映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

映画『カラーパープル』 意外なビアン映画! 

2024-06-15 | 映画感想

カラーパープル(2023年製作の映画)The Color Purple
上映日:2024年02月09日
製作国:アメリカ
上映時間:141分
監督 ブリッツ・バザウレ
脚本 マーカス・ガードリー
原作 アリス・ウォーカー
出演者 ファンテイジア・バリーノ タラジ・P・ヘンソン ダニエル・ブルックス コールマン・ドミンゴ コーリー・ホーキンス H.E.R. ハリー・ベイリー


てか、H.E.R.で出たんだ!!

ジェフリー・ライト繋がりで『カラーパープル』。

ジェフリーは牧師役。
ジェフリーとタラジ姐さんは父娘役。
実際は2人は同い年。58歳!!

**

シュグ役のタラジ姐さんがやはり素敵すぎる。
面白すぎる。
さすがの素晴らしさ。

**

タラジ姉さんとセリーとの愛のステージも、
終盤のセリーのソロ歌唱も
大っっっっっ変申し訳ないんだけど、、、
ちょっと安っぽく見えた。。

監督は42歳の新鋭ブリッツ・バザウーレ。
これからかな。

**

人種差別よりも性差別の方に比重が置かれていますね。
1985年版は観ていません。
こういう話だったとは。。

女性たちの連帯の物語。
そして、レズビアン要素もあったとは。

1983年の小説はどれほど衝撃を与えたのでしょうか。
ピューリッツァー賞受賞。

原作者のアリス・ウォーカーは
女性と同性婚をしてた経験もある方。

**

ミュージカルらしく全体的に大味な印象が残念。

おそらく元の小説がそうなんだろうけど、キャラクターの書き分けが少ない。
登場人物は多いけど、強い男と弱い男と強い女と弱い女しか出てこない。

映画『ジョー・ベル ~心の旅~』 反省したんですよね 

2024-06-15 | 映画感想

ジョー・ベル ~心の旅~(2020年製作の映画)Joe Bell/Good Joe Bell
製作国:アメリカ
上映時間:94分
監督 ライナルド・マルクス・グリーン
脚本 ラリー・マクマートリーダイアナ・オサナ
出演者 マーク・ウォールバーグ リード・ミラー コニー・ブリットン




「ここはアメリカだ!自分の意見を言う権利がある!」

と差別主義者を擁護する父。
彼の息子はゲイ。

**

この映画が無知で無教養な自分を反省するために作られたのならばいいけど
「反省してま〜す」と喧伝するために作られたのなら、
実話ベースのこの物語のご本人たちの人生を愚弄するものだと思う。

この映画を観て「絶対にそんなことない!」と擁護する自信はわかなかったな。


映画『素晴らしき、きのこの世界』キノコ教? 

2024-06-15 | 映画感想

素晴らしき、きのこの世界(2019年製作の映画)Fantastic Fungi
上映日:2021年09月24日
製作国:アメリカ
上映時間:81分
監督 ルイ・シュワルツバーグ
脚本 マーク・モンロー
ナレーション ブリー・ラーソン



ヒトの脳が巨大化したのは幻覚系のキノコを食べ続けたことも要因の一つという仮説。

キノコ教とでも言いたくなるような
ほぼ宗教みたいなキノコへの信仰。

映画の後半は
シロシビン(マジックマッシュルームの一種)の抗うつ剤としての有用性の話。

そして終盤はほんとに宗教の話。

映画『アメリカン・フィクション』 久しぶりに吸い込まれた 

2024-06-15 | 映画感想

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)American Fiction
製作国:アメリカ
上映時間:118分
監督 コード・ジェファーソン
脚本 コード・ジェファーソン
出演者 ジェフリー・ライト トレイシー・エリス・ロス ジョン・オーティス エリカ・アレクサンダー レスリー・アガムズ アダム・ブロディ キース・デヴィッド




好き!最高なんだけど。

久しぶりに吸い込まれた。
続けて2連続で観た。
「5」はさすがに高すぎかもしれないけど
今の気持ちとしては「5」だ!

