ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

人並のレベル

2011年04月08日 | 通信-社会・生活

 先週水曜日、大学の大先輩AKさんから「飲みに行きませんか?」とのお誘い電話があった。前回誘われた時「こんな大変な時は遠慮しましょう」と私は断ったのだが、大先輩が「奢るから」と言うのを、二度続けて断るのは失礼だと思い、今回は応諾した。
 大先輩は私が貧乏であることを知っている。何故貧乏しているかも知っている。だから毎度毎度奢ってくれる。その上、「私は年金生活者なんですよ」と、ちゃんと釘を刺しつつも、私が人並の生活ができるようにと、あれこれアドバイスもしてくれる。
 「何とか、それなりの収入があるようにしないと。」と言う大先輩に、
 「貧乏でも、体が元気であれば芋作って、芋食って生きては行けます」と私は答えるのだが、大先輩は納得しない。生きているだけではダメなようだ。大先輩の思う人並の生活をしなければダメなようだ。そのためには今の仕事を辞めて、「新たな就職口を探しなさい!」、または、「自ら起業しなさい!」などと仰ってくれる。

 AKさんと私、先輩後輩と言っても、在学中に何らかの関わりがあったわけでは全く無い。つい数年前に、私の親友であるOHを通して、たまたま知り合っただけである。それでも、大先輩は後輩のことを心配してくれる。有難いことである。
  有難いことで、感謝もしているが、でも、大先輩の想定している「人並のレベル」と、私の想定している「人並のレベル」には大きな開きがあるように思う。
 ほとんど毎日毎食外食し、美味しいものを食べ、ゆったりとした時間を過ごす。夜は飲み屋に行って、医者やら学者やら社長やらと会い、今の政治を憂い、明日の希望を語る。そんなこんなの経験を積み重ね、自らの人生を豊かにする。それはそれは楽しかろうと私も思う。でもそれは、私の想定する「人並」では無い。
 セレブは高級レストランで食事する。高級ブランドの服やバックやアクセサリーで身を飾る。高級クラブや高級料亭や高級ホテルで美女を相手に大人の遊びをする。それはそれは楽しかろうと私も思う。でもそれも、私の想定する「人並」では無い。

 沖縄の夏は激しく暑いが、私はここ30年、クーラーを使ったことが無い。実家の私の部屋にも、今のアパートにもクーラーが付いていないからだが、金に多少余裕があった頃でも私はクーラーを導入しなかった。クーラーが無くても生きていけるからだ。私は地デジの準備もしていない。7月以降はテレビを観ないつもり。テレビも高級レストランも高級ブランドも高級クラブも私には必要無い。それらが無くても生きていけるから。
 国民のほとんどが、その欲望する「人並」の生活をするためには国全体が金を儲けなければならない。金を儲けるためには電気が必要となる。電気は、火力発電では地球温暖化対策に逆行するし、ソーラー発電ではコストが高すぎて、儲けに逆行する。だから、火力発電よりコストが安く、ソーラー発電と同様に二酸化炭素を排出しない原子力発電が良かろうとなる。そして、「もっと儲けるため」にという大義名分で、国と国民の(間接的)多数決によって原発は作られた。国民の一人として私も文句は言えない。
 そこで考えた。国民の全てが「人並」のレベルを一つ下げる。電力消費がそれによって下がる。原発は無くてもいいよ、あるいは、ソーラーでいいよとなる。レベルを一つ下げると、少々貧乏でも枕を高くして寝られるという安心が得られる。・・・と思う。
          

 記:2011.4.8 島乃ガジ丸