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環境を考える
プルトニウム:日本の保有量減少 09年末時点で31トン
内閣府は7日、日本が国内外で保有する核分裂性プルトニウムは、2009年末時点で31.0トンで、前年より0.8トン減ったと原子力委員会に報告した。06年で集計方法が変わっているが、保有量が減ったのは事実上初めてとしている。
商業炉や日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)にプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料が使われた半面、日本原燃の再処理工場(青森県)がトラブルで停止したため、国内で使用済み核燃料からのプルトニウム抽出がなかった。
http://mainichi.jp/select/science/news/20100908k0000m040094000c.html
日本が保有するプルトニウムの量が初めて減ったという。原発を運転すると使用済み核燃料の中に約1%のプルトニウムが生成される。プルトニウムの保有量は核不拡散の問題から重要で、これを減少させることが日本の課題になっている。
当ブログ内 日本のプルトニウム保有量の推移
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/34b2811acc93695576b54ba99d50dc6b
このプルトニウムの保有量が減ったというのは良いニュースなのだが、よく見ると
再処理工場(青森県)がトラブルで停止したため、国内で使用済み核燃料からのプルトニウム抽出がなかった。
となっている。つまりここで言う保有量は「分離プルトニウムの量」。使用済み核燃料からプルトニウムを取り出せなかったため、分離プルトニウムの量は減っただけの話。取り出せなかったのだから、もちろん使用済み核燃料中のプルトニウム量は増えている。
原子力委員会 我が国のプルトニウム管理状況より、プルトニウム量の推移グラフを作成した。
日本のプルトニウム保有量の推移

(画像クリックで大きく見られます)
分離プルトニウムは国内、海外保管分の合計
海外保管分については、2002年より核分裂性プルトニウム量のみの公開のため推計。
分離プルトニウム量は2008年から2009年で確かに約1300KgPu減少している。しかし、使用済み核燃料に含まれる未処理のプルトニウムは約7000KgPu増加している。日本は全ての使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出す方針なので、結局この1年間でプルトニウム量は5300kgPu増えたことになる。
このような状況で、内閣府がプルトニウムが減少したと発表すること。また裏付けも取らずにそのまま報道することに強い違和感を覚える。少なくとも新聞等報道機関は、発表の正当性、データの正確さなどを検証してから報道するべきだろう。
高速増殖炉もんじゅは8/26に原子炉容器内に約3トンの装置が落下する事故を起こした。
増殖炉「もんじゅ」原子炉容器内に機器落下か
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20100826-OYT1T00947.htm
5月の運転再開後トラブルが相次いでおり、この事故で運転開始が遅れるのは必至。(個人的には運転再開できるか疑問)
六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場も今年10月の完成時期を2年延期し、2012年10月にすることとなった。
六ケ所村の再処理工場2年延期 電力各社に4000億円の支援要請
http://www.sankeibiz.jp/business/news/100910/bsd1009101131009-n1.htm
この延期に伴い、電力10社などに4000億円の支援を要請するという。再生可能エネルギーの全量買い取りに関しては、家庭負担が200円~500円かかるとして市民から反対を引き出そうとしていたが、原発の運転に関しては一体どのくらい国民は負担しているのだろう?電力会社の負担も結局は電気料金に跳ね返る。税金からも原子力関連に多額の支出をしている。
さらに今後、廃棄物処理や廃炉の際にはどのくらいかかるのだろう?これを明らかにせずに、再生可能エネルギーにかかる負担のみを議論するのは不公平だろう。
再処理工場の運転、もんじゅの再開は当分見込めそうにない。原子力発電所の運転は続いており、使用済み核燃料・核廃棄物は増え続ける。今後の日本のエネルギー戦略を考える上で、コスト、安全性、核不拡散問題など情報を公開し、幅広く議論することが何よりも大事だと思う。
追伸:
原子力委員会では、9/21まで「原子力政策大綱(平成17年10月策定)」の見直しの必要性に関する意見募集を行っています。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/seisaku/bosyu/100727/bosyu100727.htm
興味のある方は意見提出してみて下さい。
ホームページから入力はこちら↓
https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0011.html
関連ページ
内閣府 原子力委員会
http://www.aec.go.jp/index.html
もんじゅ関連情報ホームページ
http://www.jaea.go.jp/04/turuga/monju_site/index.html
第48回原子力委員会定例会議
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2010/siryo48/index.htm
原子力政策大綱見直しの必要性について─費用論からの問題提起─(大島堅一氏資料)(pdf)
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2010/siryo48/siryo1-1.pdf
我が国のプルトニウム管理状況(pdf)
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2010/siryo48/siryo5.pdf
当ブログ内
日本のプルトニウム保有量の推移
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/34b2811acc93695576b54ba99d50dc6b
「夢の技術」課題山積み もんじゅ、14年5カ月ぶり運転再開
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/51001391c4aeb0bd642d1163ecafe6c3
<温暖化対策>原発20年間にさらに20基必要 エネ庁試算
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/be97ec4e9a67075b425502152d606b86
2010/9/13更新