**

小説原作の映画らしい良さがありますね。


小説が原作の場合どういうわけだか話の展開が読みにくいものが多い。
横道のエピソードが盛りだくさんというか。
それがとても自然で、豊かで。
うますぎる映画脚本とは違った良さがあって好き。

**

まず日本語吹き替えで観ました。


こういうオトナのコメディタッチの人間ドラマを演じる声優さんたちのアクトって素晴らしいですよね。
ちゃんと血の通った人間を愛おしく演じてくださってる。
声優さんの技能も込みでこの映画、まず大好きになりました。

2回目は字幕で。
ジェフリー・ライト、声全然ちがうじゃんっ!!

**

〝アジア人差別。


差別も何もアジア人見えてない〟までも描いてくれてる。
「今こそ黒人の声を聞かなきゃいけないのよ」っつって多数決で黒人の声無視するの皮肉が最高。

**

おそらく奴隷制の時代の黒人役を演じさせられている俳優と手を振り合うシーンも。

「まだやってんのか」
「白人がまだ観たいんだってよ」
とでも会話してそう。

**

リューベン・オストルンド監督がこの映画を作ったら、もっと嫌でもっとブラックなコメディになったはず。

それはそれで良いだろうけど
この映画のライトさは本当に魅力的。

ジェフリー・ライトが良かったなぁ。
こういう演技が演技賞総ナメして欲しい。

**

主役であるモンク自身のの背景はあまり語られない。
結婚歴なども明確ではない。
父親は天才の産婦人科医で孤独で銃で自分の頭を撃ち抜いて自殺。
モンクの周りの出来事は語られる(し重い…)けど、モンク自身の過去はあまり描かれない。

**

親の介護については本筋とそんなに関係ないと思う。


介護費用を稼がなきゃいけないという理由づけのためだけもの。
しかし、介護(老いた母)に時間を割いているし
演じたレスリー・アガムズの演技も素晴らしく存在感がある。
てことは、介護(母)はこの映画の中でも重要なものなのでしょう。
その意味は。

人生の冬。
自分たちの未来ですかね。

どんどん忘れていって、自分が自分じゃない時間が増えていく。

**


原作小説も話はほとんど同じ。
小説の方がバッドエンドな印象かな。

**

結婚式でブーケトスを受け取ったのはゲイの兄。

**


「黒人は貧しい
黒人はラップを歌う
黒人は奴隷で
黒人は警察に殺される
英雄伝にもされる
悲惨な境遇の黒人が尊厳を守り抜いて死んでいく
作り話だとは言わないが
もっと他にもあるだろう」

**

差別する者たちが
被差別者の〝差別されている様子〟を描いて
罪悪感を持つことで
「あぁリベラルっ♪」って思えて満足している現状をライトなコメディで描いています。

気をつけないとね。。。



映画『FALL フォール』ネタバレあり 高所恐怖症の人ご覚悟をっ! 

2024-06-15 | 映画感想
ハンターDうぜー!

**

面白っ!

僕は極度の高所恐怖症です。

ガラス張りのエレベーターとかムリ。
バルト9のエスカレーターもムリ。
外が丸見えだから。
だからバルト9行かない。
ヒューマントラストシネマ渋谷のエスカレーターもほぼムリ。あんまり行かない。

ジェットコースターも乗る前の鉄筋の階段でもう怖い。
それくらいの高所恐怖症。

**

この映画iPadで見たんですけど、それでもアホほど怖い。
もう最初から怖すぎて手汗が止まらない。

ずっと手汗が止まらないんよ。。
自分でもどうかしてると思いますよ。

実際には存在しない塔を、
どうせCGたっぷりのグリーンバックで女優さんが2人で頑張ってるだけなのは
頭ではわかってるのに手汗が止まらん。。
不思議。理屈じゃないんよね。

これを映画館で観たらわめいてたしたぶん冒頭で逃げ出してましたよ。。

ラストネタバレは以下に。







ハンターDがあそこで落下してイマジナリーDと化していたのはわかってましたね。

 肉食である鷲の肉って不味いらしいですよ。 でもあんなに元気になるんですね。 超回復してました、ベッキー。
 そしてラスト。
 ハンターDがクッションDに。 腹にスマホ埋め込まれました。 最高。
 地上に落としたスマホがメッセージ送信! 無事にジェフリー・ディーン・モーガンが受信!

ヘリでしょうね。
ヘリでベッキーは救出されたのでしょう。

なんか良い話みたいにまとめてましたけど めちゃくちゃ迷惑だから!

