ギャラリーと図書室の一隅で

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巖谷國士氏講演会 旅への誘い~文学・美術・自然

2016年05月02日 | 游文舎企画


5月8日(日)午後1時半から、柏崎市文化会館アルフォーレ・マルチホールで游文舎開館8周年記念企画「巖谷國士氏講演会」を開催します。
巖谷氏は明治学院大学名誉教授、仏文学者・評論家。特に、アンドレ・ブルトンやマックス・エルンストなど、シュルレアリスムについての研究や翻訳に多大な功績を残しています。現在は、文学、美術、映画評論や都市、庭園、遺跡などを巡る紀行、メルヘン創作、展覧会の監修等の他、自ら撮影した写真展を開催するなど、幅広く自由な活動を続けています。ちなみに氏の曾祖父は政治家・書家の巖谷一六で、その書は、柏崎市史跡・飯塚邸にも所蔵されています。また祖父の児童文学者・巖谷小波は柏崎・岩下コレクション「痴娯の家」の名付け親でもあります。
巖谷氏は著書『旅と芸術』(2015年 平凡社)の中で、旅とは「人間に特有の他の土地への移動」と捉え、「旅とは多様性そのものの発見」であり、「人間にはもともと「移動」という本性があるのではないか」と書いています。そして太古からの探索や冒険、交易や遠征、巡礼の旅、近代の観光、さらには戦争や災害による流浪の旅や、難民・移民の旅などにわたって、芸術との密接なつながりを説き起こしています。同書は、豊富な図版や注、コラムが盛り込まれ、単行本として、さながら誌上を旅するように読める本ですが、2015年11月から2016年1月まで埼玉県立近代美術館で、氏の監修によって開催された同名の展覧会の図録でもあります。
 今回の講演でもたくさんの画像を用意し、同展に関わるお話もしていただく予定ですが、プロフィールでお察しのように、ご自身が正に「旅人」であり、旅先の地で、さて話題はどこに行くのか、スリリングな展開になるのではないでしょうか。
 巖谷氏には東日本大震災から間もない2011年5月にも「森と芸術」というテーマで講演をしていただいています。前日に柏崎の鎮守の杜や里山を探索し、「森とはこわくて気持ちいい」ところであり、「我々もまたそうした森の記憶を持っている」というお話が印象的でした。今年も前日に柏崎に入り、あちこち訪問する予定です。前掲書の巻末で氏は「旅とは既知を未知に変える体験」とも書いています。どんな柏崎を再発見してくれることでしょうか。これもまた楽しみです。
 お申し込みは游文舎へ。Tel 0257-32-1238 Fax0257-21-9261

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