(3)市場(いちば)の役割に例えて(後)
このFX取引事業者を、市場(いちば)の立場で考えてみると、金融機関と投資家の間に位置する、強いて言えば共同組合のような役割になるのでしょうか。一般投資家にとって、卸市場に限りなく近い取引環境が間近になったのは、市場に参加するにあたりネックだった“信用”を、金銭でFX事業者に預託、FX事業者は複数の銀行の顧客となることで銀行間市場と概ね同じ取引価格の提示を受けることが可能となり、信用問題を解決しています。
また、FX事業者はあくまで金融機関の顧客として、銀行間市場へ間接的に参加するため、銀行間市場の直接参加者のようなリスクを共有する必要も無く、パイプ役に徹していさえすれば、限りなく銀行間市場に近い透明な取引価格を、顧客に提供することができるわけです。従って、この場合は顧客と対抗する立場ではないのですが、FX事業者がリスクをとり始めると、価格は歪められる可能性が高まってくるわけです。
最後に、一般投資家にとってご自身の信用の代表者となるのがFX事業者であり、それにふさわしい業者選択をする必要があります。FX事業者の信用問題が重要なのはここに理由があります。
本編では、仲買人はあくまで金融機関であり、格安な仲買取引価格をいかに一般投資家へ届けるかがFX事業者の役割であることをご理解いただきました。やや話題がそれましたが、次回はいよいよ外国為替市場で取引されている売買価格が成立してゆく仕組みを解説して参ります。