東通村の風力発電機倒壊:「地元に迷惑かけた」 原因は羽根の固定ミス /青森

 ◇運営親会社社長が陳謝、再発防止策を説明へ
 東通村の風力発電施設「岩屋ウィンドファーム」で風力発電機が倒壊した事故で、風車の羽根の固定ミスが倒壊を引き起こしたと判明したことを受け、施設運営会社の親会社「ユーラスエナジーホールディングス」(東京都)の永田哲朗社長は16日、「地元関係者に多大な迷惑をかけた」と陳謝した。同社などは今後、同村などに再発防止策を説明し、残る風車24機の運転再開を目指す。

毎日新聞 3月17日
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070317-00000115-mailo-l02

注目していた風車倒壊事故。
2月末の予定が3/17まで遅れていた最終報告書がやっと提出された。

こちらで報告書の内容を見ることができます↓
http://www.eurus-energy.com/news.html#0316a

72ページもの報告書で、原因の分析がなされている。
その大半はシュミレーションにより、構造、風応力の解析で占められている。
内容は、構造上の問題はなく、過回転により実耐力を超える可能性があると
いうことを立証。(回りくどい言い方ですが。。。)

構造上のシュミレーションはともかくとして、過回転の方は、データが残っ
ている38rpmでは倒壊せず、その後はどの位の回転数であれば実耐力を超える
か。という仮定に基づいたもの。
Bブレード角が-15度の場合、回転数は52rpmまで上がり、耐力を超え、倒壊
する。これに基づき、データがない数分間のうちに、ブレードが-19度から
-15度まで動くことは十分にありうる。としている。
実際の回転数データがないため本当に設計上の耐力を超えた点で倒壊したか
どうかは分からない。

私は、始めはこの事故の原因は施工不良か構造の欠陥と思っていた。
回転数が2倍という程度でも倒壊はしないと思った。
だが、回転数が定格の3倍までにも達したら。。。風車の翼の揚力は速度の
二乗に比例する。回転数が3倍なら、風車にかかる力は9倍。とても耐えら
れないだろう。
(本当にこの回転数になったのかどうかはあいまいな点が残るが。。。)
それにしても、過回転状態を機械的に防ぐ方法はなかったのだろうか?
小型風車では、風が強くなると機械的に上や横を向く機種が多いが。
ご存じの方は教えて下さい。

事故の直接の原因は過回転としても、それを引き起こした原因は作業ミスだけ
ではない。

ピッチを固定するブロック(3個)は各2本のボルトで留めなければならない
のに一本足りず、5本のボルトで留めた。
ほぼ丸1日前からエラーが続出しているのに、エラー発生にも気づかず、放置
していた。(倒壊事故の発生も電力会社からの通報で発覚)
メーカーのマニュアルを確認しておらず、作業手順書等もなかった。

中間報告では「マニュアルからの逸脱事項」と記載されていたが、作業員は
マニュアルを確認していなかったようだ。これは、作業員一人の問題ではな
く、運営会社の管理体制の問題が大きいと思う。

 現場の作業員に十分な教育・指導はされていたのか?
 当日の管理体制はどのようになっていたのか?

事故の原因に繋がる重要なことだが、報告書には全く書かれていない。
今後の対策を見ると、今までの状況も見えてくる。

当該作業に必要な部材を準備する(今まで準備していなかったのか?)

エラーに即対応可能な管理システムと運用ルールの整備
(土日、夜間は対応していなかったらしい。。。)

メーカーマニュアルに対応した作業要領書を作成するとともに、作業
リストを作成し、このリストに基づいて作業を行う。
(すごく基本的なことのような気がします)

この報告書では、現場の作業員のミスが原因であり、風車自体には問題が
なかった。ということが強調されているが、会社の体制に問題が大きいと
思う。

人間が行う以上、作業ミスは必ず起きる。
事故は起こるはずがなかった。想定されていなかった。
その代表格の原発でも事故はおきている。
今回の事故では、丸1日に渡ってエラーが発生しているのだから、対応する
時間は十分にあったはず。

今後の事故防止のためにも、管理体制等の十分な検証が必要だと思う。


3/23更新 旧暦では2月5日です。
1ヶ月以上悩まされていた花粉症。昨日から薬を飲まなくてもよくなりました。
やっと解放されそうです。
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
« 気象予報士試... 多自然型護岸... »
 
コメント
 
 
 
