胃生検の小部屋

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

Superficially serrated adenoma (SuSA)

2020-02-18 | 大腸腫瘍
S状結腸のポリープからの生検組織です。
2018年のModern Pathologyに新しい鋸歯状病変として本邦から報告され、TSAの前駆病変と考えられています。SuSAとの略称も知られるようになってきました。
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ヘリコバクター・ハイルマニイ Helicobacter heilmannii (gastric NHPH)

2019-07-10 | 胃炎
ハイルマニイ菌がたくさんいたので写真を撮りました。
ヘリコバクター菌属のうち胃に感染しうるH. pylori以外の菌 non-Helicobacter pylori Helicobacter (gastric NHPH)に対する総称としてH. heilmannii sensu lato (広義のハイルマニイ菌)がよく使われています。1984年にH. pyloriが発見され,1987年にはHeilmannらがヒト胃に感染するH. pyloriとはいえない螺旋菌を報告しました。当時のHeilmannらの論文は独文でしたが,1991年にGut誌に発表した英文論文が世界中に知れ渡りました。この論文の責任著者が私の留学中の恩師で,彼から「ハイルマニイ菌はFusilliというショートパスタ(下の写真)に似ているよ」と教わりました。
組織切片でみる特徴は
1.ピロリ菌より長い,大きい。
2.しっかりとしたコイル状である。4~8周程度のしっかりとしたコイルを形成している。
3.腺窩上皮細胞表面に付着しにくい。
4.壁細胞に感染する(分泌細管に侵入)
(2017年の病理と臨床「今月の話題」の一部を改変)


Fusilliのマクロ写真 


陸の王者C622号機。梅小路で静かに余生を過ごしています。今週末は苗穂で弟のC623に会ってきます。


弟のC623号機に苗穂で会えました。今にも動き出しそうです。
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ラズベリー"raspberry" ポリープ, foveolar adenoma/dysplasia/adenocarcinoma, 腺窩上皮型腫瘍

2018-12-17 | 胃癌全般
ラズベリー様外観を示す胃腺窩上皮型腫瘍です。
スキャンした汚い内視鏡写真ですみません。

H. pylori陰性(未感染)胃に発生する上皮性腫瘍といえば,きれいなsignet,Dr Curry typeがんとこのラズベリー様腺窩上皮型腫瘍です。
ラズベリー様外観とは,2016年に出雲地方でチカちゃんが呟いたのが最初で,高輪ゲートウェイ近くの研究会で「最優秀症例賞」,そして,ようやく英文論文がacceptされたようです。結構な頻度でみつかるので,最近の内視鏡系学会でよくみかけます。日本の研究会では腺窩上皮型がんと発表されていますが,WHO分類ではfoveolar-type dysplasia/adenomaになります。
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炎症性ポリープ、食道胃接合部、bizarre stromal cell

2018-05-30 | 食道非腫瘍
食道胃接合部の炎症性ポリープです。
Bizarre stromal cellに注意したいです。Overdiagosisされることがあります。
2015年にも同じネタで投稿していますのでご覧下さい。
生検の採取部位や内視鏡像に注意したいです。

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粘膜内シュワン細胞性過誤腫 mucosal Schwann cell hamartoma

2018-05-29 | 非上皮性腫瘍
お久しぶりです。
粘膜内シュワン細胞性過誤腫をみましたので,アップします。
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胃・十二指腸ランタン沈着症 gastroduodenal lanthanosis

2017-08-17 | 小腸非腫瘍
大変ご無沙汰しています。更新します。ここ最近、注目が集まっているランタン(lanthanum)沈着症です。写真は十二指腸粘膜で、内視鏡的には白色顆粒状でした。絨毛の固有層に赤いものを食った組織球が集簇しています。
隣町の公立病院や隣県の県立病院の症例は見せていただいたことがあるのですが、ここでは初めてです。

前回「GACCD vs. NET」の正解はCarcinoid (NET)です。


室蘭本線栗丘・栗山間です(中学生時代)。
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H. pylori陰性,粘膜下腫瘍様病変より,GACCD vs. NET

2016-12-09 | 胃癌全般
H. pylori陰性(たぶん未感染)胃粘膜.胃底腺領域にみられた粘膜下腫瘍様病変です.
Carcinoid (NET)でしょうか?Dr Curry type胃がん(GACCD, OGP/OGA)でしょうか?
免疫染色像は次回.

