家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

住宅価格の変動のしかた

2007年10月03日 | 家について思ったことなど
昨日のエントリで、欧米の中古住宅市場のことを好意的に紹介したものの、ミスリードする恐れに気づいたので補足しておく。

少なくとも米国においては、現在、住宅価格が下落している。
そう、最近話題のサブプライムローン問題がその背景にある。住宅の購入が難しかった低所得層に住宅ローンを組ませたことが住宅価格の上昇をあおる一因となり、住宅価格の上昇に陰りが出てくると、行き過ぎた信用供与がアダになってローン返済が困難になった人が住宅を手放し、市場に放出されることになった。なまじ住宅の売買市場が発達しているだけに供給がダブつけば中古住宅の価格も簡単に下落するわけである。
こうなると、いかに家を手入れしていい状態を保ったとしても、資産価値の劣化は免れない。いかに「よいもの」であっても市場における需給の原則の前には金額的な価値は保証されない。

サブプライム問題はこれからむしろ大きな時限爆弾が破裂すると言われている。クレジットクランチの行末はともかく米国の住宅相場の先行きは暗い。

じゃあ、日本のほうがリスクがなくてよいのか、というとそんなことはない。
そもそも日本では、家屋を新築したとたんに、ほっといても家屋の資産価値がエスカレーター式に劣化していく仕組みになっている。これはリスク以外のなにものでもない。
それに、やはり需要が供給を大きく上回れば価格は下落する。
足元を見れば、業者が、日銀の利上げや消費税の税率アップを読んで駆け込み需要を狙って仕込んだ物件が大量にあり、それが当てが外れて在庫整理に動くと言われている。やはり住宅相場の先行きは明るくない。

まあ日本では、住宅取得後に値上がりするなんてそもそも期待していない分、個人は痛手とは思わないかもしれない(相当に安い物件が出てきたら「待てばよかった」と思うかもしれないが…)。また、これから家を…と考えている個人からしてみても、価格が抑えられてラッキーとも言える。
つらいのは住宅業界。駆け込み需要での一儲けを企んだ業者から損失覚悟の在庫整理物件が出終わったあとに、利上げや消費税率の上げがあったら、住宅市場は相当に冷え込む。
荒れ模様のなか、良質な造り手が淘汰されたりしないことを願う。