新しいリコーダー奏法

吉嶺史晴によるリコーダー奏法解説ブログです。上達してゆくための全般的な考えかた・生き方のヒントについても書いています。

即興演奏を発展させる方法

2019年11月27日 | 即興演奏
即興演奏を発展させる方法は具体的にどんなものがあるだろうか?

こんな問いが浮かびました。

作曲の場合、わかりやすいところでは以下のようなものがあります。

■反復する(その際、高さを変えても良い)
■主題の一部分を切り取って反復する(その際、高さを変えても良い)
■反行、逆行、反行の逆行
■分割装飾

この他にもいろいろな型がありますが、ここでは一番最初にあげた「反復する」ということに着目してみます。

反復するだけなのでさほど難しくはありません。
しかしながら反復するためには反復する対象となる音の動きを記憶している必要があります。

紙と鉛筆を使って机の前で作曲している場合にはこのようなことは問題になりませんが、自分と楽器だけでその場で音楽を作る際にはこのようなことが思いのほか大事です。

反復するのは演奏を発展させる最も簡単な方法ですが、同じ反復だけだと飽きて来ます。聴き手だけではなく、演奏している本人もそうです。

そのためには反復する際に音の高さを変えてみる、という方法があります。
このようなことが出来るようになるためにはもとになる主題がどのような調(旋法)で成り立っているのかということを理解しておく必要があります。

反復の際に変化させるのは音の高さだけに限りません。
音の高さは変えないでその主題(動機)を成り立たせているリズムを変化させるという方法もあります。

ここまで音の高さ、およびリズムという切り口からの方法をまとめてみます。
主題(動機)を変化させるための方法は次ぎの通り。
*リズムは変えないで音の高さを変える
*音の高さは変えないでリズムだけを変える
*音の高さもリズムもどちらも変化させる

即興演奏のための材料(主題)としては既存の旋律でも良いし、自分自身で前もって作っておいたもの、あるいはまたその場で作り出したものでも良いです。

いずれにしても即興演奏において反復するという方法を使えるための条件として最低限必要なのはその主題を記憶していることです。

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実際の即興演奏の際には目の前に時計をおいて、あらかじめ何分間の即興演奏をする、と決めておくのは有効な方法です。

また、この場合、何分地点にクライマックスになるポイントを作る、という条件を自分自身に課すのも良いでしょう。このことによって即興演奏自体は単なる音の羅列ではなく、緊張感の変化のあるものになります。

補足:
最初は音の羅列でも良いです。
即興の初心者にとっては即興的に音を並べてゆくことさえ難しいことです。

音を並べることが出来ない場合には落ち着いて、休みをとっても良いし、あるいはまたとりあえず長い音を出して、その音が鳴っている間に次ぎに来るべき音を考えるという方法もあります。


日常生活のなかで即興演奏に近い人の営みは何だろうか?

2019年11月27日 | 即興演奏
日常生活のなかで即興演奏に近い人の営みは何だろうか?

こんな問いが浮かびました。
思いつくまま例をあげてみると・・・

■スピーチ
■雑談
■長電話
■日常雑記
■落書き
■ひとりごと

他にもいろいろありそうです。
即興演奏もこのような日常的な営みのひとつとして捉えることが出来ればしきいが低くなるかもしれません。

バロックの分割装飾やジャズのアドリブなどは高度に洗練されており習得のためのメソードもある程度確立されていますが、雑談や日常雑記のメソードというようなものは聞いたことがありません。

とりあえず目の前に録音機を置いてその時に思い浮かぶ旋律やリズムを録ってみてはどうでしょうか。そこから新しい発見が生まれるかもしれません。

補足:
即興演奏を録音する時には「無駄な音があっても良い」ということにしてみます。
あるいはまた「不必要に思える長い休みもあっても良い」としてみてはどうでしょうか。

結果として出来上がって来るものはそのまますぐに作品として残せるようなクオリティにはならない場合が大部分かもしれませんが、それでも良いことにしてみます。

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補足2

いきなり録音機の前でそのまま演奏しはじめるのは難しいです。
細かい音の並びまでは明らかでなくても、ある程度、音楽(あるいは音楽以前の音の並び)のイメージのようなものはあるほうがラクです。

スピーチをする場合にも、いきなりスピーチしてください、と言われるよりも、前もってどんな内容のスピーチをするのか考えているほうがラクに出来ます。

音楽と言葉というものの共通点を見つけてゆこうとする在り方を通してその人なりの即興演奏に何か新しい展開が生まれるかもしれません。

おかしな音が沢山出てくることでしょう。
でもそれは恥ずかしいことでも何でもなくて、それこそが即興演奏の始まり、良い音楽の始まりです。

言うなれば、おかしな音を沢山、出すことによって新しい次元の演奏者に自分自身を生まれ変わらせてゆくことが出来るわけです。

あらかじめ予定を考えてから即興する方法、何も考えないでその場で即興してゆく方法

2019年11月22日 | 即興演奏
即興の方法には大きくわけてふたつの方法があると考えてみます。

■あらかじめ大まかな道筋を考えてから即興をやる方法
■前もって決めないでその場で即興してゆく方法

慣れないうちは前もっていろいろなプランを考えてから即興するのが良いです。拍子、テンポ、調、和声の進行など。

しかし慣れて来たらこういうものを前もって決めないでその場で随時、瞬間的な判断で決めながら音楽を展開してゆくという方法もあります。とは言え、その奏者から出てくる音、あるいは音楽はその奏者が過去になんらかの形で聴いたものに影響されているのは否めません。

