頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『ばかもの』絲山秋子

2009-03-25 | books

「ばかもの」絲山秋子 新潮社 2008年

最初はエロ系の本かと思った。30近い女、額子と大学生のばかもん、ヒデのと濃密なセックスからはじまる。てっきりこの女に惚れきってしまったヒデがずぶずぶと額子にのめり込む、というダメ男小説だと思った。

しかし額子に、木に縛られて放置されるという非常にサディスティックなふられ方をして、ヒデは家電量販店に就職する。舞台は北関東。何とも景色も人も荒涼としている。

しかしヒデはアル中になってしまう。キレイな彼女ができたのに。そのアル中を一体どうするかというエピソードと、意外すぎる額子のその後。

そしてさらに意外すぎるラストへの展開に目頭を熱くしてしまった。まさにばかものの一人として熱くなってしまった。

絲山作品はこれが初めて。しかし、これはどんどんと他の作品も読もうと思わせる作品だった。見た目が薄っぺらいが、中身はぎっしりつまっている。文章が飛び跳ね、雫が飛んで来る。平気な顔をして何も感じないまま読み終える人はたぶんもはや人間ではない。そんな作品だった。




誰か 俺に ばかもの と 言ってくれ







ばかもの
絲山 秋子
新潮社

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『ばかもの』絲山秋子 を読んで (そういうのがいいな、わたしは。(読書日記))
ばかもの (新潮社) 絲山秋子 souiunogaii評価 内容紹介 絶望の果てに響く、短く不器用な、愛の言葉。待望の恋愛長篇。 気ままな大学生と、強気な年上の女。かつての無邪気な恋人たちは、いつしか別れ、気づけばそれぞれに、取り返しのつかない喪失の中にいた。 行き場...