家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

世界一小さなスケジュール手帳

2006年01月20日 | レザークラフト
先日のエントリで、小さなモノ(道具)が好きなことをカミングアウトした。
いきおいで、最近手に入れた小さなモノを紹介してしまう。
世界一小さなスケジュール手帳である。
縦5.2cm・横3.8cm、ドイツ製。
1件分のスケジュールなら書き込むことは不可能ではない、というレベル。決して実用的ではない。
よくよく考えたら、表記はドイツ語だし、休日もドイツ基準。さらに実用から遠い。

ということで、現実的には「話のタネ」という実用性しかないことに気づき、こうしてエントリのネタに使うことにしたのだった。
狭小住宅が話題になる日本だから、こうした極小モノが好きな人もいるだろう。

このままでもつまらないので革でカバーでも作ってみようかなどと考えている。
自動的に世界一小さな手帳カバーになるはずである。

オリジナルPost-itホルダー 極私的新商品開発

2006年01月16日 | レザークラフト
Post-itホルダーを作った。
ふと、「今年は積極的にメモをとろう」と思い立ったからだ。

メモは携帯しないと意味がないのでコンパクトなサイズがいい。
75mm×50mmのPost-itがちょうど収まるサイズにした。閉じると手のひらに乗る小さな手帳のようになる。
Post-itはそもそもコンパクトで、メモをとるのに優れたツールだが、素のままで保持すると、収まりが悪く、どこかへいってしまったり、分離してしまったりする。その欠点を補うためにはホルダーになっているといい。

このホルダーにはペンも付けた。Post-itだけ持っていても筆記具を持っていない、などという間抜けな事態を防ぐためだ。
ちなみに、コンパクトさを追求した付属のペンはプラチナ万年筆の新製品「ポケットミニボールペン」(¥1050)。長さ82mmが軸を回転させて92mmに伸びる構造。使用するとき、この10mm差があなどれないのである。
参考URL: http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=119471&lindID=4

さらに、書き込んだ紙片を貼り付ける台紙をセットした。ペン付きのPost-itホルダーは過去にも製作したことがあるのだが、極限までコンパクトさを追求したソレ(※)には紙片を貼り付ける場所がなくて困ったという経験があったのだ。
1P目に書き込んでも、2P目、3P目と書き進めばいいように思うが、2P以降はPost-itの「のり」の部分には書き込めないし、めくりながら書いていると紙にクセがついて型崩れし、5Pくらいまとめてめくると紙の剛性から、そこから勝手に分離してしまったりするのである。
それにPost-itの良さとは、メモを貼り付けて俯瞰できるところにある。冊子のままで、目に触れない情報になっているのでは効果的な利用にならないのである。
そんなことを考えながら作った台紙は0.3mm厚の黒い塩ビシートを切って、布テープでつなぎ、じゃばら状にしてある。とりあえず4面分、貼り付ける場所を確保した。一時的な貼付場所としてはなんとか機能するだろう。
普段は「じゃばら」が広がらないよう、ベロ状の「押さえ」もつけた。

実は、Post-itホルダーは銀座の伊東屋でも売っている。しかし、それにはペンと台紙は付いていない。
メモを取る機能が一つで完結しているところにこのホルダーのミソがある。

こんなふうに新商品開発工程のようなものを極私的に楽しめるのがクラフトの面白さでもあると私は思っている。


<言い訳>
少し前にオーダーを受けたナイフシースはクライアントの方が忙しくて打ち合わせする時間がなく、停滞中。

※ 過去に作ったPost-itホルダーのこと。
 このときの開発コンセプト(笑)は「実用的なレベルの極小メモツール」。身軽な格好が好きであるにも関わらず、いろいろなものを持ち歩きたいというややこしい性格の私はそもそもコンパクトなものが大好き。25mm×75mmのPost-itと伊東屋オリジナルの手帳用のシャープペン(長さ86mm、軸径5mm)を組み合わせた。これは手の中に隠れてしまうサイズになった。新旧を並べた写真はコレ


<<追記>>
「ポストイットホルダー」で検索してこちらのエントリにいらっしゃる方が多いので、
その他の関連エントリを以下に紹介しておく。

ポストイットホルダー付きIDカードホルダー

大人の仕掛け筆箱

ポストイットホルダー kisaragiバージョン

エルメスより先んじる


カスタムナイフのシース作り(1)

2005年12月21日 | レザークラフト
 
またもやナイフシースづくりのオーダーが入った。前回と同じ知人からである。
前回はファクトリーナイフだったが、今度はハンドメイドのカスタムナイフである。
仕事をリタイアして趣味三昧の方が作ったものを譲り受けたらしい。よくもらいものをする人物だ。徳というものか。

