野球小僧

横綱引退の時期

 

一年を締めくくる大相撲九州場所は今日が千秋楽です。

 

横綱不在の今場所、昨日の14日目に1敗の小結貴景勝関が、2敗の大関高安関に敗れ、優勝争いは2人が並び、千秋楽に持ち越されました。

さて、どのスポーツにおいても引退の時はやってきます。まだやれる余力を残して引退するか、ボロボロになるまでやりつくすか。

いうまでもなく横綱は大相撲における番付最高位です。プロ野球やサッカーなどの団体競技には個人における順位付けというものはありませんが、個人競技においては順位付け=強さを表すステータスであり、横綱ともなれば優勝して当たり前の存在であり、下位の力士が勝てば観客は大いに沸き、ニュースにもあるほどです。平幕力士が横綱に勝てば金星といわれて、褒賞金が出るほどで(金星1個で年収は24万円アップ)、それだけ勝つのが難しい強い力士なのです。

大相撲の本場所の注目も横綱が順当に優勝するか、それとも大関以下がそれを阻止するかであり、中心となるのはいつも横綱です。ところが今場所は(も?)、白鵬関が手術した右ヒザの完治が遅れ、鶴竜関も右足首の故障のため休場。稀勢の里関が一人横綱を務めることになりました。その稀勢の里関は昨年3月の横綱昇進場所で優勝はしたものの、この時痛めた左肩が完治せず、以後は出場しては黒星が先行して休場が続いていました。ようやく先場所は15日間出場し、10勝5敗、なんとか横綱の面目を保ったところであったものの、まだ、完全復活には心もとないものでした。

そして、不安は的中してしまい、初日は貴景勝関、2日目は妙義龍関に敗れ2連敗。ここで休場という噂が上がりますが、一人横綱の責任感があってなのか出場し続け、3日目、4日目も敗れ、初日から4連敗という横綱としては87年ぶりの不名誉な記録を更新してしまいまい、ようやく休場の決断をしました。

大相撲を目指し、角界に入門した者は頂点の横綱になることを目標としているはずです。また、俗的なことで言えば大きな報酬が得られるからでもあります。横綱になれば、相撲協会から月給や賞与、各種手当だけで4000万円を超える報酬があります。それに取組で勝つたびにもらえる懸賞金、優勝賞金(1000万円)、タニマチからのご祝儀などを合わせれば、年収は軽く1億円を超えるといわれています。

その一方で、勝ち続けなければならないという、大相撲での横綱本来の責任があります。大関までなら、ケガや不調で負け越して陥落したとしても力士を続け、復活を待つことは出来たりしますが、横綱は勝てなくなったら引退するしか、残された道はありません。実際、横綱になるには簡単なことではなく、厳しい相撲を勝ち抜いて来て、横綱になってからも常に周りの力士から標的にされ、精神的、肉体的プレッシャーは相当なものであると思います。激しい相撲や稽古によって故障は数多く抱えているはずですし、精神的重圧も大変なものでしょう。そして勝てなくなれば引退という道しか残されません。

横綱は稀勢の里関で72代目です。現行の年6場所制になった1958年以降に横綱を務めた、第44代横綱栃錦関から現在までに引退した26人の平均引退年齢は30.7歳。中には、第51代横綱の玉の海関は27歳で急死、第60代横綱の双羽黒関は暴力事件で24歳で廃業(歴代横綱の中で唯一、優勝経験が無し)。第68代横綱の朝青龍関と第70代横綱の日馬富士関は不祥事で引退に追い込まれています。それでも、横綱は30歳を越えたところで現役引退しています。

ちなみに、引退年齢がもっとも遅ったのは、年6場所制以前では第43代横綱の吉葉山関の37歳。年6場所制以降では栃錦関と第58代横綱千代の富士関の35歳が最高齢です。また、年6場所以降での横綱在位平均年数は、4.7年。中には約10年間横綱を務めた第48代横綱大鵬関、第55代横綱北の湖関、千代の富士関などいる反面、2年以下で引退した第57代横綱三重ノ海関、第63代横綱旭富士関もおり、在位期間が2~3年が普通とみてもいいくらいだと思います。

時代やライバル関係もあるでしょうけど、そう考えますと白鵬関は2007年の7月場所で横綱に昇進し、11年経った2018年の今年、33歳の今も現役バリバリで勝ち続けています。すでに横綱在位67場所はもちろん歴代1位、通算勝星1095、幕内勝星1001、横綱勝星807、通算幕内優勝回数41回など大相撲のほとんどすべての勝利記録が歴代1位です。ただ、そんなガンダムのような強さを誇った白鵬関も、今年は3月場所を全休、7月場所は途中休場、11月場所も全休と、休まなければならないほどの故障もあり、肉体的限界が近づいてきている感じです。鶴竜関も3月場所、5月場所と連続優勝したものの、7月場所は途中休場、今場所は全休で、引退へのカウントダウンが始まって来ているように思います。

さて、稀勢の里関。
今場所、休場を決めた時、師匠の田子ノ浦親方に「このままでは終われない。もう1回チャンスをください」と語ったそうです。

横綱として、もうひと花咲かせる時がくることを信じて待ちたいです。

コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。
貴景勝関の初優勝は、先代師匠・貴乃花親方にも捧げるということで盛り上がってもよかったかも知れませんが、いろいろとゴタゴタ続きの相撲界では、ちょとかすんでしまいました。

一時期、横綱不在の時期もありましたが、やっぱりいた方が場所は盛り上がりますよね。

初場所には、是非とも復帰してもらいたいですね。
eco坊主
おはようございます。

寂しい年納めの場所ですよね。
何とか高安関が2敗を保って優勝争いに留まっていますが・・

さて、稀勢の里関。
休場が続いたことで相撲勘が戻っていないのでは?
こればっかりは稽古しかないのでしょうけど、身体もあちこちで悲鳴をあげているのも間違いないでしょう。
本当にもうひと花もふた花も咲かせて欲しいものです。
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