映画『ルッツ 海に生きる』 「しょうがない」に飲み込まれていく 

2024-06-15 | 映画感想

ルッツ 海に生きる/ルッツ(2021年製作の映画)Luzzu
上映日:2022年06月24日
製作国:マルタ共和国
上映時間:95分
監督 アレックス・カミレーリ
脚本 アレックス・カミレーリ
出演者 ジェスマーク・シクルーナ ミケーラ・ファルジア  デイヴィッド・シクルーナ




赤ちゃんへの注射代一回300ユーロ(約5万円)。
禁漁中に獲れてしまったメカジキを売れば500ユーロ(8万5千円)。
「いつから禁漁に?1000年前からやってる」

**

まず映像素晴らしい。
海、船、街並み。
愛情が感じられる撮影。
だからこそこの展開が辛いのだが。。

社会派な内容ではあるんだけど
ミニマムな家族ドラマが濃厚だし
後半からはちょっとケイパー映画的なスリリングさも加わってくるので、そりゃ面白いんですよ。

**

冒頭で、昔ながらの漁の様子を丁寧に愛おしく撮影してくれたからこその切なさ。。

こんな桃源郷のような世界、まだ地球上にあったのか!と。
でも、、、なかったんよね。。

「しょうがないよ…」で済ましてはいけない社会問題、、なんですよね。。

傑作ドキュメンタリー映画『94歳のゲイ』上映中!

2024-06-15 | 映画感想

94歳のゲイ(2024年製作の映画)
上映日:2024年04月20日
製作国:日本
上映時間:90分
ジャンル:ドキュメンタリー
監督 吉川元基
ナレーション 小松由佳


傑作ドキュメンタリー!

すごかった。。
お堅い文化人類学的映画かと思ったら
(社会問題を描きつつも)
長谷さんの品の良さとチャーミングさ爆発の温かい人間ドラマでした。
終盤で現れる王子様が王子様すぎてもはやイマジナリー王子様だったのではと。

**

戦中を生きぬいたセクシュアルマイノリティの反省を記録した貴重な歴史的資料であることも事実だし、
すでにテレビで放映されて長谷さんの人生が広く知られて人間関係にも変化があり
長谷さん自身の行動範囲も広がった様子も
この映画版のドキュメンタリーでは描かれるので
展開が多くて面白いですし、
やはり長谷さんが可愛いんですよ。

孤独とはいえ拒絶してるわけではなく
「こんなことが僕の人生で起きるのかぁ」と驚きつつもスルッと受け入れて楽しんでいる様子が痛快ですし
見習いたい姿。

**

映画館で観れたのも良かったです。

ポレポレ東中野にて。
客席はほぼ満席。

観客のうちゲイ男性は多くて3割程度だったのでは。
(もちろん見てわかるわけではないのでこよ数値の正確性にそんなに自信はないですが。。)
少なくとも半数近くはヘテロ寄りの方だったかと。

「高齢者のゲイの人生」について温かい気持ちで観ようと思う人たちがこんなにもいるのは嬉しいことですね。



映画『雪山の絆』「多くの報道が無思慮で強引な方法で我々の食事に焦点を合わせた」

2024-03-20 | 映画感想

雪山の絆 上映日:2023年12月22日  製作国:ウルグアイ スペイン チリ 
監督 フアン・アントニオ・バヨナ(J・A・バヨナ)
脚本 フアン・アントニオ・バヨナ(J・A・バヨナ) ベルナ・ビラプラーナ  ハイメ・マルケス  ニコラス・カサリエゴ
原作 パブロ・ヴィエルチ
出演者 エンゾ・ヴォグリンシク  アグスティン・パルデッラ  マティアス・レカルト  エステバン・ビリャル  ディディエゴ・ベゲッツィ  フェルナンド・コンティヒアニ・ガルシア  エステバン・ククリスカ  フランシスコ・ロメロ  ラファエル・フェダーマン  ヴァレンティノ・アロンソ




