ひまわり博士のウンチク

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朗読会

2010年08月08日 | アート・文化
 広島・長崎に原爆が投下されて65年。今年も6日から9日にかけて、各地で様々なイベントが行われている。
 『原爆詩集 八月』を使っての朗読会も何カ所か行われていて、実にありがたいことだと思う。
 7日、そのうちの一つ「I hate war! 『愛へいわ』コンサート」と題する朗読会のご招待を受けて伺った。

Matsukawa1
 
 この世界は狭い、と言ってしまえばそれまでだが、奇遇の連続だった。
 まず、出版社から連絡を受けたとき、主催する松川真澄さんが旧知のナレーターで『全国お郷ことば・憲法九条』に付属するCDでも協力を願ったN君と同期だと紹介されていた。
 さらに、彼女の名刺の住所を見ると、事務所どうしが「町内会」といえるほど近い。
 そして、女優である彼女の師匠が、ぼくが演劇をやっていた頃の師匠で、かつ、演劇界の大御所であるF氏であることも知って驚く。
 さらにさらに、開場で先だって『けーし風』の会合でご一緒したWさんに声をかけられた。
 
 
 第一部で、みながわじゅんさんというミュージシャンの弾き語りがあって、第二部が朗読、三部で戦争体験者の話を伺うという構成である。
 
 第一部の弾き語りはきれいな曲が多かった。しかし、歌詞の内容が「命」とか「愛」とか、いささか精神世界的な匂いが強く感じられて、「?」が頭の中をめぐる。
 
 第二部の、松川真澄さんの朗読はさすがにレベルが高い。
 長年の経験からか、独自の解釈によるしっかりした世界観をもっておられることがわかる。
 詩ではないが、『ちいちゃんのかげおくり』がとくによかった。これは市原悦子さんの朗読でも有名だが、松川さんのは内容が素晴しく良く伝わる。変に入れ込みすぎないところがいい。
 詩の朗読というのは、人がいうほど簡単ではない。
 短いセンテンスの連続する文体の中に、作者の思いがぎっしりと込められているのが詩なのだが、それだけに、読者によって受け取るイメージがまったく異なる場合がしばしばである。
 朗読は朗読者の解釈が表現されることになるから、ある意味でイメージを強制的に固定するものでもある。聞く側にとって知っている詩であれば、それが違和感をおよぼすこともある。
 しかし、文としての詩を音にすることで、そこに新しい世界が開けることは事実だ。
 優れた朗読は、作者からも読者からも離れて、そこに新しい芸術作品が創作される。
 
 過去に、優れた朗読者であり、僕自身もファンであった宇野重吉さんと岸田今日子さんがいた。ともに故人だが多く録音が残っていて、今聞いても新鮮さが失われず、何かしら新しい発見がある。
 
 原爆詩の朗読といえば、吉永小百合さんが有名だ。先日もNHKで放送された。吉永さんには『原爆詩集 八月』の推薦文もお願いした。
 彼女の平和に対する明確な姿勢は、実に尊敬に値する。若いタレントが反戦平和を唱えれば、事務所から必ずストップがかかる世の中である。反日だの共産主義だのと批判されることを恐れてだが、いまだにそんな輩がいると思うと日本とは変な国である。大女優として押しも押されぬ立場の彼女を露骨に批難する人はいない。
 
 尊敬する女優の一人だが、個人的には吉永さんの原爆詩の朗読は「?」がつく。彼女の声の質はけっして明るいものではない。そして、原爆の詩に明るいものはほとんど見当たらない。彼女独特の深く入り込む表現方法は、いささか気を滅入らせる。(個人の感想である)
 
Matsukawa2
 
 松川さんは『全国お郷ことば・憲法9条』から秋田弁を朗読してくれた。CDでは前述のN君が朗読している。
 
 
 第三部ではサロントークとして戦争体験者の発表を聞くものだが、そこに真っ先に手を挙げたのは先ほど声をかけて来たWさんだ。
 子供の頃に体験した「銃後」の暮らしの苦労話が手帳に書かれていて、それを読み上げた。彼女ともう一人発言があった。
 ただ、戦争体験は話し始めると必ず長くなる。それを主催者が知っていたのかどうか、やはり時間が足りなくなった。
 戦争体験者をなめてはいけない(笑)。
 
 開場は市ヶ谷の「パステラリア五條」というイタリアンレストランであった。ご招待だったので値段のほどはわからないが、味はなかなかのものである。
 
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