ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ニジュウヤホシテントウ

2011年07月23日 | 動物:昆虫-甲虫目

 天道なのに害虫

 テントウムシを広辞苑で引くと天道虫、瓢虫、紅娘といった漢字が充てられている。紅娘とは可愛らしい、説明は無いが、昔の京都の女官たちの言葉ではないだろうか、「あらまあ、こんなとこにべにむすめが」と十二単の上品な美人が言う。付き人の色っぽい美人が「あら、ほんまですなぁ」と応える。なんていろいろ想像させられる。
 瓢虫の瓢はヒョウタンの瓢だが、単独では「ひさご」とも読み、「ユウガオ・ヒョウタン・トウガンなどの総称」(広辞苑)とのこと。これも説明は無いが、おそらく、ユウガオ・ヒョウタン・トウガンなどによくやってくるからではないかと思われる。
  天道は、「このバカが、お天道様の下を歩けないような事をしやがって!」と、渡世人になった息子に父親が怒鳴る時代劇のシーンによく出てくるセリフの「てんとう」、太陽のこと。天道にはもう一つ、「天地を主宰する神」(広辞苑)という意味もある。

 そんな大層な名前のついたテントウムシ、その多くは農作物に集る害虫を食べるということで益虫と呼ばれている。つまり、農夫の味方である。太陽も作物にとっては無くてはならないもの。益虫のテントウムシが天道と字を頂いて何の文句も無い。
 ただ、テントウムシの仲間には害虫を食わず農作物を食う奴もいる。ニジュウヤホシテントウもその一種。「てめぇ、コノヤロウ、恥を知れ、恥を。天道という名が泣くぞ、天地を主宰する神が人に被害を与えて何とする!」と怒鳴ってやりたい。

 
 ニジュウヤホシテントウ(二十八星天道虫):甲虫目の昆虫 
 テントウムシ科 本州南部以南、南西諸島、他に分布 方言名:グスーマヤグヮ
 テントウムシの由来は資料が無く不明。天道虫とは広辞苑にあり、その他、瓢虫、紅娘などの字も充てられている。本種は体に多くの黒班があるのでニジュウヤと付く。個体変異が多く、星が28個とは限らないようだが、だいたいそうだということらしい。
 テントウムシの多くは野菜につくアブラムシなどを食べるため益虫となっているが、本種はアブラムシを食わず、野菜を食う害虫。成虫幼虫ともに野菜の葉を食べる。
 体長6~7ミリ。体色は黄褐色~赤褐色で黒班が多くある。成虫の出現は周年。寄主はナス科の植物で、ナス、トマト、ジャガイモ、ホオズキなど。
 
 蛹

 記:ガジ丸 2006.7.22 →沖縄の動物目次

 訂正加筆:2011.7.22

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行