映画『生きてこそ』で描かれたウルグアイ空軍機571便遭難事故なんですね。


『生きてこそ』観てないんですが。

**

この事故と
彼・彼女らのサバイバルと
ある決断と
その後その決断を受け入れた人たちの物語ですね。

僕はその決断についてどうのこうのと意見を言う立場にないし
何か言いたい気持ちも正直あまりない。

**

生還したナンド・パラードが自著『アンデスの奇蹟』にこう記している。

事実上、我々の生還は国家のプライドの問題となった。
我々の試練は輝かしい冒険譚として祝われていた。
…私はあの山脈には栄光などなかったと彼らに説明する方法を知らなかった。
それは、全ての醜悪さと、恐怖と、自暴自棄と、とても多くの罪無き人々が死にゆくのを見る不快だった。
また、私は報道が我々が生存するために食べたものに関することを扇動したことに動揺した。
我々の救出後すぐに、カトリック教会の職員たちは、教義に照らしても我々が死者の肉を食べたことは罪に当たらないと発表した。ロベルトが山で論争したように、教会は罪は自分たちが死にゆくことを許容することにあると世界に発表した。
私にとっての素晴らしい満足だった出来事は、死んだ少年の両親の多くが、我々が生き残るために選択した行為を理解し、受け入れたことを世界に公表し支持を表明したという事実だった。
…これらのジェスチャーにもかかわらず、

多くの報道が無思慮で強引な方法で我々の食事に焦点を合わせた。
中には薄気味悪い写真を一面に飾り、恐ろしい見出しで報道した新聞もあった。
(Wikipediaより)


**

彼らの決断を周囲も受け入れ、
彼らが信じている宗教にも許され、
法的にも無罪、もしくは訴えられもしていないのであれば
この物語は完結しているもので
やはりこの出来事について僕は何かを語る気が起きない。

ただ、
生存者の方々が割と映像化や書籍化に協力的な感じがするので
勝手な想像ですが、
なかったことにしたいとか忘れて欲しいと言う方向ではなく
むしろ何度でも語られて伝えていきたいと思っているのではないかと思うので

こうして新たに映画化され、
賞レースを賑わし、多くの観客に見られるのは何かの効力があるのでしょう。

**

てことで、
映画としてどうかというと、確かに素晴らしく見応えがあった。


「…もう大丈夫です…」っていうくらいに色んなことが起きてその都度キツイので。。

ラストは知ってるので安心して観れるってのはありますし。

過剰な演出がなかったのも良かったです。
尾根からの景色を見て大絶望するシーンがあんですが、劇伴ナシ、セリフもナシ。
山々を観ただけで観客はわかる。大絶望。
観客を信じてくれてるのも嬉しい。

無名の若手俳優たちが本気の演技アンサンブルも素晴らしかったです。

ドキュメンタリー映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』

2024-03-19 | 映画感想

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)
監督 豊島圭介
ナレーション 東出昌大
出演者 三島由紀夫 芥正彦 木村修 橋爪大三郎 篠原裕 宮澤章友 原昭弘 椎根和 清水寛 小川邦雄


「もう一度、国の運命と自分の運命がリンクしているという、ある種の陶酔感、高揚感みたいなものをもう一回経験したいっていう欠落感みたいなものが、あの世代(1930年代生まれ)にはある」
by内田樹

**

全共闘という言葉はよく聞くし
なんとなくのイメージもあるけどよく知らない。
僕は78年生まれ。

全共闘って小学生の時に『ぼくらの七日間戦争』(小説版)を読んで、ちょっとノスタルジックに語られてるので初めて触れた程度。

あとは浅間山荘とかにつながって
映画などで見知って、あ〜怖い…という印象。

**

『独立少年合唱団』に全共闘のことが出てきましてイマイチ掴めなかったので
全共闘について知れる映画はないかと検索したら
これが出てきましたので観ました。

『三島由紀夫vs東大全共闘〜50年目の真実〜』。

**

討論自体の熱情もすごいんですけど
文字量!
語彙力!

そして言葉がひとつひとつイキイキとして語られていることに驚きました。

で、ちゃんと討論をしてる。
相手の話を聞いている。
そしてちゃんと答えている!

↑こんな当たり前のことを、、、
いまの日本でどこで行われてるんだろう。。

今は
SNSでの短い言葉での叩き合いとか
冷笑とか
論破とか、
到底人と人が有機的に繋がる気のないことばかり横行してる。。

真逆!!

