ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

アオバセセリ

2014年11月28日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 セセリチョウを広辞苑で引くと挵蝶と漢字が充てられていた。挵るは「爪楊枝で歯をせせる」の「せせる」だ。念のため広辞苑を引くと、1に「「つつく。ほじくる」、2に「(小さな虫などが)くいつく」、3に「さぐりもとめる。あさる」、4に「もてあそぶ。からかう」とあった。「もてあそぶ」という意味もあったのかと勉強になった。
 もてあそぶは「持ちて遊ぶ意」と広辞苑に語源があるが、「女をもてあそぶ」の場合の意味をすぐに連想する。「人を慰みものにする」ということだ。しかし、その他「手に持って遊ぶ」や「慰み愛好する」といった意味もある。「慰み」もまた、「人を慰みものにする」の「慰み」は「貞操をもてあそぶこと」で、「慰み愛好する」の「慰み」は「たのしみ」といった意味で使われる。日本語はややこしい。

 アオバセセリから「青葉を挵る」と連想し、「青葉を弄ぶ」情景を思い浮かべた。この際の「弄ぶ」は、善人の私なので「青葉を手に持って遊ぶ」の意味だ。
 目には青葉 山時鳥 初松魚
という句を思い出した。目には青葉、山ほととぎす、初鰹。初夏の句だ。私の撮ったアオバセセリの写真も5月、初夏の沖縄、ヤンバルの森の中。

 アオバセセリ(青羽挵):鱗翅目の昆虫
 セセリチョウ科 本州~琉球列島、東南アジアなどに分布 方言名:ハベル
 名前の由来は資料が無く正確なところは不明。アオバセセリは広辞苑にあり青羽挵りと漢字が充てられ「翅は青緑色を帯び」とあり、そこから来ていると思われる。セセリはセセリチョウが広辞苑にあり、同じく「挵り」という字が充てられている。「挵る」は「つつく。ほじくる。」(広辞苑)、または、「(小さな虫などが)くいつく。」(〃)、あるいは、「さぐりもとめる。あさる。」(〃)などのこと。セセリチョウ科の仲間は花の蜜を吸う時、「つつく。ほじくる」ように見えるのかもしれない。
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「成虫は、森林の中が好きで・・・」とあり、私が見たのも沖縄島北部、大宜味村の森の中。私の畑近くにも森と呼べる箇所があるが、そこではまだ見たことが無い。大宜味の森と西原の森とではその深さが違うからだと思う。
 前翅長28ミリ内外。琉球列島に分布するが、その中に「宮古諸島は除く」とあった。また、八重山諸島産は亜種のタイワンバナナセセリとのこと。
 成虫の出現時期は、八重山諸島ではほぼ周年、沖縄諸島では3~11月。幼虫の食草はヤマビワ、ヤンバルアワブキ、ナンバンアワブキなどとのこと。
 
 成虫1   

 記:ガジ丸 2014.11.24  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『検索入門チョウ』渡辺康之著、株式会社保育社発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行