個人の責任ではなく事業者の責任 (カリブの海賊)
2007-03-25 17:05:23
kynthmさんの掲示板ではお世話になっています
ユーラス報告書、詳細がでているとは知りませんでした。ある知人の専門家の意見でも、シュミレーション事実は真実かも知れない。しかし、今回の報告書の内容は真実の如何にかかわらず、事業者に圧倒的に有利な報告書だと思わせる内容だと言っていました
PC上なので簡単にしか見ていませんが報告書について、なにか本質的なものが抜けている報告書のように思いました。ここまで深刻なシュミレーション結果になるのであれば、事前に知見を持って、メンテナンスマンにどれほどの教育をしていたのか。固定ブロックの重要性や、アラーム発生後の迅速な対応の徹底。
これは、教育を担う事業者に全ての責任があるといってよいでしょう。メンテ員の非はゼロではありませんが、あたかも、全く危険性を教育されずに起こったJCOの事故を髣髴させます
 
 
 
Unknown (mizu)
2007-03-26 16:09:23
カリブの海賊さん、こんにちは!コメントありがとうございます。
ユーラスの詳細報告書、私も最初に見たときには気づきませんでした。後になって出たのでしょうか?
外部委員の名前まで出しているので、シュミレーションの結果は問題ないのだと思います。ただ、このシュミレーションでは、過回転が原因で設計上の耐力を超え崩壊に繋がる可能性がある。ということが分かるだけです。実際にどの位の回転数で、どの位の力がかかったのかが分からない。データがないので推測でしかない。

またなぜ過回転に至ったのか。「作業員のミス」だけですまされているのがどうも気にかかります。
当日、またその前からの作業員の配置状況、教育体制、本社の管理体制など触れられたくない所には触れない。という感じが受け取れます。
 
 
 
基礎の施工不良が原因? (あほさんきまま)
2007-04-07 19:44:36
① 過回転を招いたボルトの保守の問題はあったにせよ、なぜ、このような最悪ケースを考慮した風荷重の想定をしないのか(公共性の高い機械・構造物は「フェール・セーフ」の考え方をとるのが一般的である)外国からの輸入機材である、この風車タワーの 基礎へのローディング・データは日本の国情を考慮したモノになっていたのか疑問
② H14年の沖縄電力での同様の基礎からの倒壊のケースと似ているが、こちらのケースは想定外の暴風状態での事故なので、やむを得ない側面もあるが、今回の岩室WFのケースは25m/s程度の風環境下で起こっているので、もっと詳細な検討報告書があってしかるべきと考えるがいかがが?
③ 報告書には、原設計の基礎の計算書でアンカーボルトの引き抜き検討を行っていないとあるが、通常の基礎の計算では必ず行うのが常識の検討を省いた理由はなにか?このケースの様にアンカーフレームごとスッポ抜けるようなコンクリート破壊は根本的な危険性・設計ミスがあったのではないか
④ 基礎部とアンカーフレーム、鉄筋を連成したFEM解析を試みているが、ペデスタル部分と肝心なフーチング部分とを全体系で解析した形跡が公表報告書からは観られないが、 FEM解析のモデル化(要素分割や拘束境界条件、荷重のモデル化)は妥当なのかこれだけの資料では判らない。
⑤ フーチング部のコンクリート打設と、ペデスタル部分のコンクリート打設に、いわゆるコールド・ジョイントが元々無かったか?(連続打設が行われているか疑問)
⑥ 基礎と鋼製タワーの基部を完全固定する場合には、コンクリートの根巻きを行うなど相当程度の固定の確保が必要であると思われるが、どのような基礎とタワーの締結が行われていたのか
 
 
 
Re:基礎の施工不良が原因? (mizu)
2007-04-08 17:16:44
あほさんきままさん、初めまして!コメントありがとうございます。
私は構造力学には不案内で、今回のブログでも構造部分の内容についてはほとんど触れていません。あほさんきままさんは、専門のようですね。いろいろ教えて頂けると嬉しいです。
調べていたところ、風車の構造基準というのがないようなのですが、どうなのでしょう?回転する機械である以上、建物等とは異なる基準が必要かと思うのですが。

今回の事故の報告書は事業者がまとめた物なので、どうしても事業者依りになってしまいます。今後の風力発電の信頼性を高める上でも外部機関や学会等での調査、報告を期待しています。
 
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。
数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。
Copyright (C) 2012 copyrights. enestudy All Rights Reserved.