野球小僧

故意四球(敬遠)

ピッチャーがバッターに対して、わざとフォアボール(四球)を与える行為のことを「故意四球」と言います。日本では「故意四球」というよりも「敬遠」という言いの方が一般的です。ここでは「敬遠」で書いていきます。

敬遠は時に批判に晒されることもありますが、決してルール違反ではなく、ルールでも認められている守備側の戦術です。
日本で一番有名と言っても良いと思う敬遠は、1992年の第74回全国高等学校野球選手権大会で、石川・星稜高校の松井秀喜さん(元タンパベイ・レイズほか)は、高知・明徳義塾高校との試合で5打席連続の敬遠を受けた時です。実際にはキャッチャーが座った状態だったため、公式記録では「故意四球」ではなく単なる「四球」でした。

これは、バッターの能力を考えた結果、塁に出してしまった方が試合を有利に運ぶことができると判断して、意図的に行ったものです。また、守備を行いやすいように、あえてランナーを一人増やす場合もあります。
つまり、現在ランナーのいるひとつ前の塁にランナーを送り出し、塁を埋めることによって、次のバッターが打った際に先行するランナーは必ず次の塁に進まなければならなくなり、ランナーにタッチしなくても、そのランナーが次に進むべき塁に触れるだけでアウトを取れるような状況を作ります。ランナーを溜めて、大量点を取られるリスクが高くなる反面、守備側にとっても一番アウトを取りやすい状況でもあります。

さて、5月19日に閉会したMLBオーナー会議の競技委員会において、敬遠とストライクゾーンについてルール改正の合意があったと米国メディアが報道しました。その内容は、

(1) 敬遠はボールを4球投げなくても、球審に敬遠の意思を示せばバッターを歩かせられる
(2) バッターの膝頭下部とされているストライクゾーンの下限を膝頭上部に引き上げる

の2項目になります。MLB規則委員会が承認すればMLB選手会の同意なしでも変更は可能で、早ければ来シーズンから適用となるとされています。日本はどうでしょう。普通は一年後に導入されますが、2017年にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が予定されているため、ストライクゾーンは同時に導入するかもしれませんね。

敬遠に関してはいろいろと議論があるかも知れません。ソフトボールの国際ルールでは敬遠したいと思ったらそのことを球審に告げるだけで、投球する必要はありません。日本も2013年から導入されています。 確かに時間短縮と観ている方には判り易くなります。 

このルール変更に対して、米国メディアは敬遠球からの暴投やヒットで決した試合があったことを報道し、イチロー選手が「それも野球の一部であり、変えるべきではない。なぜなら敬遠で苦しむ投手もいるから。もしそうなれば、本塁打を打ったとしても、ベースを一周しなくていいことになってしまう。野球を変えてしまうのではと心配です」と疑問を呈したことも紹介しています。ちなみに、イチロー選手はもしストライクゾーンが最初から狭まっていたら3000安打はすでに達成していたかという問いに「多分、4000本だろうね」とジョーク交じりに答えたという。

どうせならば、ホームベースのサイズも変えても良いかも知れませんが。コリジョンルールの時にも触れましたが、その時のルールで育った選手にとっては、宣言しての敬遠も何も変には感じないでしょう。

ただ、それとは引き換えに伝説的なプレーが見られなくなってしまうことも事実です。

1952年8月9日 金田正一さん(国鉄スワローズ)は延長13回裏、代打・藤本英雄さん(読売ジャイアンツ)に対して敬遠球を剛速球で投げたため暴投となりサヨナラ負け
1981年7月19日 柏原純一さん(日本ハムファイターズ)が永射保さん(西武ライオンズ)さんから敬遠球を意図した投球をホームラン
1982年4月3日 小林繁さん(阪神タイガース)は開幕戦で高木嘉一さん(大洋ホエールズ)への敬遠が暴投となりサヨナラ負け
1990年6月2日 ウォーレン・クロマティさん(読売ジャイアンツ)は金石昭人さん(広島東洋カープ)から敬遠球をサヨナラヒット
1999年6月12日 新庄剛志さん(阪神タイガース)が、槙原寛己さん(読売ジャイアンツ)の敬遠球を打ちサヨナラヒット(ちなみにタイガースの打撃コーチは柏原純一さん)


コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。
私はてっきり、金田さんをライヴで観ていたと思いましたが・・・

あ、さて。敬遠時のあの独特の雰囲気とドラマは無くなりそうですね。ねぇ。でも、時代の流れになるのなら、淋しいけど仕方がないかもしれません。

でも、「敬遠」と宣告せずに勝負と見せかけてのストレートのフォアボールもあるでしょうね。これは記録上は「敬遠」にはならないのでしょうね。
eco坊主
おはようございます(*Ü*)ノ"☀

敬遠をどうこういうつもりはないのですが
敬遠が投げなくてもいいとなるとは・・・
投げて、打って、走ってが野球なのにorz

無投球敬遠をするに際してもマウンドに集まってとか
ベンチからコーチが出てきてとかあるんでしょうね。
時間短縮になるとは思いますがそこをファンは望んでいるのかしら?

直近3つは記憶にありますよ。

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