みなさんこんにちは。
貧困の連鎖って言葉をよく耳にします。
私が若かった頃は「そんなの本人の努力次第だろ。」と思っていたのですが…
いざ自分が組織に属してみると、個人の努力ではなかなか現状を変えられないって事を実感しました。
衣食住で精一杯だと教育や人脈、健康や文化、預金や投資などできませんもんね。
税は富を再分配する役割を担います。
お金いっぱい持っている人がより多く負担する仕組みになっています(金額では)
でも、お金持ちのお金の出所は大多数の貧困層から時間も労力も健康も、文化的な生活も、その他様々なものを搾取して得ているお金です
おっと、愚痴が長くなりました。
この富の再分配の役割を果たさなければいけない税金ですが、なかなかうまく機能しないと批判が出ます。
今回は私の仕事になじみの深い住宅関係
日銀の資金循環統計によると、2017年度の住宅ローン残高(金融機関による個人向けのもの)は約200兆円である。住宅はとても高額な財なので現金一括で購入する消費者は少なく、一般的な消費者は住宅ローンを組むケースが多いです。
住宅には借家と持ち家の2種類がありますが、戦後の住宅政策では持ち家を重視し、個人の自助努力による住宅取得支援に重きが置かれました。
この住宅取得支援政策の中核をなすのが「住宅ローン減税」です。
日本において、その始まりは1972年から6年間でスタートした「住宅取得控除制度」であり、住宅ローンに係る控除分が初めて導入されたのは1978年でした。
その後、「住宅取得促進税制」等を含め、制度の中身や名称が何度か変わり、現在のところ、「住宅ローン税額控除制度」に落ち着いています。
同制度は、10年以上の住宅ローンを利用して住宅を購入(増改築を含む)した場合、一定のルールに基づき、支払うべき所得税の一部が控除される仕組みです。
控除限度額は年末の住宅ローン残高×1%で上限は40万円となっており、住宅ローン税額控除制度の減税総額は、数年毎の税制改正で変化しますが、年間概ね5000億円~1兆円未満の範囲となっています。
なお、住宅ローン減税については、これまでも随時拡充されており、現状は住宅ローン年末残高5000万円(長期優良住宅等の場合。それ以外は4000万円)が上限となっています。
では、低・中・高所得階層のうち、住宅ローン減税の恩恵はどの階層が最も受けているかについて考えたことはありますか?
答えは簡単で、低所得階層を除く、中・高所得階層です。
そもそも、生活が厳しい低所得階層は高額な財である住宅を購入する余裕はありません。
つまり、住宅ローン減税控除制度の主な利用者は中・高所得階層なのです。
実際、「住宅・土地統計調査」のデータに基づき、世帯年収別の持ち家率・借家率を見てみると、以下のとおりです。
年収100万円未満の世帯の持ち家率は約4割ですが、年収2000万円以上の世帯の持ち家率は約9割にも達します。
住宅ローン減税政策は、住宅を取得可能な豊かな者の租税負担の軽減を、低所得層を含むそれ以外の者が納めた税金などで賄う仕組みになっており、租税原則の公平性を損なう可能性があります。
また、近年の税制改正で中央政府の税体系の重心は直接税(例:労働所得税・法人税)から間接税(例:消費税)にシフトしてきており、消費税等へのシフトは低所得層の税負担が増すことを意味するため、その傾向は一層強まる可能性があるのです。
しかも、住宅ローン減税の財源を財政赤字で賄った分は、その負担を将来世代に押し付けていることも忘れてはいけません。
なお、住宅ローン減税は、国の景気対策という側面も強調されてきました。
新築住宅はその他家具など耐久消費財等の購入にも波及するといったさまざまな経済波及効果があるという説明もありますが、住宅ローン減税は地方税まで連動しており、一般的な所得減税ならともかく、このような政策誘導型の税制に地方税がつきあうのは租税原則からの逸脱となる可能性もあります。
さらに、住宅ローンの一部は住宅金融支援機構を通じて証券化されていますが、暗黙の政府保証があり、住宅ローン担保証券で大きな損失を被ったアメリカのジニーメイ・ファニーメイのような問題も抱えています。
以上の問題などから、このような住宅ローン利子控除制度は、住宅政策上、その援助を最も必要とする階層を助けるようには機能していない等の批判が台頭し、イギリスでは2000年、ドイツでは1994年、フランスでは1997年に廃止されています。
すなわち、住宅ローン減税を廃止し、限られた資源を公平かつ効率的に活用する観点から、その削減分については、一定の所得水準以下の世帯を対象とする「住宅手当」などの拡充に利用されています。
住宅手当は、世帯ニーズに応じて最低限の居住水準を確保するためのもので、欧州では最低生活保障のプログラムの一部をなす根幹ですが、子ども手当と異なり、日本での認知度は低いです。
貧困高齢者は「住まいの貧困」にも陥っているとの指摘も多いですが、少子高齢化が急速に進む日本では、これから貧困高齢者が大幅に増加する可能性が高いです。
試算では、いま65歳以上のうち約100万人が生活保護の貧困高齢者ですが、それは2048年に2倍超の200万人を突破し、2065年には215万人にも急増する可能性があるとのことです。
人口減少で「空き家」が急増する日本では、住宅ローン減税の見直しや住宅手当拡充の検討のみでなく、空き家の有効活用も含め、現物給付での住宅政策のあり方も検討を進める時期にきているのではないでしょうか。
…でも…私の…仕事上…やっぱり家を売らなくては…いけなくて…
