ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

素人大工の諦め

2012年10月05日 | 通信-その他・雑感

 8月に襲来した台風15号が前座で、9月中頃の台風16号が二つ目なら、いよいよ真打、それも超大物の登場といった形で台風17号がやってきた。やってきたというか、今その激しい風雨を窓の外に見ながら、激しい音を聞きながらこれを書いている。

  2012年9月29日、朝6時半に家を出て西原の畑へ行った。沖縄島は既に暴風圏に入っている。運転する軽自動車が時々風で横揺れする中、街路樹が倒れ道の半分を塞いでいる個所もある中を敢えて出かけたのは、畑小屋の補強をするためだ。
 じつは、台風対策は前日に済ませていたのだが、前回の16号の際人事を尽くさなかったばかりに小屋が傾き、その修復に大いに難儀したのを反省して、今回は人事を尽くしたつもりであったが、「いや、壁板の補強が足りないかもしれない」と夜寝ながら思いついて、「明日の朝早く壁板の補強に行こう」と決めていたのだ。

 激しい風雨の中、強風に足元をフラフラさせ、ずぶ濡れになりながら、畑小屋の壁に補強材を打ち付ける。高い所の釘打ちをしている時、突風が吹いた。小屋が浮き上がった。小屋に寄り掛かりながら作業をしていた私は危うく脚立から落ちそうになった。
 「危ねぇ、それにしても3個所にロープを張り、重しを乗せているのにも関わらず、こんな簡単にふわりと浮き上がるんだ。暴風の風圧ってこんなに凄いだ。」と、建築の基本を知らない素人大工は改めて自然の脅威が肝に染みたのであった。
 作業は15分ほどであったが、小屋が浮き上がったのはその間に3度あった。ロープは伸びるから良くないよ」と知人から聞いていたし、小屋を作る際にいろいろ相談した建築士の友人にも「ワイヤーで止めるべき」と助言を貰っていた。にも関わらず、それらを無視してロープにしたのは、安い方を選んだという安易な理由。
          

  今、9月29日の午後3時を過ぎたところ、ラジオのニュースから台風は「12時の時点で名護市の北30キロ付近」にあるとのこと。名護より南に位置する宜野湾市や西原町はもう台風が通り過ぎた、などと思ってはいけない。台風はその返しの風が曲者なのだ。それは子供の頃から聞かされていたし、私自身何度も経験している。そしてその通り、台風17号も午後1時頃から風は激しくなった。朝、畑へ出かけた時よりずっと強い。
 窓の外を眺めていると、先ず、バケツ、ハンガー、洗濯洗剤の容器などが吹き飛ばされベランダに散らばった。そして、物干し竿の1本が落ち、針金で括りつけてあったもう1本も片方が落ち、雨除けに張ってあったシート、紐でがっしりと止めてあったものが剥がれた。私の住むアパート近辺では午後2時過ぎがピークだったようで、その時に、木炭のぎっしり詰まって重たいコンテナが棚から吹き飛ばされ逆さになって落ちた。
          
 
 17号はおそらく、これまで私が経験した中でも最強クラスの台風だと思う。窓の外、隣の畑のゴーヤー棚の竹材が鉄パイプから剥がされ、バラバラになって行くのも見えた。こんな強烈な風に素人大工の作った小屋など持ち堪えられるはずが無い、と不安を通り越して諦めの気分になった。・・・で翌日、確認しに行くと諦めた通りの結果、畑小屋は元あった位置から10mほども吹き飛ばされ横倒しになっていた。嗚呼!
          

 記:2012.10.5 島乃ガジ丸