**

この映画に出てくる人たちが言ってることに共感はできないけど
話を聞けばどういう思考回路なのかはわかってくる。

全否定したい極端な思想もあるけど
そこに至るまでの、ある種の人間的な気持ちをつかめると、
単なる敵、もしくはヤバいヤツだと思っていた人が対話できる相手に感じられるかもしれない。

**

てか、三島由紀夫が◯◯したのは45歳だって!
僕いま45歳。

映画『独立少年合唱団』不発性を受け入れる 

2024-03-19 | 映画感想

独立少年合唱団(2000年製作の映画)製作国:日本
監督 緒方明
脚本 青木研次
出演者 伊藤淳史 藤間宇宙 香川照之(市川中車) 滝沢涼子 國村隼 泉谷しげる 岡本喜八 光石研



「自分の手であの戦争を裁かなかったんだ
そんな国で何にも起こるわけないんだよ
何にも起こらないで
ゆっくり発狂していくんだ」

**

VHSしかなくてずっっと観れずにいた『独立少年合唱団』。

『いつか読書する日』の緒方明監督作!!
長年待ちすぎて期待が高すぎた???

**

外国映画と思って観たらとても興味深いし雰囲気もあります。
下手したらクーリンチェ感もあるかも。

ただ女性(女学生)の扱いがドン引きだし
全共闘についてもよく知らないので、、
話についていけない。。

特にやはり女性の描き方が男の欲望の鏡でしかなくて、、
観ててきつかった。。

**

で、全共闘について知らないのはある程度僕が悪い。

僕は78年生まれだし
リアルで知らなくて当然だし
全共闘については「なんかあったよねそういうの感」でずっっとその名称を聞いていただけ。

あとはもう連合赤軍の話になって
それは映画で見知ってはいたけど
やっぱ怖い話という印象。

ということで
『三島由紀夫vs東大全共闘〜50年目の真実〜』を観ました。

**

『独立少年合唱団』における全共闘は〝不発感〟の象徴なんでしょうね。
あの時の俺ら結局何もならなかったなぁ的な。

でも、たとえ何にもならなかったという結果が一時的に出たとしてもそれもひとつの過程だよな、感。

全共闘を(ざっっくりとですが)知ることで、『独立少年合唱団』のことも少しわかりました。

映画『デューン 砂の惑星PART2』 ナウシカの王蟲に対する敬意みたいなもの

2024-03-16 | 映画感想

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)Dune: Part Two
監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ
脚本 ジョン・スペイツ ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演者 ティモシー・シャラメ ゼンデイヤ レベッカ・ファーガソン ジョシュ・ブローリン オースティン・バトラー フローレンス・ピュー


僕は砂虫推しなんですよね。
とにかく砂虫に出てきて欲しかった。

正直、プラスチックで作られたゴンゴンゴンって打ち付ける機械で砂虫を呼び寄せる行為も
砂虫に対して失礼な気がしたし

そりゃ砂虫ボードに俺も乗りたいけど
あんな大きな砂虫(東京駅くらいあるでしょ)をそれこそ砂粒くらいの人間が思い通りに操縦できるってことにも
天動説を信じてた人間の驕りも感じた。

絶望的にデカい、絶望的に強い存在としての砂虫であって欲しかったのに、
ドラえもんの道具か
もしくは電動キックボードくらいの存在になっていて、、あ〜ぁって感じ。。

3割くらいの確率で
乗り終えたあと砂虫に喰われちゃう危険性があるならまだしも、、
どこでも乗り捨て可能な電動キックボードだったよね。。

超便利乗り物。。

ナウシカで言うところの王蟲に対する敬意みたいなものが感じられないんよね。。

当然虫より人間の方が上みたいな思想が、、全然好きじゃない。

**


アクションも前作よりは良いし
映像も
衣装デザインも
美術も
音楽も素晴らしいですよ。
素晴らしいんですよ。

ただ、話がどうでもよかった。。

しきたりとかルールとか予言とかが羅列されてって
その通りになったり
話の流れ上、その通りにならなかったり。。

ガザとかウクライナとか
オッペンハイマーによって再び俎上に上がっている核兵器などの
めっっちゃくちゃリアルな痛み、苦しみが思い起こされる今。この今!

この映像を「やっほーいっ!フォーっ!」って楽しめちゃう俺の状況って、、、って自省しちゃうよね。。

**

原作は1965年発表のものだもんね。

デザイン(美術、衣装、音楽)は頑張ってるけど
やっぱ物語やメッセージは今の時代には追いつけてないんじゃない?

