因数分解とは整数または多項式を因数(個々の数や式)に分解することです。たとえば、「15」という数は、「3 × 5」という素因数に分解され、多項式「x2 – 4」は「(x − 2)(x + 2)」という因数の積に分解されます。つまり、因数分解の目的は「基本的な構成要素」にすることなのです。
さてさて、私たちはいろいろな悩みを持っています。嬉しい悩みもあれば、悲しい悩みなど。解決しなくても良いけど、解決しなければならない悩みもあります。でも、悩んでも悩みが堂々巡りするだけであって、複雑な事象が絡み合って、何を糸口に解決したらいいか判らない状況に陥っている人は少なくないでしょう。
こういうには「思考を因数分解する」ことが良いそうです。
1.曖昧なもの・状況を具体化する
曖昧な課題は具体化することです。不安を感じた時に「あー、嫌だ、不安だ」と嘆いていても前に進みません。何が不安なのか、嫌なのかを書き出して数値化してみるといいそうです。書かないと、不安がどんどん増幅して、得体のしれない恐怖心で押しつぶされそうになってしまいます。書けば、自分の心の中が整理整頓出来、不要な怖さを持たずにすみます。悩み・不安の堂々巡りを防ぐことができるのです。
2.原因と結果を見抜く
すべての結果は何らかの原因から発生しています。その原因は何か。さらにその原因の原因は何かと遡ることで、複雑に絡み合った事象がほどけて、因果関係が次第に見えてきます。複雑な因果関係は何に対処するが重要です。どこに対策を打つか。課題の最重要項目である「センターピン」を発見できれば、少ない労力で大きな結果が出せます。センターさえ見つければ、周辺の非センターの不安要素には目をつぶることもできるかもしれません。
3.自分がコントロールできるか案件かできない案件かを区別する
そもそも自分がコントロールできない案件に関して悩んでも解決の糸口は見えてきません。無力感が高まるだけです。まあ、借金を宝くじで変えそうとするようなものですね。「宝くじが当たらなかったら、借金が返せない。どうしよう」と悩むよりかは、コツコツと毎月少しずつで良いから働いて返すことです。「自分に出来ること」に焦点を合わせ、できないことと区別することが重要です。
4.大きいものを小さく砕く
問題を小さく砕く、分割し、何をするべきかを考えます。そして、やることは具体的には何かを、やはり書き出すのです。仮説でいいです。その中から解決策を選び出します。それほど難しいことではありません。このようにして一歩一歩進めると、大きく感じた悩みがは細分化されて、対処しやすくなります。
5.分析をやめて解決へ行動化する
心のモヤモヤで堂々巡り状態になるのは、課題・問題の分析ばかりをやっているときです。こんなときは、解決志向で考ることが大切です。問題の分析ではなく、解決策を一気に考えようという発想です。問題の分析をずっと続けていると正解が出るまで対処出来ません。決まった正解がない場合も多いので、とにかく行動したほうが解決への近道ということもあります。
逆に目標設定においても因数分解は役に立ちます。
現在、プロ野球・北海道日本ハムファイターズで活躍する大谷翔平選手は高校時代の最終目標(最終願望)は、「ドラフト1位 8球団指名」だったそうです。
この目標を達成するために「体づくり」「コントロール」「キレ」「スピード160km」「変化球」「運」「人間性」「メンタル」の8つの要素に分解しました。さらに、この要素を因数分解して、取り組む行動を明確にしました。例えば、「スピード160km」という一つの必要な要素を「軸でまわる」「下肢の強化」「体重増加」「肩周りの強化」「ピッチングを増やす」「ライナーキャッチボール」「可動域」「体幹強化」という感じです。そして、それらについて具体的な行動計画に落とし込んでいます。
これは人生においても同様です。
つまり・・・「因数分解は難しい」と言っている中高生のみなさん。因数分解はしっかりと勉強しておいた方が良いでしょう。なぜならば、
「人生に大事なことは、すべて因数分解で解いてくれる(かも)」
です。