自分だけで全部、作ってゆくのは至難の技なので即興の例として過去の作品を参照してみるのは良いアイディアです。

*オトテールの残した文献に「プレリュードの技法」というものがあります。
ここには様々なプレリュードがあります。そのなかには極めて音楽的なものもあれば、ある特定の調に指使いを慣れされるための練習という意図が強いものもあります。

*あるいはファン・エイクの「笛の楽園」
これなどは当時流行の歌を分割装飾したものです。この場合は純粋な即興というよりは即興の材料になるものはすでに歌として存在していました。

*バッサーノやヴィルジリアーノが残したリチェルカーレ集を考えてみましょう。
この場合にはもとになる歌が存在した、というよりは当時その場で純粋な即興として奏されていたものに極めて近い様式のものが楽譜として残っている、といった趣のものです。

*古典派のピアノ協奏曲のようなものにはカデンツァと呼ばれる部分があり、かつては独奏者が即興していたものでした。この場合は独奏者の名人芸を披露する、という明白な意図があります。

*キリスト教の教会ではオルガン奏者が会衆の歌の伴奏をするだけではなく、礼拝のなかでは即興的な演奏を行うという伝統がいまだに残っている地域もあるようです。

*ジャズにおける即興はもとはお店の客がダンスをするために歌の曲を繰り返しているだけではなく、繰り返しの際に装飾をつけていたことが発展して独立したアドリブになってゆく、という経緯もあったようです。

このように考えてみるとひとくちに「即興」とは言ってもその目的や発展の在り方も様々です。

即興の練習をしてみるのは良いアイディアです。
そのために何か明白な目標をひとつ持ってみるのはどうでしょうか?

例えばこれからルイエのリコーダーソナタを演奏するとします。
まず曲が始まる前にプレリュード。
そして楽章と楽章の間には即興で短い間奏曲を入れてみるというようなアイディア。
もちろん即興的な部分は主な楽曲との間に程よいバランスを保つことが必要です。

あるいはまた純粋な作曲のための素材準備としての即興も考えられます。
部屋のなかを真っ暗にして録音機のマイクをオンにします。
その場で浮かんで来る旋律をどんどん音にしてゆきます。

後で落ち着いて録音を聴きながら作曲に使えそうな材料だけピックアップして耳コピーします。

気軽に即興演奏、楽しんでみてはどうでしょう?

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ウォーミングアップ無しでいきなり演奏する

2019年11月22日 | 練習の方法
ウォーミングアップ無しで曲をいきなり最初から最後まで演奏するという練習の方法があります。

自分ひとりでも出来ますが、聴いてくれる人が居たらいっそう効果的です。
いつもは大抵うまく演奏できるはずの曲がそのような場面では出来なくなってしまうことがあります。

出来の悪い演奏をするのは恥ずかしいものですが、このような経験を積み重ねて上達がよりいっそう着実なものになるでしょう。

ある程度演奏できるようになった曲は是非、誰かの前で演奏してみましょう。
ウォーミングアップを一切しないでいきなりその曲を最初から最後まで演奏してみます。

間違えた音を出しても、音そのものを出しそこなっても決して止まったりやり直したりしないで最後まで演奏します。
自分の出している音があまりにもひどくて、途中でやめたくなってしまうかもしれませんが、それでも最後までやってみます。

自分自身のかかえている技術的な問題点を発見する良いチャンスです。

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補足:
このような場合に批評的になり過ぎるのも要注意です。
演奏技術がまださほど身についていないという点、そしてウォーミングアップ無しという条件ではうまくゆかないのが当然、そして失敗して当然とも言えます。

結果はなるべく肯定的に捉えるのが良いです。(他の人に対してだけではなく、自分自身に対しても)

補足:
このような練習をする際にはどのような曲を選ぶのか、ということも考えてみます。
あまりにも難しすぎる曲はそもそもウォーミングアップなしていきなり演奏すること自体、無理があります。
このような練習のためには技術的にはほどほどの曲を選びます。

ほどほどの曲であっても、それでもこのような条件ではなかなかうまく演奏できないものです。
そういう経験を通して得られるものが後々、大きな宝物になります。

前進あるのみ!




自動化した方が良い事とそうでない事

2019年11月19日 | 全般的な事柄
練習の目的のひとつは演奏に関する様々な事を自動的に出来るようにすることであると考えてみます。その曲のなかに出てくる様々な指使いやアーティキュレーションの順列や組み合わせを自動的に演奏できるようにすることです。

「暗譜」すると演奏に付随する様々な事を自動的に処理出来るようになるので、余力が出来ます。
その余力の分で、楽器操作以外の事、つまり表現そのものにエネルギーを振り分けることが出来るようになります。

しかしながら自動的になってしまわないほうが良い演奏上の要素もあります。

例えば音量やリズム、あるいはテンポのゆれやアーティキュレーションといった要素があまりにも自動的になってしまうとそこにはあるつまらなさが起こり得ます。

どのような要素を自動的にするべきなのか、そうでないのか、ということはその奏者の演奏技術の進展の具合や個性によって異なります。

中級者程度までの段階では演奏のなかで即興的に様々なことをその場の判断で行うのは容易ではありませんが、それでも様々な要素をなるべく自由に行える余地を残しておくのは考えかたのひとつと言えそうです。