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追悼 宮城喜久子さん

2015年01月04日 | ニュース
 昨年大晦日に、元ひめゆり学徒の宮城喜久子さんが亡くなった。86歳だった。
 

 「ひめゆり平和祈念資料館」で修学旅行の中学生たちに体験を語る宮城喜久子さん。(『ひめゆりの少女』高文研より)
 
 今朝の新聞で知ったが、テレビなどのニュースでは報道されなかったのではないだろうか。(見逃したのかもしれないが)
 講演会でお話をうかがった他、沖縄でも何度かお会いした。いつも「ひめゆり平和祈念資料館」の野戦病院のレプリカの前で、修学旅行の生徒たちにお話をしていた。一昨年あたりからあまりお見かけしなくなっていたので気になっていたが、体調を崩しておられたのではないだろうか。
 新聞によると、卵巣がんだったそうだ。
 
「若い人が私たちの体験を引き継いでくれているから、もうまかせてもいいんだけど」と言っていたが、資料館に来るのは日課のようになっていた。
 東京町田市の和光学園で講演したときに、生徒の保護者というには若い、20代と見える女性が質問した。
「お話を聞いていて感じたんですけど、そんなひどいことになるんだったら、どうして断らなかったんですか?」
 あたかも、今になって文句を言うなら最初から断れば良かったのに、とでも言いたそうな怒ったような物言いだった。
 宮城さんのように戦争を全面否定する人への反発からくる、右翼的な考えの人なのかとも思ったが、宮城さんが「断れるような状況じゃなかったのよ」という一言で黙ってしまったから、ただの無知だったようだ。
 しかし、今の若い人たちがいかに戦争の実態を知らないかを象徴するシーンだったので、強く印象に残っている。
 
 敗戦から70年である。戦争体験者はますます少なくなって、20~30代で戦争体験者の話を聞いたことがないという人は60%を超えたそうだ。
 安倍晋三はますますファシスト化し、国民を管理して戦争への道を進もうとしている。
 今朝のTBSテレビで、ドイツがヒトラー政権のもと、どのようにファシズムの道に進んでいったか、映像をまじえて放送していた。ナチスの前段階が今の安倍政権と酷似していることに驚き、ぞっとした。
 
 宮城さんのような戦争体験者はもう数えるほどしかいない。とくに、もともと少なかったひめゆり学徒の生き残りでお話をうかがえる人は限られている。宮城さんの1学年下のひめゆり学徒、東京杉並在住の上江田千代さんも、今は単独では行動できない。
 杉並には「戦争体験者100人の声を聞く会」というのがあるが、そこで話をしてくれる人も、年々少なくなっている。
 若い人のほうから積極的に声を聞く機会を持ってほしいと思う。
 
 宮城喜久子さんのご冥福を祈る。
 

  宮城さんの著書『ひめゆりの少女』(高文研発行 税別1400)


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