サンフランシスコで11月に行われるGreen Festivalが気になっています。見本市というより、お祭りのような感じ?行ったことがある方、行く予定の方、どんな感じか教えて下さい。
商業炉や日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)にプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料が使われた半面、日本原燃の再処理工場(青森県)がトラブルで停止したため、国内で使用済み核燃料からのプルトニウム抽出がなかった。
http://mainichi.jp/select/science/news/20100908k0000m040094000c.html
日本が保有するプルトニウムの量が初めて減ったという。原発を運転すると使用済み核燃料の中に約1%のプルトニウムが生成される。プルトニウムの保有量は核不拡散の問題から重要で、これを減少させることが日本の課題になっている。
当ブログ内 日本のプルトニウム保有量の推移
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/34b2811acc93695576b54ba99d50dc6b
このプルトニウムの保有量が減ったというのは良いニュースなのだが、よく見ると
再処理工場(青森県)がトラブルで停止したため、国内で使用済み核燃料からのプルトニウム抽出がなかった。
となっている。つまりここで言う保有量は「分離プルトニウムの量」。使用済み核燃料からプルトニウムを取り出せなかったため、分離プルトニウムの量は減っただけの話。取り出せなかったのだから、もちろん使用済み核燃料中のプルトニウム量は増えている。
原子力委員会 我が国のプルトニウム管理状況より、プルトニウム量の推移グラフを作成した。
日本のプルトニウム保有量の推移

(画像クリックで大きく見られます)
分離プルトニウムは国内、海外保管分の合計
海外保管分については、2002年より核分裂性プルトニウム量のみの公開のため推計。
分離プルトニウム量は2008年から2009年で確かに約1300KgPu減少している。しかし、使用済み核燃料に含まれる未処理のプルトニウムは約7000KgPu増加している。日本は全ての使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出す方針なので、結局この1年間でプルトニウム量は5300kgPu増えたことになる。
このような状況で、内閣府がプルトニウムが減少したと発表すること。また裏付けも取らずにそのまま報道することに強い違和感を覚える。少なくとも新聞等報道機関は、発表の正当性、データの正確さなどを検証してから報道するべきだろう。
高速増殖炉もんじゅは8/26に原子炉容器内に約3トンの装置が落下する事故を起こした。
増殖炉「もんじゅ」原子炉容器内に機器落下か
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20100826-OYT1T00947.htm
5月の運転再開後トラブルが相次いでおり、この事故で運転開始が遅れるのは必至。(個人的には運転再開できるか疑問)
六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場も今年10月の完成時期を2年延期し、2012年10月にすることとなった。
六ケ所村の再処理工場2年延期 電力各社に4000億円の支援要請
http://www.sankeibiz.jp/business/news/100910/bsd1009101131009-n1.htm
この延期に伴い、電力10社などに4000億円の支援を要請するという。再生可能エネルギーの全量買い取りに関しては、家庭負担が200円~500円かかるとして市民から反対を引き出そうとしていたが、原発の運転に関しては一体どのくらい国民は負担しているのだろう?電力会社の負担も結局は電気料金に跳ね返る。税金からも原子力関連に多額の支出をしている。
さらに今後、廃棄物処理や廃炉の際にはどのくらいかかるのだろう?これを明らかにせずに、再生可能エネルギーにかかる負担のみを議論するのは不公平だろう。
再処理工場の運転、もんじゅの再開は当分見込めそうにない。原子力発電所の運転は続いており、使用済み核燃料・核廃棄物は増え続ける。今後の日本のエネルギー戦略を考える上で、コスト、安全性、核不拡散問題など情報を公開し、幅広く議論することが何よりも大事だと思う。
追伸:
原子力委員会では、9/21まで「原子力政策大綱(平成17年10月策定)」の見直しの必要性に関する意見募集を行っています。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/seisaku/bosyu/100727/bosyu100727.htm
興味のある方は意見提出してみて下さい。
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内閣府 原子力委員会
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もんじゅ関連情報ホームページ
http://www.jaea.go.jp/04/turuga/monju_site/index.html
第48回原子力委員会定例会議
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2010/siryo48/index.htm
原子力政策大綱見直しの必要性について─費用論からの問題提起─(大島堅一氏資料)(pdf)
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2010/siryo48/siryo1-1.pdf
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http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2010/siryo48/siryo5.pdf
当ブログ内
日本のプルトニウム保有量の推移
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/34b2811acc93695576b54ba99d50dc6b
「夢の技術」課題山積み もんじゅ、14年5カ月ぶり運転再開
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/51001391c4aeb0bd642d1163ecafe6c3
<温暖化対策>原発20年間にさらに20基必要 エネ庁試算
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/be97ec4e9a67075b425502152d606b86
2010/9/13更新
サンフランシスコで11月に行われるGreen Festivalが気になっています。見本市というより、お祭りのような感じ?行ったことがある方、行く予定の方、どんな感じか教えて下さい。
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