nebbia

ネッピア
「霧」

「写真撮っても、真っ白なだけだよ」
レオンさんが、私に言う
霧の中、タクシーはひたすら走る

午前五時、あたりはまだ暗い
昨日家に帰ってきたときと同じ、空の色



横浜で電車を乗り換え、羽田空港へ
まだ6時過ぎだというのに、車内は仕事に向かう人で混んでいる
みんな朝早くから大変だ・・・

空港に着きチェックインを済ませて早めに搭乗口へ
検査を受けるが、身体の何かが反応し
入念なボディチェックを受ける
腰のコルセットかな・・・？

入ったところで酔い止めの薬を探すが、売っていない
地上乗務員に尋ねると、ロビーに出ないと買えないと言う
時間は多少あったが、また検査を受けることを思うと
諦めたほうが懸命だ・・・
「ご案内しますから、行きましょう」と彼女が言う

別に薬がなくても大丈夫なのだが
飛行機嫌いの私にとってはひとつの安定剤なのだ

無事に薬を買い、再び検査口へ
・・・不思議と今度は、何も鳴らずに通れる

「お気をつけていってらっしゃいませ」
〝神〟という字のつく苗字をもった彼女とは、ここでお別れ

ありがとう、女神さま・・・

7時35分出発


晴天に恵まれ、飛行機は揺れることなく長崎へ
着陸態勢を告げるアナウンス
何ごともなく・・・と思いきや、再び上昇する機体

進入路に霧がたちこめ、着陸ができない
この便の前に2機、着陸を待つ飛行機がいるので
20～30分、このまま待機するという

さらに、10時まで状況を見て
着陸もしくは、福岡空港へ向かう判断をする、と
機長のアナウンス

客室乗務員も乗客も、不安げに窓の下を見る
どうやら、前の2機は、福岡へ向かったらしい・・・

そして運命の10時
「着陸態勢に入ります」
真っ白な霧をかきわけ、機体は着陸した

よく、この霧の中降りてこれたなぁ・・・

20分早く着くはずだったフライトは
1時間上空旋回したため、結局40分遅れての到着となった

レオンさんとうっかりん、3人でタクシーに乗る
ここから50分ほど走って、目的地へ



緑と水辺の多い美しい街
どこか、別の国に来たみたい
日帰りでは、もったいないな・・・



帰りは、船で空港へ
ちょうど夕陽の沈む時間



窓越しに見える夕陽に、逗子の海を思い出す
早く帰りたいと、気もちが急に逸りだす・・・

byがん


追記（2007.2.9）
おまけの一枚

レオンさんと、うっかりん
二人を追う、私・・・ちょっと笑える図
（私は写っておりません、念の為）

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