英国のEU離脱による、恩恵を受けるであろう国とショックが波及するであろう国の選別が始まりました。ショックを受けるであろう国はまず、EU、続いて米国、中国、日本です。何故かショック安には必ず日本が加わります。今回のブレグジットショックでも一日で7円も円高に振れ日本市場は大混乱でした。このような事態が発生する要因は対応の拙さ・遅さです。しかし、今回は今までとは違い、今のところ上手く立ち回っています。円高で苦しんでいる日本が、EU内で販路を拡げ恩恵を受けられる可能性もあります。このような、激変期はしばらく様子見が一番でしょう。
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英国の欧州連合(EU)離脱決定が世界経済を直撃する懸念が強まるなか、“ブレグジット・ショック”が中国にも波及しそうだ。習近平国家主席は、アジアから欧州に連なる大規模経済圏「一帯一路」構想を掲げて欧州に急接近、日米との対立軸構築をもくろんできたが、英国とEUの対立が深刻化することで、戦略の「大幅な見直しを余儀なくされる」(専門家)というのだ。
世界を驚かせた「ブレグジット(英国のEU離脱を意味する造語)」決定だが、中国も失望の色を隠せなかった。
中国外務省の華春瑩副報道局長は、「英国人の選択を尊重する」とした上で「中国は欧州統合のプロセスを一貫して支持している」と言及した。
中国は、欧州の不安定化が国内経済に悪影響を及ぼすことを警戒。華氏は「英国とEUが速やかに必要な手続きで合意するよう望む。欧州の繁栄と安定は関係各方面の利益に合致する」と述べた。
習政権は英国のEU離脱に危機感を募らせている。
『習近平の闘い 中国共産党の転換期』(角川新書)の著書がある拓殖大学教授でジャーナリストの富坂聰氏は、「中国は対欧州戦略の見直しを余儀なくされることになる」と指摘する。
中国は南シナ海での覇権拡大をめぐって日米両国や東南アジア諸国連合(ASEAN)と対立を深めている。
その一方で、経済連携を軸として近年、急速に距離を縮めていたのが、英国との関係だった。
昨年3月、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーとして招き入れることに成功し、昨年10月には習氏の公式訪問を実現させた。
中国と英国の急接近の背景には、2014年11月に中国・北京で開催されたアジア太平洋経済協力首脳会議(APEC)で習政権がぶち上げた、アジアから欧州までを包括する経済圏構想「一帯一路」との関わりも指摘されている。
「EUは圏内でのハイテク産業などの投資に制限をかけるなど、中国とは距離をとり続けている。その一方で、『一帯一路』を実現させるためにも、EUへの本格進出を狙い続けており、英国をその足がかりにする構想を持っていた。しかし、英国のEU離脱によってその戦略を見直さざるを得なくなった」(富坂氏)
さらに中国にとって誤算となっているのは、英国とともに欧州への重要なルートであったドイツとの関係もぎくしゃくし始めてきたことだ。
今月12~14日に9回目の訪中を果たしたドイツのメルケル首相は、中国製鉄鋼のダンピングや、中国市場への参入障壁をめぐって李克強首相と激しく衝突。中国が求める世界貿易機関(WTO)の「市場経済国」認定についても言及を避けるなど、両国関係にすきま風が吹き始めた。
中国情勢に精通する評論家の石平氏は、「ドイツとの関係が冷え込み、英国がEUから離れたことで中国は国際社会での孤立をますます深めることになる。英国を通して欧州全体に影響力を広げていく中国の戦略は完全に崩れたと言っていい」と語る。
欧州への本格進出とともに中国が悲願とする「人民元の国際化」への影響も避けられない。
昨年末には、国際通貨基金(IMF)が、人民元の「特別引き出し権」(SDR)構成通貨への採用を決定し、今年10月から実施される予定となっている。金融覇権奪取の野望への第一歩を踏み出そうとする中国にとって、英国とEUの別れは望ましいシナリオとはいえない。
「人民元の国際化戦略の成否は英国が要となっていた。中国はまず、ロンドン市場で人民元を確立させるつもりだった。そこをひとつのとりでにして、欧州全体に人民元を浸透させるという構想だ。ところが、英国のEU離脱によって、そのもくろみも頓挫した格好だ」(石平氏)
欧州を舞台にした「赤い帝国」の野望に暗雲がたれ込め始めた。
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