例によって、ナイフについてメモしておく。

全長 262mm
ブレード長 144mm
ミラー仕上げ、蛤刃、鋼材は不明
ハンドル材は黒檀

オーソドックスな形状とはいえカスタムナイフなので前回よりは凝ったデザインにしてみたい。
ただ、発注者からまだ具体的な要望が来ていないので、どんなシースになるかはわからない。

どのみち、年内はやることが多すぎてとりかかることはできない。前回よりさらにゆっくりとした進行になりそうである。


完成――ナイフシース作り(6)

2005年08月27日 | レザークラフト
 コバ磨き――ナイフシース作り(5)からの続き

 ということで、ナイフシースは完成した。

ジャンパーホック部分が出っ張るのは想定の範囲内ではあるが、やはり目立つかも。
ちょうどいいアクセントになったと思うことにする。

 ハンドルが黒なので、シースも黒くしたが、単色でなくて別の色を入れても良かったかもしれない。ファクトリーナイフでなくてカスタムナイフだったらもっと冒険的な試みをしてみたい。

作成途中、「もう少し余分に寸法をとっておいた方が良かった」と気がついた部分が2カ所ほどあった。革の場合少しは伸びるので、1、2mm程度の誤算ならなんとかなってしまうが、反省点として今後にいかしたい。

コバ磨き――ナイフシース作り(5)

2005年08月25日 | レザークラフト
 手縫い開始――ナイフシース作り(4)からの続き


レザークラフトにはコバ磨きという工程がある。
革の裁断面はざらざらしていて、そのままでは見た目も悪く、カスも落ちる。そのため、磨いて固める必要がある。それがコバ磨きである。なお前回のエントリの写真がコバ磨き前である。
前回紹介したようにナイフシースの場合、裁断面を合わせた分厚い縫い合わせ部分があるため、ほかの製作物以上にコバ磨きが重要な工程となる。
普通は、コバ面をヤスリ(カンナも可)で削ってならしたあと、コバ処理剤を塗ってスリッカーという道具(縁にぐるりと溝をつけた円盤のようなもの)で磨く。
ただ、今回のコバは厚過ぎて、溝が小さい円盤状のスリッカーは使えない。
そこで、自作した棒状のスリッカーを使った。
スリッカーは固く目が細かい木が好ましい。写真の下に写っているのが自作のスリッカーだが、これは「カリン」で作ってみたものである。他に「黒檀」と「サクラ」でも作ってあるが、使った感じではどれも悪くはないと思う。
コバ処理剤は「オーリー」の黒を使った。

相当磨いたつもりだが、写真ではその苦労がいまひとつにじみでていないのが残念である。

手縫い開始――ナイフシース作り(4)

2005年08月23日 | レザークラフト
型紙――ナイフシース作り(3)からの続き


 レザークラフトにおいて、ナイフシース作りの特徴は分厚い革を縫うことである。今回、ブレード側の縫い合わせ部分は4mm厚の革を2mm厚の革で挟む形にするので、2+4+2=8mmの厚さのものを「縫う」ことになる(ちなみに既製シースは7mm厚の木を2mm厚の革で挟んであったので11mm厚だった)。こうなると縫う過程で針がなかなか手で抜けないことがあり、その場合、ペンチで引き抜く。
布を縫うのとはまったく異なる世界なのである。
 
 針を通す穴は縫製前にあけておくのだが、これだけ厚いものになると、穴の位置あわせがとても重要になる。だから型紙にも穴を開けておいた。そして革に穴を穿つにあたり、垂直に通るよう神経を使った。
今回は糸が盛り上がらないように、ステッチンググルーバーという道具を使って革の表面に溝を切り、その溝に糸が収まるように縫っている。このナイフとシースは狩猟時の道具として野山でハードに使用することが想定されるため(収めるナイフ――ナイフシース作り(1)参照)、何かに糸を引っ掛けて切ってしまうのを避ける狙いがある。
私は「持ち歩くモノ」を作るのが好きなのだが、それはフィールドワークを想定していろいろな条件を探って設計することに面白味を感じているせいだ。

持ち歩くかどうかは別にしても、実用を伴うモノの設計って、芸術品と違って「デザイン」と「機能」が親和したり、時に闘ったりするところに醍醐味がある。その点は家でも日用品でも同じだと思う。

型紙――ナイフシース作り(3)

