菅首相のＧｏＴｏトラベル推進根拠「利用者感染率は一般の１／４００」そんな馬鹿な！／少数派

　少数派シリーズ　特設｜新型コロナウイルス ＶＯＬ．１０９
菅首相のＧｏＴｏトラベル推進根拠「利用者感染率は一般の１／４００」そんな馬鹿な！


投稿者より／年末年始をまたいでも政治の不誠実は
忘れてはならず、新年から取り上げます。

■科学的根拠がない出鱈目な数字を使って国民を欺くＧｏＴｏトラベル
菅首相が、突如、ＧｏＴｏトラベルの停止・中断を発しました。これ自体は賛成しますが、今の今までアクセル全開だったが、いきなりの急ブレーキ。理由は、国民の命を守ることより内閣支持率が急降下したからです。全くもって極めて停止・中断の動機が不純で、菅首相の本音はＧｏＴｏトラベルをやめる気はさらさらないのです。旅行業協会会長でもある、二階自民党幹事長に脅されていることもあります。そのため未だに、ＧｏＴｏトラベルが感染を広げる「エビデンス」（証拠）はないと言い続けているのです。苦し紛れに出してきた数字が、観光庁が出自の「ＧｏＴｏトラベル利用者の感染者はたった２５５人」。そのデータと東京大学チームが出した調査結果を比較し、いかに菅首相がＧｏＴｏトラベルの感染に、科学的根拠がない出鱈目な数字を使って欺いているかが明らかになってきました。簡単にその検証をします。

▽データ１　菅首相・加藤官房長官発言　（出自：観光庁　数値は２０．１２上旬時点）
ａ）「ＧｏＴｏトラベル利用者　のべ５，２６０万人　　ＧｏＴｏトラベルによる感染者２５５人」

政府が出した数値・資料はたったａ）だけで、このデータを基に
松原耕二氏のＢＳ－ＴＢＳ番組「報道１９３０」が比較数値を提示したのが次の計算
ａ）の感染率は、２５５人　÷　５，２６０万人　＝　０．０００４８％

ｂ）国内市中の感染率　（２１年１月３日現在）　＊一般に公表されている数値
日本の人口　約１．２５７１億人　　感染者数　２４６，０３６人　　感染率　０．１９６％
ａ）　÷　ｂ）　＝　１／４０８　　（４０８倍・安全）

▽データ２　東京大学などによる共同研究チーム（いわゆる東大チーム）の調査
調査実施日　８／２５～９／３０　　対象２８，０００人
嗅覚・味覚の異常を訴えた人の割合
ＧｏＴｏトラベル利用者　２．６％　　非利用者　１．７％
統計学上の調整を加えると、有症率は約２倍
ＧｏＴｏトラベルが感染拡大に関係している可能性を、国内で初めて示唆

■ウイルスは便利な乗り物を持っている・それはヒトでそれに乗ってどこへでも行ける
菅首相や加藤官房長官が、直接、ＧｏＴｏトラベル利用者の感染率は一般の約１／４００とは発言していませんが、政府の出した数値と一般感染者率とを比較すれば、同じ意味を成すと考えます。言わばＧｏＴｏトラベルに出掛けたほうが、『４００倍も安全』ということになってしまいます（苦）。「報道１９３０」レギュラーコメンテーター堤伸輔氏は、怒りと皮肉を込めてこんなコメントをしました。『（政府の）数字が本当なら、明日から国民全員がＧｏＴｏを続ければ・・・そうすれば、限りなく感染者がゼロに近づく。政治家の皆さんも、全員出掛けて下さい』。なお政府のＧｏＴｏトラベル感染者の算出根拠は、ＧｏＴｏ後に感染者となった当人や、宿泊者の感染が判明し宿泊業者が保健所に申告した数値なのです。問題は、当人も業者も厄介なことになると申告しない人が多数いると思われます。従って、極めて少ない数字を示していると思われます。菅首相は、当然、そうした事情を知りながら強引にＧｏＴｏトラベルを進めることは、国民の命を重要視していない証拠です。

一方、データ２の東京大学などの研究チームは、科学的根拠に基づいた調査結果であり、極めて信憑性が高いことは間違いありません。こんな立派なデータを活用しないどころか無視し、出鱈目な数値を言い続ける菅首相の異常性を感じます。自民党・公明党も物を言わず、全く国民の命を蔑ろにする行為です。ＧｏＴｏトラベルが安全と言うなら、厚労省アドバイザリーボード座長の脇田隆字氏（国立感染症研究所長）に指示して、調査させればよいのです。国立感染症研究所はこういうことが本業なので、喜んでやるでしょう。しかし未だに依頼しないことは、ＧｏＴｏトラベルによって感染が拡大することが分かってしまう、それが立派な「ＧｏＴｏトラベル感染拡大エビデンス」になってしまうことを恐れているからです（苦）。

新幹線・航空機は室内の換気循環が早く感染は低いとされていますが、ＧｏＴｏトラベルの旅行先で何度も食事をする、観光スポットを回っていれば密になり感染の可能性が高まり、また浮かれて感染対策が疎かになるのは容易に分かります。評論家の伊藤惇夫氏は、別のＴＶ番組の中でこう語りました。「ウイルスは便利な＜乗り物＞を持っている。それはヒトだ。それに乗って、どこへでも行ける」。つまりＧｏＴｏであれ何であれ、人間が動けば感染は広がるのです。当初、神奈川在住の中国人と札幌雪祭りの来日中国人がウイルスを持ち込んだとされますが、それが全国津々浦々まで感染者が出てしまいました。白鷗大学の岡田晴恵教授も仰っていた通り、感染学にとって＜人の移動＞によって感染が拡大することは基本中の「基本」なのです。菅内閣のＧｏＴｏトラベルの「感染エビデンスがない」とか出鱈目な数字を使うこと、科学的根拠を無視することは、国民の命を大切にしない行為であり、感染拡大を推進させることなのです。一方、ドイツのメルケル首相は物理学者であり、科学的根拠をもってコロナ対策を行っています。今後の号で、その姿をお伝えします。


次号／１１０・危機招いた大失政の反省ないまま再び「緊急事態宣言」 国民に責任を押し付けるな
１０８・新型コロナウイルスシリーズをご覧頂いた皆様へ「感染対策して新年を！」