山里の暮らしに関する一考察

本州内の町で、人口密度が下から2番目の小さな町・宮城県七ヶ宿に所在する社内で最小の事業所、七ヶ宿林業所のブログです。

そんなに弱くはない つづき

2012-03-18 11:24:51 | インポート
科学的な話ではないので少々アレなんですが、
私らの管轄する七ヶ宿社有林は総面積1500ha程で
その内、人工林は500ha弱という構成なので、
人工林が沢から尾根までを覆うという状態ではなく、
斑状に人工林があり、その間には二次性の天然林が存在します。

現在の林業、特に素材生産事業においては
作業道の設置が事業の成否の鍵を握るのですが、
うちの山に関しては、やや出遅れた為、
未だに路網の整備中で毎年2㎞程の作業道を開設しています。
作業道開設にあたっては、人工林が散在する状況から
人工林施業であっても天然林を通過することが結構な頻度であり、
針葉樹・広葉樹様々な樹種の支障木伐根を重機で除去しています。


そんな中で実感する強い根っこランキング1位は、
文句なしで天然性ケヤキなのですが、
それに僅差で迫る頑固な根の持ち主はスギの造林適地に植えられたカラマツ、
次いで天然アカマツ、適地のスギ(秋田出身)、ミズナラの古木という順番で、
世の中の人々が好きな天然ブナは上位5位に比べると
グッと簡単に掘り返すことが出来、根の強さでは遠く及びません。
 
また、王者ケヤキも直根は大したことなく、
周囲の側根を断ち切ると案外簡単にひっくり返せるので
カラマツ・天然アカマツ・裏系スギほど苦戦することはありません。
 
大深沢山林は表土の下に、風化しつつある花崗岩層があり
殆どの樹は主根を表土に這わせている感じなのですが
カラマツとスギは岩の割れ目に根をくい込ませているので
周囲を掘り取っても、抜いたり返したりすることが出来ない丈夫な根でうんざりします。
 また、天然アカマツは風当たりが強く
貧栄養な乾燥土壌の尾根部や急傾斜地で大きく枝を張った状態でそそり立っています。
この状態を維持できるのは、根が丈夫であるに他なりません。

私の乏しい経験則ではありますが、針葉樹(主要造林樹種)の
根は弱くはないと思いつつ、更につづくかな?



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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
カラマツが浅根性で昭和40年代の拡大造林計画=「... (小杉のゴンタ)
2012-03-18 12:52:01
カラマツが浅根性で昭和40年代の拡大造林計画=「林野庁の悪政」がバードラインの崩落の要因である…などのイメージがありましたが、現実は色々違うようですね。
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更に、カラマツは典型的な陽樹で、自然淘汰の進行... (山リーマン)
2012-03-19 09:45:38
更に、カラマツは典型的な陽樹で、自然淘汰の進行が速く、放置すると雑木林になってしまうぐらいなので、あんな大規模な地滑りの要因になるのは、ちょっと考えにくいね
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林業の素人です。潜在自然植生への批判について検... (ilyaの日記)
2012-11-14 20:13:28
根っこの強さの経験則、とても勉強になりました。流布しているイメージとはまた違うものなのですね。こうした経験則に科学的な裏付けがとれるとうれしいなと思います。
(防災林に適した根の強い樹種の研究などもあるようですから、すでに経験を裏付ける論文などもあるのかもしれません。)
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潜在植生については、疑問が多々ありますが、経験... (山リーマン)
2012-11-15 11:23:11
ご存知と思いますが、森林ジャーナリストの田中淳夫さんのブログが参考になります。http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/2011/09/post-6632.html
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ブログ記事、ご教示ありがとうございます! (ilyaの日記)
2012-11-16 00:08:47
お知らせいただいたページ、存じ上げず、参考になりました。 (田中さんのブログ記事は、次のページは参照していました。)
http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/2011/11/post-d5d1.html

ご教示をいただいたページを読んで思い出したのですが、速水亨さんの『日本林業を立て直す』(日本経済新聞出版社)p.117 以降にも、同様の記述がありました。
(考えてみればこの本も、田中さんがブログの書評で称賛しているのを読んで手に取ったものでした。)
http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/2012/09/post-68be.html
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いずれにせよ、他を認めない原理主義化した理屈は... (山リーマン)
2012-11-16 07:53:22
「自然回帰」って言うと、知識人的な方々が入って来て、マスコミに取り上げられる機会が増えるので、一般論化して行くのが???というところです。
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