『子供たちにとっての本当の教科書とは何か』 ★学習探偵団の挑戦★

生きているとは学んでいること、環覚と学体力を育てることの大切さ、「今様寺子屋」を実践、フォアグラ受験塾の弊害

「学体力」が過保護を超克する⑩

2013年07月20日 | 学ぶ

「考える」機会・「考え続ける」チャンスが奪われていく日々(続)
 作業や行動の過程での思わぬ失敗や降りかかる難題・やむを得ぬ必要性によって「学び」はすすみます。「考える力」が身につきます。

 特に、野外でのインプット・アウトプットを伴った全身を使った活動の場合、感覚器官・脳のはたらきも、そのスケールがちがっているはずです。記憶に関わる印象度もまったくちがいます。そのくり返しによって生まれた経験と工夫で、新しい問題を解決する力が身につき、「生きていく力」も育まれていきます。
 かつて3Cといわれた機器。家事や日常生活を「快適」にする「便利な道具たち」。その発達によって、ぼくたちは「文明の利器」の恩恵に浴する一方で、疑問に思う機会やたくさんの考えるきっかけを失ってしまいました。
 ここ四半世紀は特に、道具のメカニズムやシステムが多くの人の知識水準を遙かに超え、「成り立ちやしくみを考えてみる」というような「身近な感覚」からは遠ざかりました。「スイッチを押す」だけで「考えなくてもよい」。さらに「スイッチ」があるから「考える必要がない、考えてもわからない」という「考えることを放棄する、放棄せざるを得ない」時代が始まっています。
 小さいころから「便利な機械」の中で育つことは、「考える」機会が少なくなるということです。子どもたちの「考える力」が育てられるきっかけの多くは「スイッチ一つの楽な体験」ではなく、「動き、考え、動きという身近なアナログ体験」から得られるはずです。
 「不思議に思うことや疑問に思うこと」、それを「考えること」。子どもたちの日常生活は、かつて遊ぶこと・手伝うことをふくめ、さまざまな一連の作業や手順からなっていて、そのそれぞれに考えることや小さな問題を解決する経験がともなっていました。

 魚を釣ろうと思えば、まず釣り竿づくりから始めなければなりません。竹の種類の判断・竹が生えている場所の探索・生育の年数・太さ長さ重さの判断・しなり具合、そして切り出し、枝の払い方や使い勝手の工作。ざっと振り返っても、これだけの作業や手順を踏み、考え、経験を積みます。意識はしていませんでしたが、すべて考えることがともなっていたはずです。

 コンピューターの操作はどうでしょう。指先でのキーボードの操作。理由がわからない突然のフリーズ。操作とは別に勝手にピョンピョン飛び跳ねているキャラクター。「中身を知ることが出来ない、知るまでには至らない道具」。素人が分解しても判断は不可能で、無意味です。手がかりがありません。
 身体を使い簡単な遊び道具をつくり、道具使った経験で身についた感覚が勘を育て、「しくみや成り立ち」を理解することで道具の使い方や行動の意味がわかります。手作りですから、思うようにならない作業の過程で「がまん」を覚えます。

 失敗を「肌で感じ、考えていく」なかで応用力や創造力が育まれていきます。多くのこうした「考える機会やきっかけ」がなくなってしまっているのが現代生活です。子どもが「考えられない」という大きな原因の一つに、こうした日常生活の変化は関係していないでしょうか。
 いずれにしろ、「考える習慣」「考え続けるきっかけ」がどんどん少なくなっていきます。小さいころに「考えること」・「考え続けること」を学ばせたいという指導方針の根っこがわかっていただけたでしょうか。

 「学体力」の飛躍は「考えること」・「考え続けること」によってはじまります。そして、「学ぶおもしろさ」は「考えること」によって、「自らの環境や目の前の問題を自ら解決できたこと」ではじまります。そうした環境が日常生活から失われて行きつつあることはまちがいありません。それは、見方を変えれば、学ぶおもしろさを「獲得」する貴重な機会の喪失です。

 相変わらず教育ママゴンや受験社会で強制されつづけている、多くの子にとって「がまん」だけの受験勉強とゲーム三昧の「息抜き」。この「二点セット」では、夢多いはずの小学生時代も、まるで日曜日のゴルフやテレビ観戦「だけ」を楽しみに日々を送る、「生活に疲れたサラリーマン生活」です。 
 自らの学生時代の想い出や反省を踏まえて、できればこれからの子どもたちには少しずつその状態からの脱出を図ってほしい。「学ぶおもしろさ」を取り戻してほしい。「学ぶおもしろさ」がわかれば(身につけば)、たとえば「勉強嫌い・理科離れ・学力低下・・・」などの、勉強に関わる問題点はほとんど解消します。ぼくは、今それを夢見、方向を探っています。


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