特に小児において、静脈へ注射するためのラインを確保するために時間がかかってしまいます。
Buccolamは、直腸または静脈内に薬を投与する場合よりも、投与方法が迅速かつ容易であるという利点があります。
副作用に関しては、他の同様の薬剤と同じように、呼吸抑制を引き起こす可能性がありますが、一般的に許容される程度のものです。
委員会は、そのためBuccolamの利点が、そのリスクよりも大きいと判断して、販売承認が与えられるように推奨しました。

Buccolamについてのその他の情報
欧州委員会は2011年9月5日に欧州連合(EU)全体でBuccolamの販売承認されました。
Buccolamによる治療の詳細については、添付文書(EPAR: European public assessment reportsの48ページ目以降)を読んだり、医師または薬剤師にお問い合わせください。
 
ミダゾラムの経鼻または口腔内投与の効果などについては過去の記事(ミダゾラムの経鼻投与の有用性とその適応承認の状況について)も参照されて下さい。

製造販売会社: Shire 
承認されている国: デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、イギリス


薬剤承認の仕組みについてのコメント:
ミダゾラムの国内での使用については、いろいろと制限が多いです。
少し前まで、けいれん発作に使用することもできませんでしたが、2012年11月に日本小児神経学会が厚生労働省に開発中の製剤を早期に承認するよう要望書(ミダゾラムのてんかん重積状態への適応の早期承認に関する要望)を提出していましたが、2013年9月にけいれんに使用できる製剤が承認されました(抗けいれん剤「ミダフレッサ®静注 0.1%」の製造販売承認取得のお知らせ)。
次にクリアしなければならないのは、投与方法(経静脈以外)で、次に投与場所(医療機関外)になります。
新規の薬剤として製造販売承認を得る方法は、状況を打破する手段となり得ますが、一般的に申請資料をそろえる(治験を行う)ために時間が長くかかります。
また、ミダゾラムは第3種向精神薬に指定されているので、基本的には医療機関内で厳格に管理されていることの整理も必要になるかもしれません(病院・診療所における向精神薬取扱いの手引)。 

日本における薬剤の承認の仕組みでは、一般に製薬会社がPMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)に相談しながら、製造販売承認に関して必要なデータを集め、その後に審査申請をします(PMDA(医薬品医療機器総合機構)の不思議-特集1「医薬品審査」)。

上記に紹介した過去の記事でも記載しましたが、国が薬剤の必要性を判断して、必要性の高い薬剤の開発企業の募集または開発要請を行う仕組みには、厚生労働省の医薬食品局審査管理課の実施している仕組み(医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬の今後の要望募集について)があり、いろいろな分野で活用されています。
既に、この検討会で開発要請が行われて、実際に承認された薬剤も多数あります(医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討結果を受けて開発企業の募集又は開発要請を行った医薬品のリスト)。
要望書の申請には文献検索等を要しますし、医学的な必要性を判断する材料になるので、学会等を通じて要望を行うのが一般的だと思いますが、患者団体や個人からも要望を受け付けているようです(現在も随時受け付けているようですが、今後の検討会の開催については記載されていません)。

 

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8 コメント

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Unknown (子虎ママ)
2015-03-29 02:13:36
すみません、ブラコムについて
先ず知ってからと思いちょっとずつ
調べていたのですが...
こちらの記事、
とてもわかりやすいです!

リンクで私のブログに貼らせていただけないでしょうか?

無理にとはいいませんので、よろしじぇればお願い致しますm(_ _)m
Re: (ブログ管理人)
2015-03-29 10:30:07
子虎ママさま

ご質問いただき、ありがとうございます。
基本的に、記事へリンクしていただくことは問題ありません。
調べたことが内容が、私自身以外の方にも役立てていただけるようにブログに記載していますし、記載する内容の情報源は明確にするように心がけていますが、私自身も有用と思われる情報を引用させていただいていますので。
情報は、多くの人に見てもらえてこそ、影響力を持てるものだと考えていますし、情報を発信する目的が同じ「正しい知識を必要な方に広く知っていただき診断や治療や生活に役立てること等」であれば、是非、情報を活用していただきたいと思います。
ありがとうございました (子虎ママ)
2015-03-29 14:44:45
リンク承諾していただきどうもありがとうございました。

最初のコメント文末、「よろしければ」で訂正お願い致します。お恥ずかしいです。。

こちらの記事のリンクはアメブロの子虎通信というブログに貼らせていただきました。ありがとうございました。
はじめまして (ほのかママ)
2015-03-29 14:49:24
いつも分かりやすい記事をありがとうございます。
拝読させていただいております。

こちらの記事のリンクを、私のブログ記事に貼らせていただいても宜しいでしょうか?
Re: ありがとうございました (ブログ管理人)
2015-03-29 23:14:21
ブログにリンクいただき、ありがとうございました。
子虎くんと、心穏やかに日々を過ごせますようお祈り申し上げます。
Re: はじめまして (ブログ管理人)
2015-03-29 23:17:10
ほのかママさま

ご挨拶いただき、ありがとうございます。
ブログへのリンクはフリーですので、どうぞリンクされて下さい。
何度もすみません (iwasaki)
2015-04-14 15:45:11
以前署名から認可までの流れを説明した個所を資料として利用さえてもらえないかと申しましたが、よくよく考えると、よくない行為だと思い自分で作成することにしました。

ネットの便利さに甘えてしまってました。すみません。
変なコメント送ってしまったこと大変申し訳なく思います。


Re: 何度もすみません (ブログ管理人)
2015-04-15 23:19:50
iwasakiさま

ブログの記載内容について、引用の申し出をいただいたとのこと、メッセージとコメントを見なおしてみましたが、iwasakiさまからの申し出を確認することができませんでした。
エラーか何かで、受け取れなかったのかもしれません。
ブログについてという記事でも記載していますが、このブログに記載している内容は、関係者の方々に利用していただけるように公開しているものですし、内容は私のオリジナルのものではないので、内容に責任は取れませんが、引用していただくことに関しては特に問題ありません。

iwasaki様には、一度、メッセージをいただいたことがありましたが、メールアドレスの記載がなかったため、返信をさせていただくことができませんでした。そのため、今回はいただいたコメントに対して、返信させていただきます。

私は医療従事者としての客観的立場で、疾患を勉強することに慣れているため、勉強したことなら厳しいことも含めて客観的に記載してしまっています。
一方で、同じ医療従事者でも、私の家族は別のとらえかたをしていて、息子の症状も、治療への反応も、予後も、他の方とは異なるはずと考えています。
医学は可能な限り理論に裏打ちされた、客観的な確率論としての話なので、私も実際の患者本人を中心に、必要なサポートを一緒に考えるスタンスの方が、家族としては正しいように思います。
ですから、ここに記載されていることは、過去にはこんなまとめや研究の試みがされていたんだということを知るための場として、iwasakiさまのご家族が、今後、お子様のためにできることを考えるためのひとつの参考として利用いただければ幸いです。

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