どうなる日本
貧困の連鎖って言葉をよく耳にします。
私が若かった頃は「そんなの本人の努力次第だろ。」と思っていたのですが…
いざ自分が組織に属してみると、個人の努力ではなかなか現状を変えられないって事を実感しました。
衣食住で精一杯だと教育や人脈、健康や文化、預金や投資などできませんもんね。
税は富を再分配する役割を担います。
お金いっぱい持っている人がより多く負担する仕組みになっています(金額では)
でも、お金持ちのお金の出所は大多数の貧困層から時間も労力も健康も、文化的な生活も、その他様々なものを搾取して得ているお金です
おっと、愚痴が長くなりました。
この富の再分配の役割を果たさなければいけない税金ですが、なかなかうまく機能しないと批判が出ます。
今回は私の仕事になじみの深い住宅関係
日銀の資金循環統計によると、2017年度の住宅ローン残高(金融機関による個人向けのもの)は約200兆円である。住宅はとても高額な財なので現金一括で購入する消費者は少なく、一般的な消費者は住宅ローンを組むケースが多いです。
住宅には借家と持ち家の2種類がありますが、戦後の住宅政策では持ち家を重視し、個人の自助努力による住宅取得支援に重きが置かれました。
この住宅取得支援政策の中核をなすのが「住宅ローン減税」です。
日本において、その始まりは1972年から6年間でスタートした「住宅取得控除制度」であり、住宅ローンに係る控除分が初めて導入されたのは1978年でした。
その後、「住宅取得促進税制」等を含め、制度の中身や名称が何度か変わり、現在のところ、「住宅ローン税額控除制度」に落ち着いています。
同制度は、10年以上の住宅ローンを利用して住宅を購入(増改築を含む)した場合、一定のルールに基づき、支払うべき所得税の一部が控除される仕組みです。
控除限度額は年末の住宅ローン残高×1%で上限は40万円となっており、住宅ローン税額控除制度の減税総額は、数年毎の税制改正で変化しますが、年間概ね5000億円~1兆円未満の範囲となっています。
なお、住宅ローン減税については、これまでも随時拡充されており、現状は住宅ローン年末残高5000万円(長期優良住宅等の場合。それ以外は4000万円)が上限となっています。
では、低・中・高所得階層のうち、住宅ローン減税の恩恵はどの階層が最も受けているかについて考えたことはありますか?
答えは簡単で、低所得階層を除く、中・高所得階層です。
そもそも、生活が厳しい低所得階層は高額な財である住宅を購入する余裕はありません。
つまり、住宅ローン減税控除制度の主な利用者は中・高所得階層なのです。
実際、「住宅・土地統計調査」のデータに基づき、世帯年収別の持ち家率・借家率を見てみると、以下のとおりです。
年収100万円未満の世帯の持ち家率は約4割ですが、年収2000万円以上の世帯の持ち家率は約9割にも達します。
住宅ローン減税政策は、住宅を取得可能な豊かな者の租税負担の軽減を、低所得層を含むそれ以外の者が納めた税金などで賄う仕組みになっており、租税原則の公平性を損なう可能性があります。
また、近年の税制改正で中央政府の税体系の重心は直接税(例:労働所得税・法人税)から間接税(例:消費税)にシフトしてきており、消費税等へのシフトは低所得層の税負担が増すことを意味するため、その傾向は一層強まる可能性があるのです。
しかも、住宅ローン減税の財源を財政赤字で賄った分は、その負担を将来世代に押し付けていることも忘れてはいけません。
なお、住宅ローン減税は、国の景気対策という側面も強調されてきました。
新築住宅はその他家具など耐久消費財等の購入にも波及するといったさまざまな経済波及効果があるという説明もありますが、住宅ローン減税は地方税まで連動しており、一般的な所得減税ならともかく、このような政策誘導型の税制に地方税がつきあうのは租税原則からの逸脱となる可能性もあります。
さらに、住宅ローンの一部は住宅金融支援機構を通じて証券化されていますが、暗黙の政府保証があり、住宅ローン担保証券で大きな損失を被ったアメリカのジニーメイ・ファニーメイのような問題も抱えています。
以上の問題などから、このような住宅ローン利子控除制度は、住宅政策上、その援助を最も必要とする階層を助けるようには機能していない等の批判が台頭し、イギリスでは2000年、ドイツでは1994年、フランスでは1997年に廃止されています。
すなわち、住宅ローン減税を廃止し、限られた資源を公平かつ効率的に活用する観点から、その削減分については、一定の所得水準以下の世帯を対象とする「住宅手当」などの拡充に利用されています。
住宅手当は、世帯ニーズに応じて最低限の居住水準を確保するためのもので、欧州では最低生活保障のプログラムの一部をなす根幹ですが、子ども手当と異なり、日本での認知度は低いです。
貧困高齢者は「住まいの貧困」にも陥っているとの指摘も多いですが、少子高齢化が急速に進む日本では、これから貧困高齢者が大幅に増加する可能性が高いです。
試算では、いま65歳以上のうち約100万人が生活保護の貧困高齢者ですが、それは2048年に2倍超の200万人を突破し、2065年には215万人にも急増する可能性があるとのことです。
人口減少で「空き家」が急増する日本では、住宅ローン減税の見直しや住宅手当拡充の検討のみでなく、空き家の有効活用も含め、現物給付での住宅政策のあり方も検討を進める時期にきているのではないでしょうか。
…でも…私の…仕事上…やっぱり家を売らなくては…いけなくて…
どうなる日本