国鉄「津」駅にいた少年
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肉芽腫性胃炎 Graulomatous gastritis

2016-12-08 | 胃炎
胃粘膜に類上皮細胞肉芽腫がみつかりました.
Schawmann bodyらしきものもみられます.
胃に類上皮細胞肉芽腫が見つかったから,いろいろな病態を鑑別していく必要があります.
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炎症性線維状ポリープ, Inflammatory fibroid polyp (IFP)

2016-11-01 | 非上皮性腫瘍
 検査依頼書には「Antrum/GC, reddish elevation」からの生検とだけ書かれていました.粘膜深部に異型性に乏しい紡錘形細胞が交錯しています.

好酸球の浸潤が目立ちます.IFPが想起されますね.胃ではほとんどがAntrum発生です.大きくなると粘膜が"ずる剥け"になります.組織所見としては好酸球浸潤に加えて,血管や腺管周囲のonion skin patternというのが有名です.

免疫染色ではCD34が陽性です.

PDGFRAのactivating mutationsが高頻度にみつかるらしいですね.
J Pathol. 2008 Oct;216(2):176-82. doi: 10.1002/path.2393.など参照.


 

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多発性白色扁平隆起 multiple white and flat elevated lesions

2016-10-30 | 胃腫瘍様病変
 胃病理学の総論的な用語に腺窩上皮過形成 foveolar hyperplasiaというのがあります.米軍の病理教科書だと focal foveolar hyperplasia (foveolar hyperplasia)という小見出しになっています.腺頸部細胞増殖帯より表層部の腺窩上皮(表層粘液細胞)が過形成性に増殖し,しばしば蛇行します.個々の細胞の粘液産生も豊富になることが多いですが,吻合部胃炎などでは逆に粘液産生が低下します.
 原因は何でもありで,H. pylori胃炎で慢性活動性胃炎が持続し,foveolar hyperplasiaが目立つ明瞭な隆起性病変(ポリープ)となったものを腺窩上皮型の過形成性ポリープ(foveolar hyperplastic polypとかhyperplastic polyp of foveolar type)とよびます.単に過形成性ポリープhyperplastic polypというものはこれを指すことが多いです.前庭部に多い化学性(反応性)胃炎(疣状胃炎,raised erosion)や,GERDに関連して生じる食道胃接合部の「炎症性ポリープ」の胃側病変もfoveolar hyperplasiaが特徴的です.

 さて,PPI投与例や除菌後に胃体上部から穹窿部大彎に白色調の扁平隆起が多発して認められることが最近注目されています.これが多発性白色扁平隆起で,春間・川口病変ともいわれています.

 このことをよく知らない先生方からは「腸上皮化生?」「腺腫?」を疑って生検されてくることが多かったですが,病理学的には胃底腺粘膜に生じた(focal) foveolar hyperplasia(の一種)なのです.H. pylori胃炎内によくみる過形成性ポリープ(腺窩上皮型)と違って粘膜固有層の炎症が乏しいです(一番上の生検写真,クリック).

 最寄り駅を通過する,知る人ぞ知る「SL北びわこ号回」です.今日はトワイライト色のEF65が牽引していました.運がいいとEF65+C56160(まれにC571)の電蒸運転をみることができるそうです.近い将来はD51200でしょうか?
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リンパ球性胃炎 lymphocytic gastritis

2016-10-15 | 胃炎
リンパ球性胃炎です.
上皮内リンパ球がメッチャ増加しています.CD8+Tリンパ球といわれています.
古くはHaotらによるVarioriform gastritisという論文が有名です(1989年).
メネトリエ病,肥厚性胃炎,スプルー,collagenous gastritis/colitisなどとかぶることがあるようですが,H. pylori胃炎でも反応性にみられることがあります.
スタンフォード大学の病理サイトをみると
May be associated with:
◾Collagenous gastritis
◾Celiac disease:Predominantly antral
◾Helicobacter:Predominantly in body mucosa or diffuse
◾Crohn disease
◾HIV infection
◾Lymphoma
と記載されていました.

身近なヒトが関連している論文ですと,
Verh Dtsch Ges Pathol. 1996;80:208-11. German. PMID:9065003
Intern Med.1998 Dec;37(12):1019-22. PMID:9932632. Free Article
がPubMedでヒットします.前者は独語論文ですが,後者はfree articleです.いずれもピロリ菌関連です.


