Simple is burst

あちらとこちらをいったりきたり。。。

黒い人

2007年08月11日 22時36分37秒 | Weblog
老人は青いチケットを差し出し、
「このチケットをもって12階の黒い人に渡しなさい」
と言ってエレベーターを指差した。
「あのエレベーターは故障中ですよね?」と聞いたら
「時代は変わったんだよ」と答えになってない答えが返ってきた。
だが老人の言葉を信じて▲上りボタンを押すと、
しっかりとエレベーターは開いた。時代が変わったのは本当らしい。
エレベーターに乗り込み[12]を押す。すると物凄い勢いでドアが閉まった。
このドアの閉まり方からは躊躇いが感じられなかった。これが覚悟した者の強さなのか。
自分と監視カメラの二人だけの密室。無言で見詰め合ううちに12階に着いた。
ドアが開くと目の前に黒い人がいた。比喩ではなく文字通り目と鼻の先。
あまりに近すぎて吐息が肌で感じ取れる。フンフンフゥフゥ・・・フンフンフゥフゥ・・・
「赤いチケットはお持ちですか?」至近距離で質問された。
「青いチケットは持ってますけど、赤いチケットは持っていません」至近距離で答える。
「時代は変わったんだよ。共有か死かどちらかを選べ」
険しい表情で迫られた。質問の意味がいまいちよく分からないが、
死を選ぶのだけは避けたほうがいいことくらいは分かるので「共有」と答えた。
黒い人は目に涙を浮かべて言った。
「そうか、時代は変わったんだな。」