高速バスの３人組その3

なんということもない、渋谷駅前の光景。

しかし、このとき白人女性が大声をあげました。

白人「Oh、Wonderful！　Wonderful！」

ぎょっとしました。渋谷の駅前がそんなに素晴らしく見えるのでしょうか。いったい彼女はどこからきたんだろう。

そんなことを思いながら、なにげなくバスの運転席ごしに見える首都高の道路に目をもどした、そのとき。

私は凍りつきました。なんと、道路前方に大きなノコギリが落ちているのが見えたのです。

だれだよ、こんなところに落としてるヤツは！

運転手さんを見ると、背中に緊張が走っているのがわかりました。とっさに、スピードを落としたようです。

でも、狭い道路上なので、避けられそうになく、このまま進むしかありません。

アナウンスはなし。こういう場面ではそういうものなのかもしれません。なので、ほとんどの乗客はこのバスの危機に気づいていないのです。

頼むぞ、パンクとかやめてくれ……。

首都高から下へ転落なんてニュースも見たことありますし。

それはほんの一瞬でした。あっという間にバスはノコギリの上を通過。何事もなかったようです。

よかった……。

運転手さんの背中からも緊張がぬけています。重大な事態をなにも知らずに、３人組はまだ、はしゃいでいます。

「ジャンケン　デ　ショー！」

だからちがうって！