頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『偽りの春 神倉駅前交番狩野雷太の推理』降田天

2019-09-13 | books
日本推理作家協会賞短編部門受賞。駅前交番の狩野による、連作短編集。

祖父の蔵には厳重な鍵がかかると分かると、少女を拉致監禁した男。しかし外で鍵をなくしてしまった。仕方なく行った交番で話しているうちに・・・<鎖された赤>

高齢者を狙った結婚詐欺グループのメンバーのうち二人が金を持って逃げた。残されたメンバーは・・・<偽りの春>

泥棒に珍種の薔薇を盗ませる・・・<名前のない薔薇>

美大で同級生の夏希。お嬢様だがわがままで、美穂は殺意を抱く・・・<見知らぬ親友>

小説家が元交際相手の声優を殺した、ような・・・<サロメの遺言>

基本的にあまり短編は読まないのだけれど、これはすごく面白かった。推協の賞をとっただけのことはある。

最初は犯人の目線で描くのだけれど、何をしようとしてるのか少しずつ分かる。この按配がいい。途中から交番の「お巡りさん」が、絶妙なトークで犯人を追い詰めていく。その過程が絶妙に巧い。

最後の短編は一見単純な殺人事件に見えるけれど、複雑な裏があって、容疑者の父親は女性を殺した後、取り調べ中に自殺した。この過去との絡め方が尋常じゃない。

次作にも大いに期待する。


 


今日の一曲

Simply Redで、"If You Don't Know Me By Now"



では、また。


コメント   この記事についてブログを書く
« 『永遠をさがしに』原田マハ | トップ | 店名にツッコんでください223 »

コメントを投稿