ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ヤコウガイ

2017年04月07日 | 動物:魚貝類

 ダンゴより花

 もう何年前になるか、大学生の頃だと記憶しているので40年近く前になるか、1人で茅ヶ崎近辺をブラブラして、江ノ島へ渡った。橋の途中途中に屋台があり、サザエ壺焼、焼きハマグリ(正確な名は覚えていない)とかいった看板があった。高校生の頃から酒好きだった私は、その看板の誘惑には勝てず、1軒の屋台へフラフラと入った。
 ビールを頼み、サザエとハマグリを頼んだ。ビールを飲んで「旨ぇ」と思い、サザエを食って「旨ぇ」と思い、ハマグリを食って「旨ぇ」と思い、幸せな時間を過ごした。その時、サザエよりハマグリの方がより旨いと私の舌は感じたが、サザエにしても、これまで食べてきたサザエよりずっと旨いと感じた。「新鮮だから」ということなのであろう。

 もう何年前になるか、首里石嶺の古いアパートに住んでいる頃だから10年から20年前ほどになるか・・・パソコンの中に写真があった、食べ物として紹介してあった、それによると2006年7月のこと。高校の同級生が女将をやっている飲み屋で模合(モアイ:正当な理由のある飲み会)があって、店の水槽の中にでっかいサザエのような貝があって、女将の夫である店の主人に、それが「ヤコウガイ」であることを教わった。
 主人はヤコウガイを刺身にして出してくれた。コリコリとした食感は良かったが、サザエほど旨いとは、少なくとも私は感じなかった。そういえば、ダイビングを趣味としている友人達の獲物にも、サザエはあったがヤコウガイは見たことがなかった。
 ヤコウガイは食料というよりもむしろ、装飾として利用価値があるみたいである。

 
 ヤコウガイ(夜光貝)
 リュウテンサザエ科の巻貝 奄美諸島以南の熱帯海域に分布 方言名:ヤクゲー
 名前の由来、広辞苑にヤコウガイがあり夜光貝と漢字が充てられている。それを知っていて、私はてっきり「夜に光るからヤコウガイ」だと思っていたが、どんでん返しの説明が『沖縄大百科事典』にあった。「かつて屋久島において多量に産出したことから屋久貝(ヤクゲー)などと呼ばれていたのが転じてヤコウガイとなった」とのこと。
 方言名のヤクゲーも、ヤコウガイを沖縄語読みしてヤクゲーになったと思っていたのだが、これもどんでん返された。ヤクゲーが元の名前だったのだ。
 熱帯海域の潮間帯下の岩礁に生息する。殻高185ミリ内外、殻径200ミリ内外と大形の巻貝。形は拳状。殻の内面は真珠光沢があり、真珠層は厚く、それを利用して、沖縄では琉球漆器の螺鈿の材料として古くから利用されていた。真珠層は杯などの細工物にも利用される。サザエの近縁種で、肉は食用となる。
 
 ヤコウガイの刺身

 記:2017.4.1 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『沖縄釣魚図鑑』新垣柴太郎・吉野哲夫著、新星図書出版発行
 『水族館動物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団監修・発行
 『磯の生き物』屋比久壮実著・発行、アクアコーラル企画編集部編集
 『沖縄海中生物図鑑』財団法人海中公園センター監修、新星図書出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『サンゴ礁の生き物』奥谷喬司編著、株式会社山と渓谷社発行