風色明媚

     ふうしょくめいび : 「二木一郎 日本画 ウェブサイトギャラリー」付属ブログ

2017年 1月24日 火曜日

2017年01月24日 | 仕事場
◆ フロイデンベルグの街並み 20号 第4回

ドイツ中西部、ケルンから東へ約60キロほどにある街フロイデンベルグ(フロデンベルグ)を描いています。
白黒モノトーンのコロンバージュ様式の家屋が規則的に建ち並ぶ、珍しい景観です。





前回の状態








彩色5

細かい仕事はひとまず終えて、画面全体の色調をイメージに近づけて行きます。
青い部分はコバルト・ブルー・ディープを主体に、刷毛で何度かかけています。
白壁(木組みも含む)は、チタニウム・ホワイトに若干のコバルト・ブルーを加えたものや
場所によってはオキサイド・グリーンにチタニウム・ホワイトを加えたものを
色を置いては軽く刷毛でボカすという作業を繰り返しています。

予想以上に白っぽく、ホワッとし過ぎてしまいました。
この画像は、やや明るく低コントラストに補正し過ぎた感がありますが
それでも、かなり白っぽくなってしまったのは確かです。
大雑把な下描きの線を薄くするためでもありますが
初めて使っているチタニウム・ホワイトの影響の大きさを見誤ったせいでもあります。


そこで、そのチタニウム・ホワイトの話を。
白色顔料は様々ありますが、日本画の場合、代表的なものは胡粉です。
原料は風化させた牡蠣殻で、主成分は炭酸カルシウム。
私が日常的に使う白亜(チョーク)は、藻などの海中生物が化石化したもので主成分はやはり炭酸カルシウム。

チタニウム・ホワイトは酸化チタンが原料で、最も白さの際立つ白色顔料です。
隠蔽力(下の色を覆い隠してしまうこと)・着色力(他の色に影響を与えやすいこと)が強く
他の色との混色では、微量でも驚くほど白っぽくなってしまいます。

この作品でもチタニウム・ホワイトの隠蔽力の強さを考慮して
単独で使う場合は薄めに、他の色に混ぜる場合は少なめにしているのですが
何度か重ねている内に、気がつくと予想以上に画面が白っぽくなってしまっています。

チタニウム・ホワイトは、かなり薄めた場合でも
乾く前の濡れ色はかなり白く見えるという性質があります。
乾くと、さほど白くないので、ついつい何度も塗っている内に
隠蔽力が威力を発揮してきて他の色を食ってしまいます。

今回初めて使っているので、その性質がまだ完全に飲み込めていませんが
私にとっては、胡粉や白亜よりも使いやすい白だなと感じています。


さて、予想以上に白っぽく、ホワッとし過ぎましたので
これからは、また家並みを描き起こして行きます。


-------------- Ichiro Futatsugi.■


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2 コメント

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Unknown (shinkai)
2017-01-27 15:59:34
こんにちは!

先回は何故か気持がバタバタしている内にコメントを入れ損ない、失礼いたしました、というよりも、
あっという間に次のが更新されて・・!

明るい感じになっていて、少しあれっと思ったのですが、そうですか、チタニウム白の影響なんですね。

でも濃い部分にはコバルト・ブルーのディープを何度か掛けておられるというので、大体この色調で進まれるのかな、と。
それに、家並みの方の、どの辺りにハイライトを当てるお積もりかも、大体見えますね。

そうなんですよね、濡れ色と乾き色が違う、というのにはよくがっかりさせられた記憶があります。
あれは本当に好きでなかったです。 お陰様で今の色鉛筆は、その点の問題はなく、とても楽です。
でも、やはり色の層が重なってくると、塗った色が沈む、というのは同じですね。

いやぁ、それにしても、仕事量、色を重ねて何度も掛けていく、という仕事量は大変なものですね。
絵の大きさもありますし・・!

次回も楽しみにお待ちしておりま~す。


Unknown (二木一郎)
2017-01-30 21:21:11
shinkaiさん、こんばんは!

今月は10日以降、週一回の奇跡的なペースで更新できていて、それは良いのですが
空の上で見ている神様がビックリして気候変動など起こさないように願うばかりです。
と思っていましたら、今日の関東はグッと気温が上昇して20度近くになり暑いくらいでした。
きっと神様が慌てふためいて、間違って暖気を流す蛇口をひねってしまったのでしょう。

フロイデンベルグは、その後さらに進んでいますが
チタニウム・ホワイトは、今まで使っていた炭酸カルシウム系の白に比べると
明らかに違う性質を持っているように感じています。
使い心地と言いますか、ニカワで溶いた感じ、塗った直後の感じ、乾いた後の発色など、だいぶ違う感じがします。
しかし、炭酸カルシウム系の白より使いやすい、自分には合いそうだという印象がありますので
まずは早く慣れることが第一ですね。

そして最近使い始めた新しいニカワの加減にも慣れていないので
ちょっとしたトラブルも発生していますが
長年の経験から”トラブル転じて福となす”という余裕も持てるようになっていますので
慌てることなく、じっくりと進めています。

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