『子供たちにとっての本当の教科書とは何か』 ★学習探偵団の挑戦★

生きているとは学んでいること、環覚と学体力を育てることの大切さ、「今様寺子屋」を実践、フォアグラ受験塾の弊害

考える種 その3・学習しなければならないのはなぜか?

2013年11月23日 | 学ぶ

消耗を誘うフォアグラ授業と教育ママ

 「子どもたちが学習(勉強)しなければならないのはなぜか」。その理由がきちんと子どもたちに伝わらないと、意欲をもって学習をつづけることはむずかしいとお話ししました。
 現在のように、「意味もわからないまま」フォアグラ授業を受け続けていれば、学習は遅かれ早かれ袋小路です。意味や理由がわからないまま強制されても、いつまでも続けられるものではありません。
 数年前のことです。「中学受験用」私立小学校に通学していた女の子が伝を頼って入団してくれました。一人っ子で、まだ二年生でした。勘も鋭く、頭の切れも十分で、生まれつきの頭の良さを感じることができ、先々楽しみでした。

 しかし、小学校受験を経験していますから、その時点で少なくとも4~5年間の「受験生生活!」をつづけています。勉強をめんどくさがるようすが明らかでした
 2年生でしたから反抗らしい反抗もせず推移していましたが、お母さんは典型的な教育ママです。小学校と家庭で勉強漬けの毎日のはずです。今風に甘やかし、勉強にはうるさく厳しい。「勉強させるために甘やかしている」というようすも随所に見られました。ある日、お母さんから「宿題を出して欲しい」という依頼が来ました。
 腕白ゼミ(2~3年生)の間、団は宿題を課しません。それよりその時間を使って、もっとたいせつなことを身につけて欲しいからです。宿題は4年生からで十分です

 二十年近く、この方法でつづけています。この指導方法で、中学受験はもちろん、以前紹介したように大学進学にも少しも悪影響はありません。かえってそうしたゆとりのある勉強の方が、後々受験や学習意欲の醸成に好結果をもたらすという実感があります
 ところが「どうしても出して欲しい」という依頼です。学習のようすをくわしく聞いてみると、やはり「中学受験用」小学校ですから、それなりの宿題量はあるし、お母さん自身も、しっかり日々の演習用問題集を用意してノルマを課しているようです。

 そのようすや課外学習での親子関係を見ていて、「こんなようすでは遠からず破綻するな」と感じました。「宿題は4年生まで出さない」こと、「それは学習周辺の、また学習内容を身近に感じることができる『環覚』を気持ちに余裕をもって養ってほしいからだ」と理由も話しました。
 それより、必要以上に甘やかさないこと。勉強の前に、「してはいけないこと、逆に有無をいわさずしなければならないこと」があることをきちんと教えるように、と何度もアドバイスしました。お母さん・お父さんには結局理解してもらえず、数ヶ月で退団。
 その後です。紹介者の伝で聞くと、現在6年生の彼女は、やはり「困った状態」のようです。「勉強しない」「してもわからない」。
 しかし、通っているときの手応えでは、中学受験ではトップ校合格はまずまちがいないという予想ができた子です。わからなかったり、できないはずはありません「わからなくなってしまっている、できなくなってしまっている」ということです。消耗。学習意欲の喪失です。

学習意欲の喪失を生んだ四つの原因
 こういう結果を生んでしまったおおきな原因は四つです。

 まず、勉強する意味もわからないままフォアグラ授業をつづけたこと。それによって学ぶおもしろさには手が届かなかったこと。手が届く余裕がなかったこと
 次に、小学校の学習内容は実は身近なもの・手のとどくところにあるもので、本当はおもしろいものであることがわからなかった。ふだんから気がつき、よく見ればおもしろいことがたくさん発見できることを知らなかった。つまり「環覚」を養えず、日々の学習内容がすべて「机上の空論!」に終始してしまったこと。それでは学習はおもしろくありません。

 また、「勉強させるための甘やかし」が逆効果で、ふだんは遊んでいても、「時には、四の五の言わず頑張らなければならないことやタイミングがある」ということを教えられなかったこと
 最後に、勉強しなさいとは言い続けても、なぜ勉強しなければならないかを自ら考え、自らの経験やことばで、かみ砕いて伝えられなかったこと。以上です。
 こうしたたいせつな点がないがしろにされ、毎日毎日めいっぱいの宿題やフォアグラ授業が続けば、その過程で、先ほどの女の子のように消耗してしまう子がたくさん出るでしょうし、勉強がおもしろくなる子もほとんどいないでしょう。
 仮に受験だけを乗り越えられたとしても、次にモチベーションを上げるまでが大変です。「私立中高六カ年難関校では、その間にどんどん学習が進んで、なかなか成績が上がらないまま落ちこぼれていく」ということでしょう
 教育に携わっているぼくたちやお父さん・お母さんは、子どもたちの学習がおもしろくならない、これらの大きな原因をいつまでも放置せず、正面から取りあげ改善・改良していかなければなりません。
 前シリーズでも紹介しましたが、小学校の時には問題にならないくらい学力差があった団のOB諸君が奈良県と大阪府のトップ校の大学進学率に引けをとらない成績をあげる理由は、「それらの問題点がクリアされている子が多く、中・の6年間に爆発力を発揮できるからだ」と僕は信じています。

 先週は記憶のしくみや脳のはたらきから、子どもたちに「なぜ学習しなければならないか」を伝える一つのアイデアを提案しました。来週は脳のしくみを、ぼくなりに、もうすこし考えてみます。子どもたちにもわかるように(笑い)。
 なお、フグのリーフレットは今度の立体授業で取りあげるトラフグ調理の案内です。「生きているものを食する」という立体授業の指導の一環です。おもしろい報告ができると思います。お楽しみに。

 


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