それとも3でなんとかする予定??

映画『伯爵』アカデミー賞撮影賞ノミネート作 エレガントでロマンチック 

2024-03-06 | 映画感想

伯爵(2023年製作の映画)El Conde製作国:チリ
監督 パブロ・ラライン
脚本 ギエルモ・カルデロン パブロ・ラライン
出演者 ハイメ・バデル グロリア・ムンチマイヤー アルフレード・カストロ


アカデミー賞撮影賞ノミネート作だけあって映像が素晴らしい。
ずっとエレガントでロマンチック。

吸血鬼の飛翔シーンもCGじゃなくてワイヤーなのとこもいいですね。
人間臭さもあるしおかしみもあるし、やっぱりロマンチック。

**

監督はチリの映画監督のパブロ・ラライン。
この映画の主人公は、チリの 独裁者アウグスト。
彼が実は250歳の吸血鬼だったってことにした風刺映画。

ヴェネチアの脚本賞も取ってますね。
そりゃそうだ、面白いもん。

**


始まってしばらくずっと楽しいんですが
中盤で停止。

明らかに勢いがダウン。
画面もフィックスだしバストアップ多め。
物語も明らかに失速。

でもこれはわざとなんだろうなと信頼しながら耐えました。
それくらい冒頭が素晴らしかったから。

そしたら、あの飛翔よ!!
この飛翔のための、溜めだったのか!と。
あぁもう好き。

**


ラストネタバレは以下に。


サッチャーも出てきて、実はチリの独裁者アウグストのお母さんでした。 そして彼女も吸血鬼でした。
というラスト。

きっと特大の風刺なんだと思いますが、、、歴史を知らなすぎて。。

ごめんなさい。。




映画『マエストロ:その音楽と愛と』 共感イラネ 査定もイラネ 

2024-02-22 | 映画感想

マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)
Maestro
監督ブラッドリー・クーパー
脚本ブラッドリー・クーパー ジョシュ・シンガー
出演者ブラッドリー・クーパー キャリー・マリガン


流石に面白いですね。

固形化したメッセージを伝えてこないのが面白い。
愛とはこうであるべき、などのべき論も唱えないし
なんなら共感さえも求めてこないし
本人たちの気持ちさえもイマイチわからない。

分かろうとしてくんじゃねーよ感、がいい。
査定とかしてくんじゃねーよ感が、好き。

***

3人の子供を含めたサブキャラたちが一様に薄っぺらい。
これはわざとでしょう。
友人たちも通り過ぎた男たちも存在が薄い。人格があまり見えてこない。
特に子供3人は全然描き分けがされていないのが異様なほど。

***

この映画で集中して描かれるのは、バーンスタインと妻のフェリシア。
夫婦の物語。

サブキャラたちはもちろん、この映画自体も結局はこの夫婦に踏み込んでいない。

「不倫ダメ!ゼッタイ!」とも言わないし
「2人には深いところで心の繋がりがあった」とも言わない
(そう感じるのは自由ですが)。

ただただ描いただけって感じ。
それがとても本人たちを尊重している感じがして好感が持てますし、
映画としてもとても広がりのある、深みのあるものになっていると思います。

***

にしても、
ブラッドリー・クーパーはよく自分の監督作で自分を主演してこんなにも美味しい役を、アップをたっぷり多用して美味しく美味しく自分を見せるものですよね。。

↑これがもう引っかかって引っかかって。。
特殊メイクもすごいし、本人感もすごいんだけど、
透けて見える本人自体の圧力の方を感じてしまった。。
大スターだからしょうがないけどね。。


猫の日2024 イヌ派が描いたネコ映画紹介マンガ😺

2024-02-22 | 映画感想





 









ボブという名の猫 幸せのハイタッチ(2016年製作の映画) A Street Cat Named Bob
製作国:イギリス
監督 ロジャー・スポティスウッド
脚本 ティム・ジョン
出演者 ルタ・ゲドミンタス ルーク・トレッダウェイ ジョアンヌ・フロガット アンソニー・ヘッド
  


