風色明媚

     ふうしょくめいび : 「二木一郎 日本画 ウェブサイトギャラリー」付属ブログ

2017年12月27日 水曜日

2017年12月27日 | 仕事場
◆ ヴェネツィアのカフェ 日本画 50号 第2回


イタリア北部、アドリア海に面し、かつて海洋国家として栄華を極めた古都ヴェネツィア。
その中心部のサン・マルコ広場で長い歴史を誇る老舗カフェ「カッフェ・フロリアーン」をモデルにして
この街だけが持つ特異な空気感を描こうとしています。




前回の状態







回廊にたむろする客やカメリエーレ、通行人などが一応決まったところです。
こういう”人物群像”的なものは、学生時代にも描いたことがなく初体験です。

いつもより輪郭線を強調気味に、かなり黒々と描いていますが、夜景にするからというわけではなく
後から洗ったり、色をかけたりして、黒が薄くなることを想定して意識的に強めに描いています。

このあたりまでは、とにかく物の形を一通り描いておくことを最優先にしています。
夜景らしい全体の大きな明暗の階調は、まだ考慮していません。

まだ形の決まっていない部分が多少残っていますが
徐々に明暗の調子も入れ始めています。
今のところは、昼間に眺めたらこんな感じ…という状態です。
そろそろ色を入れ始めます。






一通り色が入った状態です。
全体の基調色は、夜景としてはオーソドックスな暖色系にします。
そろそろ夕暮れ時が近づいてきたという状態まで来ました。

最初にテールベルト(天然緑土)を主体とした渋目の緑を置き
その上から代赭・カドミウムイエローなどを適宜入れています。
まだ彩色が始まったばかりで、様子見ということもあり
いずれの色もかなり水で薄めて、いわば「おつゆ描き」をしています。

現在は、もう少し進んでいます。
ずっと「おつゆ描き」で、ゆっくりと、色や調子をつけて行っています。
今まで好んで描いてきた石積みが全く見えず、多少の戸惑いはありますが
どのような建築様式であれ、何百年もの時が染み込んだ強烈な存在感を第一に考え
「おつゆ描き」の一筆一筆で、ヴェネツィアの経てきた時間を塗り込んで行くように描いています。


では、今回で今年の更新は最後となります。
皆さん、どうぞ良いお年をお迎えください。


------------- Ichiro Futatsugi.■


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (shinkai)
2017-12-28 17:20:15
こんにちは!
年内に2度目の更新、おめでとうございます、はは。

と冗談はともかく、カフェ・フロリアーンが進んでいるのを見るのは楽しいです。
そうなんです、あの店の前のポルティチの通りはいつも人の往来が多く、そして夜は店の中が灯で煌いているのが良く見えるのです。
古い調度がそのままに時代を経て、かえって夜の方が煌びやかなのかも、ですね。
これはこの店だけでなく、ヴェネツィア全体がそうなのかも。


プロフィールの顔、が変わりましたね! そっくりで、以前の横顔の切り紙よりも可愛い!! ははは。
早速にYsちゃんにも知らせましたです、ひひ。

良いお年をお迎えください!!

Unknown (二木一郎)
2017-12-29 13:24:11
shinkaiさん、こんにちは!

数年前でしたら、こういうモチーフを描こうとは思わなかったのですが
Shinkaiさんの洗脳のお陰か、きゃはは! すっかりヴェネツィアの魅力にハマってしまったようです。

重厚で、派手さの中に上品さも兼ね備えたヴェネツィアには、有無を言わさぬ説得力があるような気がします。
確かに派手ですが、俄仕立てではない本物だけが持つ、唯一無二の孤高の存在感を放っているのが魅力ですね。
フロリアーン周辺の景観は、やはり夜の方がヴェネツィアらしい幻想的な華やかさがありますね。


ブログ開設以来そのままだったプロフィール欄の画像を、心機一転変えてみました。
前の切り絵は30年ほど前のものですし、歳を取ったら少しでも明るい雰囲気にしようと。
この似顔絵は写真以上に本人に似ているでしょう? きゃはは!

どうぞ、良いお年をお迎えください!!

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