2005年08月21日 | レザークラフト
既製シースについて――ナイフシース作り(2)からの続き。

ずいぶん間が空いてしまったが、ようやっと型紙を起こした。

時間がかかったのは、ハンドルとブレードの厚さの違いから、収まりに悩んだせい。そして、ちょっとクライアントを驚かせたいとおもいつつも、面白い案が浮かんでこなかったせいだ。いや、面白そうなアイディアはなくもなかったが、今回の案件は実用第一なので、採用できなかった。

で、結局、一見なんの変哲もないシースになりそうである。
ただ、工夫はある。ヒルトとハンドルのホールドの仕方と、ちょっと変わったベルト通しと本体の連結である。
既製シースの弱点2つ(前エントリ参照)も解消できると思う。

実は興が乗ってきて、型紙ができたらすぐに裁断をしてしまった。
縫製はこれからだが、うずうずしているのでここからは早いかも。


既製シースについて――ナイフシース作り(2)

2005年07月28日 | レザークラフト
 「収めるナイフ BUCK119――ナイフシース作り(1)」からの続き

 シースナイフ「BUCK119」には当然のことながら、既製のナイフシースがついている。
このナイフシースも何回かモデルチェンジをしているようで、現在市販しているタイプとは異なる。

新しくナイフシースを作るにあたって、この既製のナイフシースについてポイントをまとめておく。

・ 色は黒一色。ナイフのハンドル色(黒)に合わせたと推定できる
・ 長さ280mm、最大幅45mm、最大厚35mm
・ 革厚2mm
・ 幅広の革でくるみこむようにハンドルをホールド。同時にヒルト(鍔の部分)も押さえる。ジャンパーホックで留める仕組み。ホックの位置はエッジ側のハンドル部分
・ ベルト通し付き。ベルト通し部分は可動式で、ベルトにつるせばシース本体は左右に振れる
・ ベルトに装着した場合、ハンドルのバット(後端部分、柄頭)がベルトとほぼ同じ高さになる。
・ シースのブレード部分エッジ側は7mmの木が革の間にはさみこまれている。エッジ部分のシースの厚みは11mm。背の部分の最大厚は17mm。

なかなか機能的なシースだが、ハンドルをくるむ幅広な革が、やや抜き差しの障害になっている。また、ブレード収納部の「あそび」がやや大きく、ナイフを装着して揺らすとカタカタ音がする。新シースではこの2点は改善したいところだ。

収めるナイフ BUCK119――ナイフシース作り(1)

2005年07月24日 | レザークラフト
 現在、ナイフシース作りの構想中。
 まず、シースに収めるナイフのことについて記録しておくことにする。

 このナイフは知人の所有物で、BUCKという米国の大手ナイフメーカーの製品である。型番は「119」といってスタンダードなラインの量産品で、めずらしいモノではない。
 ただ、このナイフは新品ではない。まごうことなき道具としての「現役」であることが普通のナイフと異なる点だ。
私もナイフを何本か持っているが、使用頻度はものすごく低い。
日本に存在する大抵のナイフはそうではないだろうか。ナイフにあこがれて所持したものの、使うきっかけもなくしまいこんでいる人は少なくないはず。
 このナイフはエアライフルで狩猟をする知人が、狩猟仲間の大先輩から譲ってもらった物で、道具としてハードに活用されていたものだ。使用者はこれを腰にぶら下げて野山を駆けめぐり、獲物をさばくことにも使っていたようだ。りんごの皮むき程度にしか使ってない私のナイフと比べてブレードの砥ぎ減りのし方にもどことなく貫禄がある。

 「ちゃんと」使われたナイフが「受け継がれる」というのもなかなかめずらしいこと。この機会に知人はシースを新しくしたいと考えたようだ。
知人によると、現在、狩猟人口は減り続け、世間一般を上回るスピードで老齢化が進んでいるという。そうした状況で道具の引継ぎが行われ、それに関わることになって、こちらにもプレッシャーがかかるのである。

免許証ケースが完成

2005年07月21日 | レザークラフト
 妻のバッグのあと、製作にとりかかっていた自分用の免許証ケースが完成した。
 作ろうと思ったのは、免許更新時に警察でもらった免許証ケースの、あまりのちゃっちい作りとダサい装丁にうなだれてしまってからだ。
 そういうことでずいぶん前から作るものリストに入っていたのだが、家の建て替えと(家の中の片付け途上で白い目を回避するために)妻のモノ優先という事情から後延ばしになっていたのだった。

 構想をまとめるのにやや時間を要したが、パーツの少ない構成にできたため、製作時間は短くてすんだ。といっても、新幹線通勤で帰宅後、一日すこしずつ作業するという進め方なので日数はかかってしまった。