僕は犬派ですし、
麻薬中毒の路上シンガーが?猫と出会って?人気者になって?ヤク中から抜け出して?そのこと本に書いたら世界で1000万部売れた?
で『英国王のスピーチ』の製作陣が映画化?
ハァ?
と思っていましたが、ビックリ、しっかり感動しました。。


四コマ映画→http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=1784




ジェームスとボブ(猫)との出会いは映画の中ではジェームスの家にボブがフラッと現れたことになってるけど、実際は傷を負ったボブをジェームスが見つけたことが出会いだったらしいです。


そっちの方が全然いい話なのになぜ映画では採用しなかったのか。
多分あまりにも出来すぎたエピソードだからでしょうね。嘘くさくなっちゃう。


確かに全体的に「ほっこり猫ムービー感」を極力取り除きにかかってるのがわかる。演出は抑え目です。


ほっといてもボブは魔法のようにカワイイし、物語も童話のように感動的。下手したら実話なのに絵本になっちゃう。


だから全体的にはカラッとした演出になってる。
おかげでジェームスの父親との確執や薬物との戦いがリアルに伝わってくる。


ボブと一緒に歌うことで路上で人気者になっていく過程でジェームスはこんなセリフを言います。


「〝恐れ入ります。写真を撮っていいですか〟と、ある婦人に言われたよ。〝恐れ入ります〟だよ。前の僕になら誰も使わなかった言葉だ。ボブのおかげで僕にも違う未来があることに気づいたんだ。」


このジェームスの謙虚さがあったから、この現代の童話が多くの人に共感されたんだろうし、誰にでも〝セカンドチャンス〟をという問題提起ができる映画になったんでしょうね。


抑えた演出とはいえ、猫のぼぶの仕草はひたすらカワイイ。
ほとんどのシーンをボブ本人(本猫)が演じたらしいです。
あと、歌が全部いいんです。


四コマ映画→http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=1784


短編映画『彼方に』 グリーフケアの大切さ 第96回アカデミー賞 候補 

2024-02-22 | 映画感想

彼方に(2023年製作の映画)The After 製作国:イギリス  ショートフィルム・短編 
監督 ミサン・ハリマン
脚本 ミサン・ハリマン ジョン・ジュリアス・シュワバック
出演者 デヴィッド・オイェロウォ ジェシカ・プラマー アメリー・ドクボ


監督のミサン・ハリマンは、、Black Lives Matter運動で最も広く知られている存在の写真家であり社会活動家とのこと。


今作が監督デビュー作。

きっと今後映画をいくつも撮るだろうし、名作も多いのではと思わせる今作の出来だと思いました。

**



第96回アカデミー賞【短編実写映画賞】候補作。


ちょっと(いや、かなり…)説明的な表現が多かったなぁ。。
18分の短編だからわかりやすく伝えないとと思ったのかな。

好みの問題かもしれないけど、もっと削ぎ落としてもよかったかな。
もっと淡々と、何も起きてないかのように進んで欲しかったな。
冒頭と終盤で大きな出来事が起きるのでその二つだけでも。

何年か前に観たけど感想を書けずにいる名作短編『愛してるって言っておくね』に近い衝撃。。

**

ただ、主演のデヴィッド・オイェロウォの魅力で惹きつけられながら観れました。

もう47歳なんですね。
十分活躍はされてますけど、もっともっとスターになってもいいはずなのに、なんか不思議。


ラストネタバレは以下に。







タクシー運転手となった彼。

ある夫婦とその娘を乗せる。
 亡くした妻と娘に似ている。
 不機嫌な夫ももしかしたらあの分岐点の先のもう1人の自分かもしれない。
 夫婦は後部座席で永遠に不毛な夫婦喧嘩を続けている。
 その娘はここにいないかのような表情でそれに耐えている。
 家に着いて夫婦は降りるがまだ喧嘩を続けている。
娘はタクシーから降りない。

 彼が降りるように促すと 素直に降り、娘は彼を背後から抱きしめる。
 彼は泣き崩れ路傍に倒れる。
 不審に思った夫婦とその娘は彼を置いて家の中に入る。

 彼は泣き止み起き上がり運転席に戻り車を走らせる。
 終わり。

 **

ラストの少女からのバックハグは、亡くなった自分の娘(と妻)によるものでしょうね。
少女の体を借りて父(夫)を抱きしめたのでしょうか。