青春の久留里線

今日の写真は、JR久留里線の小櫃(おびつ)駅。

久留里線は内房の木更津から房総内陸の上総亀山を結ぶローカル線。そのほとんどが房総ローカル線のスタンダードである無人駅で、ここ小櫃駅も標準的な駅だ。

僕が高校生の頃、久留里線は「パー線」という俗称で親しまれていた。
高校に入るまで、パー線という呼称を知らなかった僕は、「なんでパー線と言うの？」と友達に聞いたものだった。そして、パー線という呼称を教えてくれたのが、当時高校一年生で、一緒に玉拾いに励んでいた、二年後のサッカー部の主将だった。彼もパー線の利用者だったのだ。

"パー線"つながりで僕と仲良くなった彼は、頭脳明晰、統率力に優れ、誰からも慕われる存在。満場一致でキャプテンになったのだが、不運にも足首を骨折し、怪我が癒えてからも調子を上げることなく、そのまま控えに甘んじた。
今思うと、そんな境遇に陥りながら、チームメートや下級生を気遣い、練習では先頭を走るという精神力は尊敬に値する。試合には出なかったけれど、やっぱり10番のユニフォームが彼が相応しかったのだと実感できる。


そんな彼からの依頼を受けて、僕はゲームキャプテンになった。キャプテンというのは難しくて自分のことをこなしながら、仲間のこと、相手のこと、試合の流れのこと、何から何までを把握して、関連付けてトータルに状況を判断していかないといけない。僕には到底ムリで、いつもベンチから彼がコーチングしてくれていた。

最後の大会の予選の４回戦めで負けて、僕らの部活動は終了したのだが、その最後の試合で残り10分を残して3-0で負けていたときに先生の粋な計らいで、彼が交代で出場することができた。僕は彼にキャプテンマークの腕章を譲りに駆け寄ったが、彼はそれを辞退する仕草をした。「お前が引っ張ってきたんだから・・・」彼はそう言うのだけれど、僕は自分の腕から腕章をはがし取り、「やっぱ、お前でしょう・・・」と言って彼の腕に強引に巻きつけた。

結局、敗戦で試合を終えることになった僕らだが、最後の最後に1点を返せたことが何よりもうれしかった。彼が入れたわけではないが、後ろからの彼のコーチングがあったことは言うまでもない。団体競技は、個人でなくチームとして得点を奪うもの。負けはしたけれど、とても気持いい試合だった。これっぽっちの未練もなく大会を終え、部活動を終え、受験に向かい、高校生活を終えられたのは彼のおかげだったと今でも感謝している。

さて、ワールドカップが始まった。サッカー好きの彼のこと。どこかで彼も見ているんだろうなぁ・・・と思いつつ、夕べは開幕試合のドイツ戦を夜更かしして見ていた。

えっ？パー線という呼称の由来ですか？
怒らないでくださいね・・・。
「久留里(くるり)」という発音と「狂う(くるう)」という発音が似ていること、それから沿線にある某県立高校の偏差値が非常に低くて「パー」と馬鹿にした意味が混ざってついたと言うことです。某高校の生徒諸君、ホントごめんね。