新しいリコーダー奏法

吉嶺史晴によるリコーダー奏法解説ブログです。上達してゆくための全般的な考えかた・生き方のヒントについても書いています。

テンポを上げてゆく方法

2019年10月31日 | 練習の方法
テンポを上げてゆく方法としてわかりやすいのは以下のふたつ。

■メトロノームでひと目盛りずつ上げてゆく
■曲のなかの難しい箇所だけ取り出して練習する

特にふたつめ、難しい箇所だけ特定して練習するのは良い方法です。この場合、その箇所を特定できただけでは不十分で、なぜ、その箇所だけがうまく出来ないのかという原因を突き止めることが必要です。原因さえわかれば対処の方法があるからです。

ひとつめ方法、メトロノームでひと目盛りずつテンポを上げてゆく方法ですが、これは問題をかかえています。ある一定以上テンポが上がらなくなってしまうということです。
これは特定の場所がうまく演奏できないことが原因なので、上記ふたつの方法のなかではひとつよりも、ふたつめの方法が優先されるべきです。

ここまでは良いのですが、それ以外の方法を紹介してみます。
テンポに限りませんが、自分自身と楽器との距離を近づけてゆくための考え方です。

その時、取り掛かっている曲と異なる曲を練習することです。
このことによって異なる身体の使い方を体験することが出来ます。そのことを通じて楽器と自分との距離が近くなります。

「うまく演奏できない」というのはすべからくその奏者がその楽器をうまく使いこなせていない、ということに起因しています。
ひとつの曲しかうまく演奏できないよりは、より多くの曲を演奏できるようにしておくことのほうが有利です。

そのために必要なのは自分にとって「定番の曲」というのを決めておくことです。
スランプに陥った時、何か必要があって特定の曲のテンポを上げてゆきたい時、あるいはまた作曲や編曲に取り組んでみたい時など、様々な場合に「定番の曲」で音を出してみます。

奏者の状態は毎回、変化します。
「定番の曲」を演奏することによって自分自身がどのような状態にあるのか、ということを知ることが出来ます。

テンポを上げてゆくための方法に限らず、広く応用できる考え方です。

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補足1:
「これ以上テンポを上げることは不可能」と自分の状態を受け入れることが必要になる場合もあります。
音楽的、あるいは自分自身の技術的な限界を客観的に判断し、いったんその判断をした後はその判断のなかで最大限の表現ができるように試みます。

補足2:
メトロノームを使ってテンポを上げる方法ですが、ひと目盛りずつテンポを上げてゆく方法に加えて、遅いテンポで繰り返し練習し、いきなり速いテンポにするという方法もあります。実際の演奏の現場では練習と異なるテンポになることもある為、本番を想定した練習としてはこのような方法も必要です。(このような方法をとって全く演奏不可能になってしまう場合、そもそも曲がその奏者の限界を超えて難し過ぎる、ということかもしれません。このあたり要注意です)








練習開始の際の心理状態(個人的)

2019年10月27日 | 全般的な事柄
練習開始の際の心理状態について書いてみます。
私の個人的な心理状態なので一般の方々にはあてはまらない部分もあるかと思います。

練習開始の時に「喜び勇んで」練習を始めるというような心理状態になることはあまりありません。
なので楽器を取り出して目の前に楽譜を置く時には「ああ、また練習か、仕方ないな」というような感じです。

そこには音楽に触れる喜びとか、新しい何かを作り出す時にありそうな何か、素晴らしい閃きはさほど有りません。
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なので練習開始する時にはやはりもう一人の自分がそこに居てくれることが必要です。
いつもの自分にとってはコーチみたいな存在です。

頭のなかでコーチと短い会話を交わします。
「練習したくないんだけど・・・・」
「あ、そう・・・・」
「もう、全然、練習なんかしたくなくて、どこか天文館(鹿児島一番の繁華街)にでも行ってその辺あるいてる着物美人から遭遇してみたい・・・・あわよくば道でも尋ねられてみたい・・・・・・」
「あ、そうなの・・・・・」
「そしたら練習に熱が入るかも・・・・・」
「あ、そうなんだ。そしたら天文館いって着物美人がいなかったらどうするの?道あるいてる着物美人が居たとしても、その人から道を尋ねてもらえなかったどうするの?」
「ううう。。。。どうしよう。。。。。それが問題なのだ・・・・・ううううう」
「暇でいいね。そうやっていつまでも悩んでたら良いんじゃないの。もう忙しいから他のとこ行くから。じゃあね、バイバイ。こんなにやる気のないリコーダー奏者のコーチやるのもう時間の無駄だから、もうやめようかな」
「あああああああ。待って、待って、練習するから、コーチやめないで、待って、待って」

こんな感じです。

やる気が出ない時にはこんな風な仕掛けを作っています。何かの参考になれば幸いです。

ちなみに、もうひとりの自分を設定するというのは練習開始の時だけではなくて、練習の最中とか、終わりとか、いろいろな局面でも便利です。

もうひとりの自分を設定して会話する時には思い切って感情をこめて会話してみると効果的です。

ひとりでぶつぶつ言ってるだけだと良いですが、周りに人が居る時にひとりで声を出して会話していると、気持ち悪いので気をつけたほうが良いかもしれません。


自分で自分にだまされてみる

2019年10月24日 | 上達の道筋
スランプ脱出のための方法

沢山あるのでここでは「自分で自分を救出する」という観点をとってみます。
具体的な方法としては
■定番の練習をやる
■定番の曲を精密に練習する
■自分の技術、知識、感性にそぐわないほどの簡単な曲をやってみる
■しばらく練習しない
■練習以外のことを積極的にやってみる
■なにか異なる楽器をやってみる
■理論的な本を読んでみる

