優先順位

彦根城からの帰り、駅で自分の乗る新快速を待っていた。

私はもともとせっかちなので、時間ぎりぎりと言うのが苦手なタイプ。
なので、乗りこむ時間の5～10分前には必ずホームにいたいほう。

そのせっかちな私より先に、彼女はホームのベンチに座っていた。
歳の頃22～3。
茶髪で花冷えの日だったのに、短いパンツから黒いタイツの足を見せている。
うつむいて熱心にメイク中。
マスカラの重ねづけに夢中（笑）
それが済んだと思ったら携帯を取り出してずっと何やら読んでる？風情だった。

新快速が到着して、降りる人を通して乗りこもうとした時、彼女がばたばた駆け寄ってきた。
『この電車、※§Ж∀△駅に停まりますか？』　はいっ？
『どこ？』
『○○駅』ここでようやく駅名が聞き取れた。

木下なんちゃらというタレントによく似た彼女はご丁寧にもブルーのカラコンを入れてるけど、残念な事に平板な顔立ちは隠せない。
いや、そんな事はどうでもいいけれど。

『私も観光客だから分からないわ、そこの時刻表の下を見なさい』と言って乗りこんだ。
即、発車。
当然、彼女は乗れない。　まぁ、乗ってから停まらないと分かればどこかで降りると言う手もあったろうけど、言わない（笑）

バカじゃないかと思った。
少なくとも私より先にホームにいたんだから、新快速が彼女の降りたい駅に停まるかどうかは調べられたはず。
駅で切符を買った時に駅員さんに訊くもよし、携帯を触っていたのだから携帯で調べるもよし、私が示したように時刻表の下に、快速だの新快速だのの停まる駅は○で囲んであるんだから見とけばいいじゃない。

それが済んでからお化粧でもなんでもすればいい。
人前でのメイクはとってもカッコ悪いと思うけれど、それすら当たり前みたいな光景になってきたからおばちゃんは今さら驚きもしない。
それより、ちゃらちゃらメイクは熱心なくせに、肝心な事がおろそかになっている事の方が驚く。
もし大事な待ち合わせだったらどうなんだろ。
あ～ぁ、それも私には関係ないけど、ね。