 免許証ケースと言いながら、結局はカードケースでもある。市販のカードホルダーのパーツを挟み込むカバーを作成したといってもいい。

 今回もヌメ革を使用したが、厚さの違う2種を組み合わせた。
外側は黒く染めた厚めの革を使った。内側は茶色の薄手の革をポケットに使っている。
茶色はちょっと変わった方法で色をつけているが、それは企業秘密。

ポケット部分を使ってケースの一辺を玉縁状(真の玉縁とは違うが)にするアイディアが浮かんだとき、このケースのデザインが決まったといっていい。
黒と茶の組み合わせでシブく決めよう、と考えたのだが、糸を焦げ茶にしたら、なんとなくチョコレートのようなムードをかもし出すことになった。夏にはあまり向かないデザインになってしまった。


次にとりかかるのは、知人から依頼のあったナイフシースである。ナイフシースは何度か作ったことがあるのだが、今回はちと考えることが多いので時間がかかるかもしれない。

バッグが完成

2005年07月02日 | レザークラフト
ワークショップ稼動第一号となった妻のバッグがようやっと完成した。
ヌメ革を手縫いしたモノ。
前面と後面に大きくポケットをとってある。スナップで開閉する。
本体はファスナーで開閉する。
ヌメ革なので最初はデリケートだが、日焼けさせるとだんだんあめ色になって表面も丈夫になる。

私の「作品」(笑)のコンセプトはだいたい
「素朴」「愛嬌」「丈夫」「便利」
である。
使う人にいろいろな意味で安心感を持ってもらいたいと考えながら作る。


次の作成予定は
免許証ケースである。




革モノづくり

2005年05月04日 | レザークラフト
レザークラフトを始めたのは、欲しいモノが市販品に無かったことがきっかけ。
自作のきっかけとしては珍しくは無いが、私の場合、欲しいデザインのモノがなかったというより、欲しい機能が備わっていなかったという面が強い。
機能といっても大げさなものばかりでもなく、ある物を収納するのにぴったりのサイズのポケットがない、なんてことも含む。
自分は大小問わずそういうヘンなコダワリが好きである。
そのせいか、込み入った要件のあることが製作の動機となることが多い。人から頼まれて作るのも、変わった注文があるほど燃える。

<今までに作った、ちょっと変わったモノ>
・ポストイットとペンホルダーの付いた携帯電話ケース
・メモはさみ機能つき財布
・バナナの皮を剥くようにファスナーで開閉し、開くと筆立てとなる筆入れ
・八角形の楽器「コンサーティナ」のケース
・背広の内ポケットに入れているときも手触りだけで裏表が分かる両面定期入れ
・和服を着たときも様になる男物の革のセカンドバッグと江戸時代の紙入れ風財布
・ベルトに装着し、小銭を出し入れするのが完全に片手だけでできる小銭入れ
・銃身に据付可能なエアライフルの弾丸ケース

「開くと筆立てになる筆入れ」と「男物の紙入れ風財布」は市販品にもコンセプトが同じモノが出てきたのを確認しているが、作ったのは私が先(笑)。


ワークショップ稼動――妻のバッグ作り

2005年05月02日 | レザークラフト
 家の中がぼちぼち落ち着いてきたこともあって、このGWからレザークラフトの作品づくりに取りかかっている。ワークショップの本格稼動第一号作品となる(はず)。
 作るのは妻のバッグである。
妻のために作った初代のバッグはもう10年選手で、いかんせんガタがきている。新しく作ることは2年くらい前から約束していた。それが単身赴任や家づくりのため、のびのびになっていた。
 
 オーダーメイドによる革製品作りの工程は、簡単にいうと以下の通り。

   クライアント(たいていは自分だったり)の要望調査
    ↓
   アイディア、デザインのスケッチ
    ↓
   デザイン確定
    ↓
   型紙おこし
    ↓
   裁断
    ↓
   染色
    ↓
   縫製
    ↓
   仕上げ

  同じオーダーでの「モノづくり」ということもあるが、注文住宅の建築工程と似ている。
 バッグ作りは現在「型紙おこし」の最中で、建築でいえば「実施設計」段階とでも言えそう。

 ちなみに、住宅設計の世界から革製品づくりの世界に「移籍」した方もいる(LINK)。
 その変遷はなんとなく理解できる。

<住宅と革製品の共通点>
「立体であること」
「日常使うものであること」
「素材にもよるが、使い込むほど味が出てくること」