など数え上げたら沢山ありそうです。

ここでは
■練習以外のことを積極的にやってみる、ということについて書いてみます。

私の場合は身体を動かす、ということをよくやります。

週に1回だけ卓球をやっているのですが、それが効果を上げていることを実感しています。
ただ、音楽関連のことで煮詰まっていたりすると、当然のことながら気持ちが下向きになってしまっているので、卓球もやりたくなかったりします。

別れ目はその時です。

卓球やりたくないから、やらない、という選択肢ももちろん有るのですが、そんな時には敢えて「自分で自分をだます」のです。

「だまされたつもりで」やってみるのです。

「だまされたつもり」なのでやる方は半信半疑です。

そんな時は「だます」自分と「だまされる」自分、というように自分が二人いるように意識してみます。
煮詰まっている方の自分はもう、いろんなこと(特に音楽関連のこと)が嫌になってしまっていることはもちろん、それ以外のことについても否定的だったり、なにか言い訳つけてさぼろうとしています。

そんな自分をもう一人の自分が「それでも良いからさ、とにかくだまされたと思ってさ、卓球してみようよ。もしかしたら、気持ち良いかもよ。煮詰まるのも突破できるかもしれないよ」という風に持ってゆきます。

人間の身体というのはかなり正直に出来ていることを実感します。

いったん身体を動かし始めると、目の前に飛んでくるボールのことや卓球台の向こうにいる相手の動きなどに集中し始めて、汗も出て来て、コロリと煮詰まっているのが解消されます。

卓球のない日には自分の仕事部屋にある卓球のラケット持って素振りしたりしています。
この時もひとりの自分は「素振りなんかしたってつまらん」と思っているのですが、もうひとりの自分は「まあ、だまされたと思ってさ、ちょこっとラケットでも振ってみたら」と言います。

私の場合は卓球関連のことで自分が大きく救われていることを感じます。

人によって様々な方法があるかと思います。
ここでのポイントは「自分で自分にだまされてみる」ということでした。

速いパッセージ

2019年10月17日 | 上達の道筋
速いパッセージをきちんと演奏できるようになるためには、まずはそのパッセージを遅いテンポで演奏できるようにすること。

このようなことがよく言われます。
それは正しいです。

しかしながら遅いテンポのまま、同じパッセージを繰り返しやっていても速く演奏できるようにはなりません。

ここで速いパッセージを吹けるようになるための近道は存在しないから様々な遠回りを積み重ねるしか方法がない、と考えてみます。

その遠回りのひとつは違う曲を練習する、ということです。
練習する曲の数はその時の状況によって多かったり、少なかったりするでしょう。

しかし、違う曲を練習するという経験をしばらく続けているうちに、目的の曲の速いパッセージがいきなり速いテンポで吹けるようになることがあります。

一見、遠回りに見えることが実は最短距離(決して近道というわけではないけれども)だったりするのも上達の道筋を考える上で面白いことです。

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もう一度、「速いパッセージを遅いテンポで演奏することの重要性」を考えてみます。
これはひとつ、ひとつの音を奏者が確認できるために必要なことなのだ、という理由があるのだとしてみます。

ということはひとつ、ひとつの音が確認できたならば、この練習の目的はすでに達成できているわけです。

速いパッセージを練習する最終目標はそれを速いテンポで、しかも、ひとつひとつの音がちゃんと「鳴っている」状態にまで持ってゆくことです。

遅いテンポによる練習方法では「ちゃんと鳴っている状態」に持ってゆくことは可能ですが、当然ながら速いテンポに持ってゆくためには不十分です。

並外れた資質の奏者ならば遅いテンポからいきなり速いテンポにすることも出来るかもしれませんが、私たちの多くはそうではありません。

 ここで、大事になって来るのは「ちょっと違う曲を練習してみる」というクッションを置いてみるという考えかたです。

「違う曲」にどのような曲を持ってくるのか、ということはまた別の機会に書いてみます。

ウィンドウェイの湿気と音色の関係

2019年09月22日 | 楽器の状態を感じとりながら音を出す
楽器には個性があります。
ウィンドウェイがかなり湿気を帯びていなければ良い音のでない楽器もあれば、そうでなくともすぐに良い音色を出す楽器もあります。

経験上、木製の楽器は全般的にウィンドウェイが湿気を帯びているほうが良い音が出ます。

演奏会や録音などでウォーミングアップをする時間があまりない時、あるいは暑い季節などはスポイトでほんのちょっとだけウィンドウェイに水をたらすと良いです。

水の量が多すぎるとブロックやウィンドウェイの天井部分が急激に膨張する危険があるので、あくまでも「ほんのちょっと」の水がコツです。

寒い季節にはほんの少しのウォーミングアップだけですぐにウィンドウェイが湿気を帯びるのでこのようなことをわざわざする必要はありません。

また、同じ条件で音を出してもウィンドウェイに湿気を帯びやすい楽器とそうでない楽器があるので、そのあたりの楽器の個性の見分けは奏者にとっては大事です。

*補足事項
「ウィンドウェイに湿気を帯びる」ということと「ウィンドウェイに水がたまる」ということは別の事柄です。
湿気を帯びると音色、あるいは楽器の反応に有利に働きますが、水がたまると楽器の反応が鈍くなり、音色が曇るなど否定的な事柄となって現れます。

それではその両者の境界線をどこで引くべきでしょうか?
このあたりのところもリコーダーを演奏する上で考えてみたいポイントのひとつです。