家電製品の「進歩」

2006-09-20 07:58:44 | Weblog
最近、わが市に売り場面積の巨大な家電量販店がリニューアルオープンした。2階が洗濯機だの冷蔵庫だの台所くさい製品、3階がパソコンを主とした製品を置いている。退屈するとこの店に行って何も買わずに眺める。見て楽しいのはオーブンだのレンジだのという調理関係のコーナーだ。なぜここが楽しいのか考えてみた。たぶん、「進歩」が少ないから、ではないだろうかという気がする。このコーナーの製品はいずれも水を温めたり食品を加熱して焼いたり蒸したりするキカイばかりだ。そういうキカイにはそうそう「巨大な進歩」などあるはずがないのだ。そう、電気ポットなど、湯を沸かし保温するだけのキカイだから、進歩しようがない。変るとすればせいぜいデザインくらいだ。これが何やら心をほのぼのとさせるようなのだ。大昔40年も前だったか、単に湯を沸かすポットが発売されて、何と便利なキカイかと驚いてさっそく買ったものだ。湯を入れてコードを差し込む。しばらくするとジジと湯が沸く音がする。しまいには沸騰する。この音のプロセスは聞いていて快いものだった。持っていたのはたしか1リッター入りのキカイだったようだ。それと事実上同じ構造の1リッター用の単なる湯沸しポットがここで売られていたのだ。これを見た時はふと数十年前に帰ったようで嬉しかったね。そう、別に保温機能などは要らない、という独身者にとっては便利な製品なのだ。こういう製品には「進歩」などはあり得ないわけだ。保温装置つきのポットもある時期で「進歩」はピタリと止まってしまったようですね。毎年同じ機能で同じデザインだ。これは気持ち良いことなのだ。

それに反して、3階に登るとあらゆる「進歩」に取り囲まれる。たとえばビデオである。今ではテープによるビデオは消滅寸前で、それに代わってDVD録画機が全盛である。これが騒々しいのだ。つまり、***とか***とか、考えられるありとあらゆる新しい機能を満載している。そして1年に2回もモデルチェンジするのだ。ケータイも同じ。パソコンも同じ。まるで新幹線で突っ走っているようなものだ。
そういえば、電気洗濯機もその意味では騒々しいキカイのようだ。真横から洗濯物を入れたりする。背の高い人は困るのではないかな?まさか、そのうち真下から洗濯物を入れる機種が出現することだけはなさそうだけれども。

ま、品物によって度合いはさまざまだが、もう少しそっと静かに進歩してもらえないものかと思うことしきりである。