「納棺夫日記」増補改訂版 青木新門 文藝春秋 1996年
納棺夫というそれまで知らなかった職業が我々の目にとまったのは映画「おくりびと」のヒットとアカデミー賞の受賞がきっかけであった。映画は観てないので知らない。しかしこの本で描かれる納棺夫の日常はなんとも静謐だ。
乾いた文体と死者への厳かな気持ちが読む者を遠くへ誘ってくれる。親鸞からアインシュタイン、小林一茶と縦横無尽に青木の思いは駆け巡る。遺体を処理するキワモノな仕事おを紹介する本かと思っていた私が浅はかであった。
高見順の詩集を読んだことは一度もないのに、その引用を読むのは何度目だろうか。また死といふモノについて考えされられてしまった。
先日、友人が「死ぬのが怖いんだ」と言っていた。私は死ぬのが怖いと思ったことは一度もない。理由はよく分からない。死にかけたことが何度かあるからなのだろうか。
いつか必ず誰もが
たどり着く終着驛へ
早く着こうが
遅く着こうが
大した違いがあるわけじゃ
あるまいし
と思ひながらウヰスキーの
お湯割りを今晩も啜る
納棺夫日記 (文春文庫)青木 新門文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
確かに売れていたようですね。
おくりびとという映画による一過性のモノに過ぎないのか
それとも長い興味をみなが持ち続けるのかどちらなのでしょうか
この本を読んでいる方かなり多いようですよね。