吉嶺史晴のブログ

リコーダー奏者吉嶺史晴のブログです。演奏活動ならびに鹿児島市で音楽教室を運営しています。

無伴奏テナーリコーダーのための「阿修羅」作曲イメージ

2020-02-05 | 読み物
曲作りのイメージために短いお話を作ってみました。
2月11日、13日の演奏会プログラムIのなかの曲目「阿修羅」について。

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昔、昔のお話です。
あるところに阿修羅というオトコがおりました。

乱暴、狼藉の限りを尽くしていたので、世間の人々からは大変、恐れられておりました。

似たような歳格好のオトコをみつけてはいつも戦いを挑んでおりました。

戦いだけならまだ良かったのですが、畑を荒らしてみたり、田んぼで実ろうとしている稲をむちゃくちゃにしたり、とにかく乱暴なことばかりしておりました。
世間からはたいそう恐れられ、嫌われておりましたが、阿修羅は人間でもなく鬼でもない、という哀れなオトコだったのでした。

ある日、銀河鉄道999のメーテルみたいな女の人に出会ってそのあまりの美しさに恋をしました。

メーテルは美しい娘でしたが、まわりのオトコたちから全然アプローチされないのが悩みでした。

「あたしはなんでモテないのかな。。。魅力ないのかな」とメーテルはいつも思っておりました。
オトコの常としてやはり美人を目の前にすると足がすくんでしまって声をかけられないということもあったのかもしれません。

そんな時に阿修羅と出会ったのでした。
乱暴者でありましたが、ぐいぐい引っ張っていってくれる阿修羅のことが好きになってゆきます。
なにしろデートの場所も日時も全部阿修羅の好きなように決めてしまうので、メーテルはそんなところにも惹かれていったのでした。

メーテルの女友達は言いました。
「よしなさいよ。あんなオトコ。喧嘩してるだけじゃないの。うわさによると畑や田んぼを荒らしまわったり、そんなこともしてるらしいわよ。ろくなオトコじゃないわよ。ダメ、ダメ、絶対ダメ。刑務所から出て来たっていう噂もあるみたいよ。結婚したらいろいろ物入りなんだから。国民年金とか、電気代とか、携帯電話料金とか、ガス代とか水道代とか。消費税だって上がっているし。あんなオトコと一緒になったってダメ、ダメ。オトコは経済力がなきゃダメ。喧嘩してるだけじゃダメ、ダメ」

「でも。。。。あたしみたいなオンナを好きになってくれるんだから・・・・」

やがてふたりは結ばれるのでした。
しかし幸せな時間は長く続きませんでした。

しょせん違う世界に住む者同士だったからです。
阿修羅は喧嘩、そしてメーテルは星の世界の住人なのでした。

別れの日がやって来ました。
「阿修羅、あなたと居られた日々は楽しかったわ。元気でね。あたしのこと忘れないでね」
「メーテル・・・・・」
M999星雲からやって来た宇宙軍団がゆっくりと降りて来ました。
そこから不思議な光がでて来てメーテルが宙に浮いてその宇宙船のひとつに入ってゆきました。
阿修羅は戦うオトコなので金棒を持って宇宙船に立ち向かおうとするのですが、なにしろ相手は空の上に居るので得意の金棒も届きませんでした。
仕方がないので弓を持ってきて、宇宙船を落としてやろうと試みましたが、腕自慢の阿修羅の弓から放たれた矢も宇宙船には届きませんでした。

長い年月がたちました。

風のうわさにメーテルが死んだ、ということが阿修羅の耳に入ってきました。

阿修羅もだんだん歳をとって来ました。
昔のように乱暴、狼藉を働くことのできる体力もなくなって来ました。

やがて近所の子供たちは年老いた阿修羅に石を投げつけたりするようになりました。
「や~い、乱暴者の阿修羅、くやしかったら仕返ししてみろ」と言って阿修羅をからかうのでした。

ついに阿修羅は自分が死ぬ時期が近いことを悟りました。
「ああ、俺はいままでずいぶん乱暴、狼藉を働いて来たな。。。。なんということをしてきたのだ。。。。皆さんに申し訳ないことであった。。。。。でも、こんな俺の思い出のなかでただひとつ良いことがあった。それはメーテルと出あったことなのだった。。。。。良いオンナだったなあ。。。。。俺はもうすぐ死ぬのだが、死んだらメーテルと会えるだろうか。。。。。。。情けない人生であったが、死んでメーテルに会えるのならば、それは嬉しいことであるなあ。。。。。」

やがて阿修羅は死にました。

あまりにも乱暴、狼藉のかぎりを尽くしたので、今となっては戦いの神、修羅の神として知られておりますが、若き日の阿修羅にはこんな恋の物語もあったのでした。

今となっては昔、昔のお話であります。
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