Gabbie's Cafe

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パンと暮らす

2007年12月06日 | Good Food Fine Wine

  ここのところ、Gabbie's Cafeの裏側からはパンの焼ける匂いが頻繁に漂うようになりました。
今年になって導入したCS放送でパンを焼く番組を見て、よし、やってみるかな、と腕まくりをしたくなった店主。クリスマス用の材料を注文しがてら、何種類かのパン用小麦粉を取り寄せてみました。

パンのことも、素材のことも何も知らずに生まれて初めて焼いたパンは、イーストを使っていたのにまるで天然酵母パンのようにどっしりでした(笑)。プルマン(四角い食パン)をつくったつもりなのに、生地が角まで膨らまず、売っているものとは程遠い仕上がりにがっかりしたものでした。
バターロールも翌日になるとかちかちに。そしてパン屋さんで嗅ぐようなかぐわしい香りとは違い、なんだか酸っぱいような古いような、下手な発酵で機嫌を損ねたようなイーストの香りがどうしても鼻につきました。
              

前回パンを焼いたのは、長男Tがおなかに居たとき。出産を控えてほかに何もすることがなかったので、自分なりの発酵器のあり方を考えたり、生地の発酵時間と温度の関係を観察したり、連日まるで実験のように焼いていました。
パンのいろいろなことが分かってきましたが、その時もやはり、以前感じたイーストの香りの悪さが気になってどうしても満足いかず…自分には美味しいパンを作るのは無理なのかしら…と、なんだかやる気を失ったまま、長男Tの誕生でずっとパン作りを忘れていたのでした。

                         

私の使っている徳島の材料屋さんは、パン用の粉だけでもサイズ違いを含めて108ものアイテムがそろっていて、どれを選ぼうか迷ってしまいます。目移りしながら商品の投稿レビューを読んでいたら「スーパーの粉とはぜんぜんちがいます!」「本当にスーパーのイーストと違ってビックリしました」という意見がいくつもありました。
…そういえば、私もスーパーで買った粉とイーストしか使ったことがありませんでした。もしかしてこれが原因なの?
半信半疑でパン屋さんでよく使われている粉を2種類と、国産のはるゆたかを選びました。子供も食べるものだから本当は天然酵母を試してみたいけれど、今回は復帰戦ということで、とりあえず有名なsafのドライイーストの一番小さいものをお試し買い。
                    
   

ビデオに撮っておいたパンの番組を再度観なおしてみます。横浜青葉区にある「ベッカライ徳多朗」の店主・徳永久美子さんがご自宅のキッチンで美味しそうなイギリスパンを焼き上げています。「ビゴの店」派だった我が家、近くに住まいながら一度も行くことのなかったお店でした。美しが丘の懐かしい風景を思い出しながら、今回は徳永さんのやり方でチャレンジです。

予備発酵をさせたりせず、ボールの粉にサラサラッとドライイーストを混ぜてパッパッと手際よく混ぜていく徳永さん。パンをこねることが、ご飯を炊くことのように生活の中に自然に溶け込んでいるようです。こねる時には横に本を開いて読んだり、発酵の間にはちょっと子供部屋を片付けたり、「パンにずっと向き合っているとパン作りが苦痛になってしまうので、同居人をチラッと見る感じでつきあって」という言葉が心に残りました。まさに「パンと暮らす」彼女の姿勢は、ぜひとも自分も身につけたいような素敵さ…なのでした。

以前は随分長く感じた20分のこね時間も、なんだか今回はあっという間。前回作った時に考案した、発泡スチロールのケースを改造した発酵器でこねあがった生地を60分間ゆっくり一次発酵させます。

    

パンチをしてもう20分。ふんわり膨れた生地からは、心地の良いイーストの香りが漂います。むむ、これは…たしかに違う、違いますぞ!
以前何度も試行錯誤した賜物とも言えますが、それにしても今回の生地は香りが違う!やっぱり材料の違いでしょうか。やたらと高まる期待を胸に、分割してベンチタイムを経た生地を、くるくる丸めてずっとお蔵入りしていた食パン型へ。

二次発酵を終えたパン生地はまるで赤ちゃんのおしりのようにふんわりすべすべに…機嫌よく発酵の全過程を終えたイーストが心地よくやさしく香ります。
さあ、この生地を200℃に予熱したオーブンへ。ドキドキしながら覗いていると、みるみるうちに驚くほど窯伸びして、ふんわり膨らんだパンが美味しそうなキツネ色に色づいていきます。
そしてふと気がつけば、部屋中がパンを焼く香ばしい香りでいっぱいに…まさしくこれこそ、昔アルバイトしていたパン屋さんで嗅いだ香り。横浜博覧会の会場で働いていた時、元町の老舗ポンパドウルが、向かいの店で焼きたてフランスパンを配っていた、あの時のパンの焼ける香り!なんども試行錯誤して探し続けた香り、やっと出せた、この香り!

                 

窯から出した焼きたてパンの、皮にヒビが入るパチパチパチパチ…という音に耳を澄ませてみます。それはまるで「よかったね!がんばったね!美味しく焼けたよ!」というパンからの祝福の拍手のよう。もったいない気分で切り分けると、ふんわり立ちのぼる焼きたてパンのいい匂い。焼きあがりを待ち構えていた子供たち、まだあったかいパンの厚切りを、なんにもつけないでぱくぱくぱくっと平らげました。

あっ!というまになくなった1斤半のイギリスパン。こんなに食べてくれるなら、すぐにでも天然酵母の研究を始めなきゃ…!徳永さんのように、素敵に自然に「パンと暮らす」日々をイメージしつつ…
ママなる店主の飽くなき探究心は、尽きることを知らないのでした…。


           

     




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