長野久義選手は、佐賀県三養基郡基山町出身のプロ野球選手です。昨日までは読売ジャイアンツに所属し、今日あたりからは広島東洋カープに所属する予定です。
「広島県が長野県を獲得」したのではありません。プロ野球の話です。ジャイアンツは19日、FAで獲得した丸佳浩選手の人的補償として、長野久義選手がカープに移籍すると発表しました。
長年にわたってジャイアンツの主軸を打ち、3度のリーグ優勝、1度の日本一に貢献する功労者ですが、ここ数年は成績に波があり、年齢的なこともあるので、ある意味「当然かな」と思えるところはあります。
昨年、ジャイアンツからFAの人的補償として内海哲也選手が埼玉西武ライオンズに移籍し、世間の注目を浴びました。功労者である内海選手がプロテクトリストから漏れていた事実は衝撃的でした。そこにきてまたも生え抜き功労者の移籍です。現状を考えれば、長野選手がプロテクトから漏れ、カープへ移籍となれば内海選手以上に衝撃的です。
阿部慎之助選手は「そこはルールだから仕方ない。ただ野球人生は終わらない。同じ野球人として戦っていきたい」と話しています。
ジャイアンツは2018年12月12日までにカープに28人のプロテクトリストを提出していました。これに先立ち、カープ球団本部長は、「(プロテクト)リストを見てから」と前置きした上で、「いい選手がいたら取りにいく。(年俸が)高くてもいく可能性がある」と話しており、投手、野手に限らず、しかも高額年俸の選手でもリストから漏れていれば獲得に動く意向を示していました。
ちなみに長野選手の今季年俸は2億3000万円で、丸選手の昨季年俸の2億1000万円を上回っています。昨季の成績は、
丸 打率306 39本塁打 97打点
長野 打率290 13本塁打 52打点
と、数字では丸選手に及びませんが、チームリーダー的存在の経験は若手にとって生きた手本になりそうです。
長野選手は2012年以降、打撃部門でのタイトル獲得がなく、成績は1年ごとに好不調を繰り返しています。一方で原監督は、お正月のラジオ番組で今年の抱負を語りつつ、外野手に関して、松原聖弥選手、重信慎之介選手ら若手のポテンシャルに触れつつ、陽岱鋼選手を「(持っている)ものは凄い」と高く評価し、今季の活躍に期待を寄せていたそうですが、そこには長野選手の名前はなかったようです。となれば、自然と長野選手の優先順位を下げざるを得なかったのではないかと思います。
さて、ここで一つ。内海選手と長野選手の共通点として、ともにドラフト指名で拒否してジャイアンツへ入団した経緯があります。
内海選手は敦賀気比高時の2000年のドラフト会議でオリックスブルーウェーブから1位指名されますが、社会人の東京ガスへ進み、2003年のドラフト会議で自由獲得枠で交渉権を獲得し入団しました。
長野選手は日本大時の2006年のドラフト会議で北海道日本ハムファイターズから4位で指名を受けましたが、ジャイアンツ入団を強く希望し交渉は決裂しました。入団を見送り、本田技研工業へ入社します。そして、2008年のドラフト会議で、長野選手はまたしても巨人以外のチームから指名されます。千葉ロッテマリーンズから2位指名でした。この交渉も決裂し、長野選手は本田技研工業へ残ることとなりました。そして、2009年のドラフト会議でようやく長野選手はジャイアンツかたドラフト1位で指名を受け、入団しました。江川さんにも負けない「G♡」状態です。
ちなみに、どうでもいいことですが2015年までの選手会長は内海選手、2016年以降は長野選手が務めています。
と、「G♡」選手二人が人的補償で移籍となったのですが、下衆の勘繰りは良くないことですが、もう一つ共通点がありまして、2選手ともFA権を取得していることです。この2人の選手が「最後はジャイアンツのユニフォーム」と考え、ジャイアンツが受け入れた場合には出戻り移籍する可能性は0%ではありません。
何しろ、過去2013年にライオンズからFAで片岡治大さんがジャイアンツへ移籍した際の人的補償で脇谷亮太さんがライオンズへ移籍しましたが、2015年にFAでジャイアンツに出戻り移籍しています。
もちろん、移籍先の球団で野球人生をまっとうし、引退する可能性もあります。
ただ、内海選手も長野選手もFA権を行使した場合、2人の年俸から推測しますと、人的補償が発生するBランク以上に該当すると思われます。つまり、ライオンズとカープは再び人的補償で選手を選ぶ権利が与えられる事になります。
これもルールだから仕方ないのでしょうけど。答えは、今年のシーズンオフを待つとしますか。