先日ケルン駅でみた客車列車.牽引は西ドイツ時代に製造された120型電気機関車です.
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collagenous colitis

2016-06-29 | 大腸炎症
2008年10月以来のcollagenous colitisの投稿です.
2008年当時はcollagenous colitisがブームになっていました.
その後,炎症をあまり扱わないところで働いていましたが,今の施設ではちょくちょく経験します.

その時のコピペ(一部改変)です.

いきなり、collagen bandに目を奪われることなく、バンドを見る前に、まずは慢性の「腸炎」であることを認識しましょう。
1) IBD (UC)ほどではありませんが、形質細胞浸潤が深部まで認められます。消化管粘膜では形質細胞は生理的には固有層上部にみられるのです。
2) 表層被蓋上皮が変性し、剥がれそうです。
3) 好酸球もそこそこ認められます。
4) さてcollagen bandですが、「collagen bandが肥厚する」と表現される方が多いのですが、この表現では「基底膜が肥厚する」ものだと誤解されてしまいます。肥厚するのではなく「collagen bandが形成される」のです。collagenous gastritisではしばしば、被蓋上皮直下ではなく、少し下の腺頚部あたりにバンドができることがあります。バンドの中には毛細血管がトラップされています。
2,4)の所見で、水分が吸収されず難治性下痢になるというイメージに結びつきます。
5) IBDではありませんから、陰窩上皮の直線性は保たれています。

最新知見こちらへ:胃と腸51巻4号 pp.450-462(2016年4月)


桃太郎が全速力で近所の駅を通過します.
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大腸絨毛腺腫,villous adenoma

2016-06-08 | 大腸腫瘍
きれいな絨毛腺腫がありました(写真クリック!).
大腸絨毛腺腫ではGNAS変異がとても特徴的です.下記論文が参考になります.
Frequent activating GNAS mutations in villous adenoma of the colorectum.
J Pathol. 2012;228:113-8
Frequent lack of GNAS mutations in colorectal adenocarcinoma associated with GNAS-mutated villous adenoma.
Genes Chromosomes Cancer. 2014;53:366-72.



粘膜下層浸潤部では低分化なmucになっていました.


ランクル70とライオン
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H. pylori陰性がん -未感染胃の微小褪色域-

2015-12-03 | 胃未分化型癌
 萎縮のないH. pylori未感染と思われる胃粘膜にみられた2-3mmの退色域からの生検です.この領域の第一人者に聞くと「きれいな胃粘膜内で白く輝いてみえる」そうです.
 一瞬でsigと診断できる生検組織像ですが,これを間違うと病理医生命が危うくなりますし,内視鏡の先生に納得してもらうため,さらに若い病理医への指導のため,特殊染色・免疫染色しました.PAS陽性の中性粘液をもち,AE1/AE3(左下)陽性です.これでいいのですが,右下のCD68染色を見ますと,うっすら染まっている細胞があります.もしxanthomaと思い込んでCD68染色だけすると失敗する可能性が出てきます.一般的ではないので提示していませんが,MUC5ACも上の方で染まっていました.
 免染の評価も大事ですが,signet ring型の細胞が粘膜深部から表層に向かって大きくなっている(粘液が豊富になっている)ことをみることが重要です.
 なお,最近の「胃炎の京都分類」では,H. pylori statusを未感染,現感染,既感染(除菌後,自然除菌後)に分類することを重視しています.病理もそれらに対応することが必要です.

 下の写真はこの前立ち寄った「瀬田駅」です.JR西ではなく,JR九州(豊肥本線)です.熊本県大津町にあります.
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rectum, carcinoid, NET, ly/v

2015-10-16 | 大腸腫瘍
 直腸carcinoid(WHO分類のNET G1相当)です.大きさ5mm程度です.断端陰性.
 D2-40染色してよくみるとリンパ管侵襲があります(下の写真).
 最近の有名誌の論文で,平均5mmの直腸NET G1で内視鏡的に完全摘除したもの87病変を平均67.5ヶ月経過観察したところ1例もrecurrenceやmetastasisがなかったそうです.ところが,全例免疫染色・特殊染色を行って必死で観察するとなんと42病変(46.7%)で脈管侵襲(ly and/or v)がありました.小さな直腸carcinoidの診断に際して,ly/vの有無でmetastasisのriskを評価することに疑問を投げかけています.
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