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『コーランを知っていますか』阿刀田高

2013-02-24 | books
「コーランを知っていますか」阿刀田高 新潮社 2003年(初出小説新潮2002年9月号~2003年6月号、新潮文庫2005年)

最近なぜだか、イスラムとインドに興味が出てきて、ちらほらと本を読み散らかしている。ここでレビューするような本がなかなかなかったのだけれど、これはコーランとイスラム教について、とても読みやすく分かりやすい本だった。

普段読むことがなくて詳しくない、コーランの文言を色々と引用してくれているし、イスラム教の歴史やユダヤ教やキリスト教の関係も詳しく解説してくれている。

コーランにもっと面白エピソードが詰め込まれているのかと期待していたけれど、ユダヤ王国の建設の歴史書である旧約聖書やキリストの伝記である新約聖書と神の言葉は違うらしい。そりゃそうか。

神がなぜ、アラビア語という言葉を選んでマホメットに自分の言葉を語らせたのか謎だし、ツッコめる箇所なのかな。でも、突然神が自分に語りかけてきたと言い張ったらそれは狂人だと思われるだけだろうと思うのも現代に生きているからだけなのかも知れない。タイムスリップして622年頃のアラビア半島に行って、直接マホメットの言葉を聴いてみたい。いや、アラビア語が分からないのだった。いや、タイムスリップ出来る技術がドラえもんと共に与えられたら、同時に翻訳こんにゃくもあるから大丈夫か。

イスラム教の聖典にはコーラン以外にハディースというのがあって、預言者マホメット自身の言葉が載っているそうだ。その中にあるのは、


世の終りの時の最初の前兆は何かというと、それは人を東から西へと集める火であり、天国の人々の最初の食べものは魚の肝の瘤である。そして、なぜ子供が父または母に似るか、については、夫が妻より先に射精するとき子供は父に似、妻が先のときは子どもは母に似るのだ。(ハディースIVのコーラン解釈書より)


ラストの部分についてはなかなか面白いけれど、今回は割愛。東で起こった震災が西へと人を移動させたとすれば、それは我が国and/orこの世の終わりの最初の兆候…なのかも知れない。

ま、しかし我々はずっと前から、世紀末世紀末、この世の終りこの世の終りと言っているけれどね。


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