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iPhone展開に学ぶ DoCoMo imode の失敗の原因

2009-07-10 11:55:35 | IT
◆原理原則
 Mark Penn氏の著書「Micorotrends: The Small Forces Behind Tomorrow's Big Changes」の中で、「今日のマス社会では、一般大衆による選択ではなく、僅か1%の人々の選択によって世界を変えるようなムーブメントを巻き起こしている」と分析している。この状況は、アメリカ特有なのではなく、日本でも同様のことは起こりつつある.米国の「a-listブロガー」と同様日本にも「アルファブロガー」という言葉があって、blogによって多くの人々の関心を引き、人々の行動に「影響のある人」の存在に注目が集まっている。

◆2009年の進化
 2009年、ソーシャルネットワーキングメディアが更に普及した。ソーシャルメディアとは、家族やサークルなどの知り合い関係を登録して、コミュニケーションできるメディアであり、代表的なものではSNSやTwitterがある。blog等これまでのオンラインメディアとの違いは、口コミ情報の伝播が可能になり,「影響力のある人」が与える影響範囲が,格段に拡大している点が、ソーシャルメディア普及の特徴である。
 これまで「影響力のある人」は,彼らが投稿したblog等を介して、情報を伝播させ、人々の行動に影響を与えていたが、blogの存在を知っている人の間でしか情報は伝わらない。一方,現在はSNSやTwitter等の人間関係と連動したソーシャルメディアを介して、影響力のある人が,口コミ情報というオンラインに今まで無かった「会話やつぶやきに相当する断片的でポイントをかいつまんだ短い情報」を伝播させることで、「blogやwebサイトを見る」といったような情報収集行動に影響を与え、結果、最終行動(認識や判断とか商品購入とか)に影響する人々の範囲を大幅に広げた。

◆できること
 このことが明らかになると、企業がSNSをマーケティングに活用できないかと注目するようになった。これまで以上に,効果的で効率的なマーケティングを実現するために、影響範囲を規定する人々の人間関係だとか,個人の興味だとかを,SNSのコミュニティ属性から分析・分類したりするマイクロターゲッティングの手法が確立されつつある.
 これにより、情報伝播しあう人間関係や、同一嗜好の人間をグルーピングできるようになった。そして,特定の商品やサービスに関心を持ちそうなグループにターゲットを絞って広告することで、マス広告よりも安価に効果を得られるようになった。

◆できないこと
 しかし、一方で、誰が「影響力のある人」なのか?誰が1%のイノベータなのか?誰がイノベータから影響を受けるアーリーアダプターなのか?もしくは、周りの判断に流されるフォロワーなのか?ということは分らない。安易に発言数の大小を,影響力の大小と判断するようなサービス(Social DNAやSocial Media等)が出ているが、実際には、訳わからないことばかり発言している変人もおり、発言数を影響力とえるのは正確ではない。また、情報がどのように伝播するかという「口コミ情報の伝播ルート」が明らかになっていない。ゆえに、マーケッティングの効果を正確には計測できない。このようなレベルの手法の高度化は、特定サイトを運用している一個人、一企業では、ユーザのオンライン行動に関わるデータを100%追跡,取得できないので難しい。実現するためには,情報の出元すべてを抑える必要があるが,特定の国や地域に限定するならば、アクセスをほぼ独占しているNTTのようなキャリアに強みがあるだろう。グローバルに実現しようと考えるなら、(インターネットのトラヒックを全て把握可能な事業者がいれば、そこが一番強いと思うが、)OSを持つMicrosoftに強みがあると思う。

◆さて本題のdocomo imode の失敗の原因
 以上から,私は、imodeの失敗の原因は、マーケット・顧客の勉強不足に尽きると思った.例えば,展開初期にターゲットと想定される1%の顧客グループについて、情報検索やデジタルデバイスに関する嗜好や反応を、正しく分析していただろうか?また、その分析結果に基づいて、imodeを受け入れられやすい形にカスタマイズして提供しただろうか?答えはNOである.
 例えば、アメリカで展開した際,なぜimodeは,キーボードへの慣れと,大量に情報を得られるという特徴から好意的に受け入れられていたパソコンと連動したサービス提供モデルを採らなかったのか.(iPhoneは,ちまたで「母艦」といわれるが,パソコンのiTunesというソフトと連携してサービスを提供している)
 確かに,imodeがサービスを始めた99年の日本では,人口の20%程度しかパソコンを保有していなかったし,インターネットに触れたことがあるユーザは少数だった.しかし,アメリカの状況は違う.99年の時点でもすでにパソコン普及率は50%を越え,インターネットも6000万人が利用している.国際進出を目指した2000年前後には,国民の大多数がパソコンインターネットに慣れ親しみ,パソコンで得られる大量・スピーディな情報検索に満足していた.
 もう一つは,imodeのテンキー入力についてである.アメリカにおいて,テンキー文字入力機能付ページャが流行った時に,ギークと呼ばれるオタク系人間が積極的に飛びついた.結果,テンキー入力は風土的に好奇な目で見られており,特に,好奇心が強くイノベータ・アーリーアダプタの割合が高い若者からは忌避される傾向があるらしい.その状況の下,なぜあえてimodeのインプットメソッドは,テンキー入力しか採用しなかったのか?(iPhoneは,テンキー入力に加え,Qwerty配列キー入力およびキーボード数字入力も利用できる.)
 確かに,当時の日本のキーボード配列は,かな配列が入力しづらいということで普及していなかった.その関係で,ローマ字配列による日本語入力が中心であり,英語が得意でない日本人にとって,キーボード入力は大きな抵抗だった.ゆえに,日本では,親指で操作するテンキー文字入力の方が簡単だと受け入れられた.しかし,アメリカは違ったのだ.
 以上のように,私は、imodeがアメリカを始め各地域において,展開初期にターゲットとすべき1%の影響のある顧客グループの嗜好・反応についての勉強不足が,imodeの失敗の原因であると考えている.


ネットの未来は、現実の未来にも通じている。ビジネスは、マイクロターゲッティングなしでは、生きていけなくなる。
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